もしも、確定診断の「羊水検査」や「絨毛膜検査」で陽性と診断されたら
2025.06.19
確定診断の受診は必須
NIPTで細胞内の染色体(遺伝子の束)の数異常が高リスクと出たからといって、全ての方が妊娠中の確定診断を行うわけではありません。一部の方は、確定診断を受けずに出産を決めたり、途中で流産されたり、中絶を選択される方がいらっしゃいます※1
100%の精度で検査ができないスクリーニング検査であるNIPTにエコー検査を組み合わせることでほぼ100%まで精度向上ができた※2という報告がありますが、染色体数の異常に関わる遺伝性疾患の有無を正確に診断するには出生前、もしくは出生後の確定診断が必要であり、出生前検査認証制度等運営委員会でも確定診断を必須としています。※2
軽い症状のため、85%の方が疾患に気づかずに日常生活を過ごすとされるヤコブ症候群(Jacob’s syndrome)のように、妊娠中の確定診断は不要とされるケースでも基本的には遺伝カウンセラーや専門医との相談は必要です。※3
妊娠中の確定診断を受けない理由
人によってはNIPTの精度がほぼ100%であると思い、確定診断は必要ないと考える方や、羊水検査や絨毛膜検査といった確定診断は、赤ちゃんへの永久的な障害や流産のリスクが伴うため、確定診断を受けないという方がいらっしゃいます。
しかし、国内の多くの検査機関がホームページに示しているNIPTの検査精度をそのまま信用して良いか疑問があります。
seeDNAは2016年に国内で初めて出生前DNA鑑定を開発してから、妊娠中の胎児の検査を8年以上も行ってきた経験があります。その経験から言えることは、NIPTの結果には間違いが発生するリスクが必ずあり、100%の精度を保証できる検査ではないということです。
そのため、NIPTで高リスク(陽性)の結果が出た場合は、必ず確定診断を受診することを勧めております。
そもそも、NIPTの日本語訳が「新型出生前”診断”」となっていることが、このような誤解を与える要因のひとつとなっているため、「新型出生前”検査”」とすれば、このような誤解が減るかもしれません。
最近はNIPTを実施するクリニックや病院、検査機関が増え、なかには100%の精度を主張しているところもありますが、NIPTは100%の精度ではありません。そのような業者を信頼しないようにしましょう。
確定診断の結果について
確定診断のひとつである、絨毛検査(CVS検査)の最初の結果は「迅速CVS」として、13・18・21トリソミー(染色体異常)の有無のみが先に判定され、通常は約3日後に判明します。より詳細な、全染色体を対象とした微小欠失症候群の有無についてのCVS結果は、一般的に2週間以内にわかります。迅速CVSの結果と超音波検査の両方が赤ちゃんに疾患の可能性があることを示している場合、医師はすぐに今後の選択肢について話し合いを行います。
日常的な生活習慣に関わる疾患とは異なり、CVSで判明する常染色体異数性疾患には根本的な治療法がないため、今後の選択を慎重に検討する必要があります。
結果の信頼性について
CVS検査は、受診した女性100人中99人に対して確定的な結果が得られるとされています。ごく一部のケースでは、赤ちゃんが検査対象の疾患を持っているかどうかを完全に確定できないこともありますが、CVS検査の結果が妊娠中に覆る可能性は非常に低く、現在利用可能な検査の中で最も精度が高いと言われています。
得られた結果を元に、下記のいずれかの選択肢を選ばないといけません。
■ 妊娠を継続する
– 赤ちゃんが持つ可能性のある疾患について、できるだけ多くの情報を集めて、十分な準備を整える必要があります。※4
■ 妊娠を終わらせる(中絶する)
– これは非常に難しい決断ですが、遺伝カウンセラーや担当医から、子供が持つ可能性のある症状、必要となる治療やサポートなど幅広い分野におけるアドバイス得たうえで、パートナーや家族がよく話し合って決定する必要があります。
とはいえ、この確定診断も人が行う検査であるため、100%正確な検査結果を保証することは現実的にも不可能です。
実際に国内でも確定診断時の診断ミスにより裁判で賠償請求が認められた事例もあります。※5
国内では、こども家庭庁委託事業として NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)などの出生前検査や医療機関情報に加え、 妊娠中や出産後に役立つさまざまな情報を お知らせしています。※6
こちらのサイトでは、妊娠中の検査や受けられる支援だけではなく、障害を持つ子供の生活や周りの家族の生活など、信頼できるたくさんの情報がご確認出来ます。
seeDNAでは、お腹の赤ちゃんに高リスクの項目が見つかった場合は、カウンセリング費用と確定診断の受診費用を補助しています。必ず、かかりつけの病院や専門医によるカウンセリングを受けましょう。
胎児の父親と疾患リスクが同時にわかる
参考文献
※1:出生前検査認証制度等運営委員会※2:Taiwanese Journal of Obstetrics and Gynecology、Nov. 2019
※3:Jacob Syndrome、 Oct. 2024
※4: National Health Service、Jan. 2023
※5:判例時報2227号104頁
※6:妊娠中の検査に関する情報サイト

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