「パパは誰?」弊社出生前DNA鑑定の日経新聞記事

■ 2018/07/30付 日本経済新聞 朝刊で取り上げられました!

日本経済新聞
2018年7月30日付
日本経済新聞WEB版
2018年7月30日付

パパは誰?出生前に鑑定 8~10週目妊婦の血液検査 倫理か女性の権利か両論
2018/7/30付 日本経済新聞 朝刊


妊娠中の女性の血液を使って、おなかの中の胎児の父親が誰かを妊娠初期からDNAで鑑定できるサービスが波紋を広げている。男性側には一切知られずに検査できるため、安易な中絶を助長するとの批判がある半面、女性が妊娠を継続するための重要な判断材料になるとの声もある。バイオテクノロジーの発展が、利便性を高めるとともに新たな問題も生み出している。

「これで検査してもらえますか」

7月上旬、都内の幹線道路沿いにあるビルの2階。その女性は焦った様子でこう言いながら、検査会社の職員に小さな紙袋を手渡した。中には血液が入った採血管と、男性側の検体と思われる綿棒。「出生前親子鑑定」を受けるのだという。

「郵送だと時間がもったいない」と女性。最短5日で結果が出ると聞くと足早に去って行った。

出生前親子鑑定とは、子どもが妊婦のおなかの中にいるうちにDNAで父親を調べる検査だ。最近、妊婦の血液(母体血)で検査できるようになり、利用者が増えている。複数の男性と避妊せずに性交渉した女性が対処に悩んで利用するほか、女性の浮気を疑う男性側が申し込むこともある。

母体血には胎児のDNAが約10%流れており、その配列を解析して男性のDNAと照合し判定する。妊娠8~10週目から検査が可能だ。数日~2週間で結果が判明し、法的な中絶の期限である22週未満までには十分間に合う。費用は15万~20万円。サービスを提供する企業の全体数は不明だが、インターネットでは10社程度が確認できる。

SeeDNA法医学研究所(東京・足立)は受託件数が多いことで業界では知られた存在だ。代表取締役の金起範氏は「月に70件程度の実績があり、右肩上がりで増えている」と明かす。利用者から「これで安心して母子手帳をもらいに行けます」などと感謝のメールが幾つも届くという。
出生前親子鑑定は従来、産婦人科医が子宮に針を刺し羊水を採取しなければできなかった。それが2006年に日本産科婦人科学会が裁判所からの要請などがない限り羊水を採取しないよう勧告したことで歯止めがかかり実施は限られていた。
だがバイオ技術の進歩により、11年に母体血で鑑定する手法が米国で登場。2~3年前から国内で受託する企業が目立ち始めた。血液は3000円ほど払えば紹介先の診療所で採取してもらえるため、一気に広がった。
男性側に一切知られず検査も可能。男性の検体は通常、口の中を綿棒でぬぐって粘膜細胞を取る。だが一部の企業では使用済みの紙コップや歯ブラシ、毛髪なども受け付けている。どの企業も「男性側の同意が必須」と注意書きを添えているが、多くは厳密に確認していないのが実情だ。
こうしたサービスに対して「安易な中絶を助長しかねない」などと批判する意見がある。
遺伝子検査に詳しい北里大学の高田史男教授は「中絶の判断に使われるケースは多いだろう」と指摘する。「規制する法律もなく野放しで行われている。ビジネスが生命の軽視と安易な選別を助長している」と苦言を呈する。
親子鑑定や体質判定など、医療目的以外で行う遺伝子検査については法規制がない。経済産業省は13年に「遺伝子検査ビジネス実施事業者の遵守事項」というガイドラインを策定し、品質管理の徹底や受検者である男女双方の同意などを求めているが、強制力はない。
一方、女性に必要な検査との声もある。性問題に詳しい産婦人科医の宋美玄氏は「救われる母親や子どももたくさんいるのでは」と話す。 妊娠は女性の体に大きな負担をもたらす。その継続を判断するのは女性の権利だ。検査がその重要な材料になるという側面もある。日本では年間17万件の中絶が行われているが、実際には男性側の同意がなくても中絶が行われているケースがある。
DNAを使った通常の親子鑑定は今や2万円以下で簡単にできてしまう。出産後に問題が発覚すれば家族全員が不幸になりかねず、その回避手段にニーズがあるのも当然だろう。生命倫理を尊重するか、女性の権利を優先するか。技術は社会に新たな課題を突きつけている。
(野村和博)


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