DNAスコアで分かること
DNAスコアの検査項目
若年者の高血圧

日本における高血圧患者数は、約4,300万人と推定されており、日本人の約3人に1人が高血圧に該当します。
高血圧は自覚症状が出にくく、明らかな症状が出るころには心筋梗塞や脳卒中など致命的な病気が進行している可能性があります。
特に50歳未満で発症する高血圧は、他の生活習慣病を発症していることも多く、早期に予防することが大切です。
この50歳未満の高血圧に、DNAがある程度影響することが明らかになっています。
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【理論的根拠】
ケンブリッジ大学の先行研究から、PPARGC1A遺伝子の特定タイプによって、50歳未満において高血圧になりやすい人がいることが明らかになりました。
その血圧に関わるPPARGC1A遺伝子の特定領域の名前は「rs8192678」と呼ばれています。

「rs8192678」には、AA、AG、GGと3つの遺伝子型があり、50歳未満においてAAタイプの遺伝子型を持つ人は血圧が高く、AGタイプの人はやや血圧が高い傾向にあります(参考リンク1)。
日本人の遺伝子タイプは、AGタイプが最も多い51.3%、AAタイプが27.4%、GGタイプが最も少ない21.2%を示します(参考リンク2)。
AまたはAGタイプは、心筋梗塞や脳卒中のような重大な病気を引き起こすリスクが高くなります。
高血圧の状態が続くと、血管へのダメージによって弾力性が失われ、動脈硬化が進行します。
そのため、全身に血液を送るために高い圧力が必要となり、心臓への負担が大きくかかって病気を引き起こしやすくなります。
このように自分の血圧に対する遺伝的な傾向を科学的に知ることで、早い段階から血圧測定を始める、食事、運動、喫煙などの生活習慣を改善するといった、高血圧を予防するための対策が立てられます。
【DNAとの関連メカニズム】
【rs8192678】 若年者の高血圧 染色体位置 4 遺伝性質 常染色体劣性 遺伝子 PPARGC1A 臓器 骨格筋

若年者の高血圧に関わるPPARGC1A遺伝子は、人に共通する24の染色体の内、4番染色体に位置します。
PPARGC1A遺伝子は、骨格筋のミトコンドリアの生成や機能を調節するPGC-1αというタンパク質の産生に関係します。
PGC-1αの発現量が多いほど、エネルギー代謝や糖の取り込みなどを効率よく体内で行うことができます。
逆にPGC-1αの発現量が少ないと、摂取した糖をエネルギーとして産生しにくい体質として、糖尿病や肥満との関連も示唆されています(参考リンク3)。
糖尿病は動脈硬化の原因となり、肥満は脂肪を蓄えやすい分より多くの血液を送り出す必要があるため、血圧が高くなります。
すなわち、PPARGC1A遺伝子と50歳未満の高血圧は関連していると考えられます。
また、PPARGC1A遺伝子は心臓、腎臓など代謝が活発な組織に多く存在し、酸化ストレスを減らし、ミネラルコルチコイド受容体やエストロゲン受容体と相互作用して血圧の制御に関与していると考えられています(参考リンク1)。
以上のように、PPARGC1A遺伝子の特定領域である「rs8192678」は、50歳未満の高血圧といった疾患リスクに関係し、注目されているSNPの一つです。
1.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2576025/
2.https://www.snpedia.com/index.php/Rs8192678
3.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6326506/
4.https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1600-0838.2009.00930.x
5.https://www.degruyter.com/document/doi/10.1515/biol-2019-0006/html