DNAスコアで分かること
DNAスコアの検査項目
ワーキングメモリ

ワーキングメモリとは、一時的に情報を脳に保存しながら、関連する動作や作業を同時に処理する能力のことです。
例えば、電話で話を聞きながらメモを取ることもワーキングメモリのひとつです。
作業記憶とも呼ばれ、日常生活を円滑に送る上で欠かせない能力といえます。
しかし、ワーキングメモリの機能は加齢とともに維持できなくなり、50歳を過ぎると約30%低下すると言われます。
このワーキングメモリの機能維持には、DNAがある程度影響することが明らかになっています。
ご自身の遺伝子タイプを調べることで、遺伝的なワーキングメモリの機能維持の傾向を確認してみませんか?
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詳しくは下記を参照ください。
【理論的根拠】
ケンタッキー大学で行われた研究から、GRIN2B遺伝子の特定タイプによって、ワーキングメモリの機能維持に違いがあることがわかりました。
ワーキングメモリに関わるGRIN2B遺伝子の特定領域の名前は「rs3764030」と呼ばれています。

「rs3764030」には、AA、AG、GGと3つの遺伝子型があります。
日本人の遺伝子タイプは、AAタイプが11.8%、AGタイプが45.1%、GGタイプが42.9%とされます(参考リンク1)。
AAまたはAGタイプの遺伝子型を持つ人は、加齢に関係なくワーキングメモリ機能を維持できる傾向があります。
一方でGGの遺伝子型を持つ人は、加齢にともないワーキングメモリ機能が低下する傾向を示します(参考リンク2)。
AAまたはAGタイプの人は、電話で話を聞きながらメモを取る、マニュアルを理解して実行するなど、日常生活を送る上での作業を高齢になってもスムーズに行える可能性があります。
一方でGGタイプの人は、頼まれたことを忘れてしまう、2つ以上のタスクがうまくこなせない、同じことを繰り返し話すなど、ワーキングメモリ機能が低下する可能性が考えられます。
これらは認知症の初期症状と類似しており、将来認知症となるリスクが示唆されています(参考リンク3)。
対策としては、大切な予定や約束は、メモを取ってわかりやすいところに貼っておく、毎日の出来ことを日記に書くなどの習慣をつけるとよいでしょう。
このようにワーキングメモリに関する遺伝的な傾向を科学的に確認することで、その人の能力に合わせて事前に対策を検討できるのではないでしょうか。
【DNAとの関連メカニズム】
【rs3764030】 ワーキングメモリの機能維持 染色体位置 12 遺伝子 GRIN2B遺伝子 臓器 脳

ワーキングメモリに関わるGRIN2B遺伝子は、人に共通する24の染色体の内、12番染色体に位置します。
GRIN2B遺伝子は、脳の海馬という新しい記憶を保存するところに多く発現しており、学習と記憶に重要であることが示されています(参考リンク2)。
実際に、海馬の働きが課題を効率的に解くために必要なワーキングメモリと関係していることが、東京大学大学院の薬学研究グループによって解明されています(参考リンク4)。
以上のように、「rs3764030」は、ワーキングメモリといった能力にも関係し、注目されているSNPの一つです。