祖先

DNA鑑定でわかる祖先のルーツについて解説

DNA鑑定でわかる祖先のルーツについて解説

自分の祖先がどこから来たのか?

移民大国であるアメリカでは、「自分の祖先がどこから来たのか?」というルーツ探しが流行しています。

このブログでも以前、「ルーツをたどる旅」というタイトルで日本から申込可能なDNA鑑定と祖先の故郷への旅行がセットになったプランについてご紹介しました。
今回はDNA鑑定でわかる祖先のルーツに関して、より掘り下げて解説していきます。

現代の日本人の多くは、氷河期の移住者からなる縄文時代の人々(紀元前15,000~500年)と、その後に中国や朝鮮からやってきた人々との交配によって生まれたと考えられています。

そのため、ヨーロッパのDNAの痕跡もわずかに残ってはいる人はいるものの、日本人の多くは隣国である中国や韓国にルーツを持っています。

自分の祖先がどこから来たのか?

祖先をたどることができる主なDNA鑑定は、常染色体、Y染色体、ミトコンドリアDNAの3種類の検査があります。
鑑定結果に応じて、血縁関係の近さや自分の祖先がどのハプログループに属するかがわかるようになっています。

ハプログループとは、世界各地の人々のDNAを分析し、類似のDNA配列を持つ人同士を集めたグループのことで、どこの地域にどのDNA配列を持つ人達が多いのかという指標になります。

それぞれの検査の特徴を示します。

 

それぞれの検査の特徴

常染色体検査(X染色体を含む)

世界の数ある地域集団からどのぐらいの割合で遺伝子を受け継いでいるのか、血縁関係の近さがわかる検査です。
常染色体は、それぞれの親から常染色体DNAの50%を子に継承します。

しかし、精子や卵子が作られる際に染色体のシャッフルが起きるため、継承されていくに連れて祖先と共有するDNAが少なくなります。

それゆえ、Y染色体やミトコンドリアDNA検査とは異なり、常染色体検査は祖先をはるか遠くまで遡ることができないというデメリットがあります。

Y染色体検査

父系祖先の移動経路がわかる検査です。

男性である父親から受け継がれていくY染色体を調べるため、母方の影響を受けずに父方の直系を辿ることができます。(あなたの父、父の父、父の父の父など)
また女性はY染色体を持たないため、この検査はできません。

日本人男性に見られる代表的なY染色体のハプログループとして、ハプログループO(50%以上)とハプログループD1a2a (40%)があります。
ハプログループOの大部分は満州、朝鮮、日本、漢民族などに多く見られ、一部に中国南部、台湾、フィリピン、マレーシア周辺などに見られます。

ハプログループD1a2a(旧D-M55)は、日本固有のもので、アイヌや沖縄で多く見られ、縄文人の父方の優勢な系統であったと考えられています。

最終的に辿り着いた男系の共通祖先は「Y染色体・アダム」と呼ばれ、20〜30万年前にアフリカに生存していたと推定されています。

ミトコンドリアDNA検査

母系祖先の移動経路がわかる検査です。

女性である母親から受け継がれていくミトコンドリアのDNAを調べるため、父方の影響を受けずに母方の直系を辿ることができます。(あなたの母、母の母、母の母の母など)
ミトコンドリアDNAは、卵細胞の中に含まれているため、母から子へとのみ受け継がれます。

また、母親から受け継がれたミトコンドリアDNAは男性も女性も持っているため、男女ともに検査が可能です。
女性は結婚時に姓が変わる事が多いため、母系祖先を辿ることに役立つ可能性が期待できます。

日本人に見られる代表的なミトコンドリアDNAのハプログループは、Y染色体よりもさらに複雑に分類されます。
15種類もの主要な系統(A、B、F、D4h、M系など)があり、総合的に見ると母方の血統の約66%が中韓系であることが確認されています。

最終的に辿り着いた女系の共通祖先は「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれ、約20万年前にアフリカに生存していたと推定されています。

それぞれの検査の特徴

祖先をたどることができる主なDNA鑑定は、上記のような特徴があり、Y染色体およびミトコンドリアDNAは、どちらも何世代にもわたって受け継がれるため、非常に古い系譜や古代の民族を特定することができます。

そして、ヒト(ホモ・サピエンス・サピエンス)の祖先はアフリカで誕生し、世界各地に伝播していったというアフリカ単一起源説を支持できるものとなっています。

DNA鑑定によって先祖のルーツを調べることは、自分が知らなかった過去と出会える唯一の方法なのかもしれません。唾液等の検体を用いたキットによるDNA鑑定サービスもありますので、ぜひ利用してみてください。

 

参考資料

常染色体、Y染色体、ミトコンドリアDNA
・ハプログループ関係
Y染色体アダム
ミトコンドリア・イブ

ルーツをたどる旅

新潟・山形地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

ルーツをたどる旅

皆様は、旅行はお好きですか?
私は好きで、よく海外に行くのですが、だんだんと目的地が同じような場所になり、少し物足りなくなってきました。
そんな時、Airbnbという世界最大手民泊仲介サイトが、遺伝子鑑定を専門とする23andMeと提携し、ゲストが自分のルーツを訪ねる「ヘリテージ旅行」のサービスを開始する、というニュースを見ました。
皆様もご存知の通り、DNAを調べてわかるのは血縁関係だけではありません。
遺伝的にどのような病気のリスクがあるか、自分にはどのような人種のDNAが受け継がれているのか、などを簡単に知ることができます。

Airbnbのヘリテージ旅行サービスでは

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Airbnbのヘリテージ旅行サービスでは、23andMeでDNA型鑑定を行った結果をもとに、自分の祖先の故郷への旅行プランやアクティビティが提案されるそうです。
しかしこのサービスには欠点がいくつかあります。
日本は検体採取キットの発送地域から除外されているため鑑定を受けることができないこと、ヨーロッパ以外にルーツを持つ場合は結果の精度が落ちること、そしてAirbnbなどに出身地等の個人情報が開示されることです。
AncestryDNAは、Airbnbに先立ち、Go Ahead Toursと提携しヘリテージ旅行の提供を行っています。
他にも日本からでも鑑定可能なのは、LivingDNAやFamily TreeDNAという会社です。
23andMeやAncestryDNAでは、ルーツが東アジアだと、ざっくりとした範囲の鑑定結果が出るようですが、LivingDNAやFamily TreeDNAでは、より詳細な鑑定結果が得られるようです。今後日本やアジアからの被検者が増えれば、23andMeなどでもより詳細な結果が得られるようになるでしょう。
日本人の多くは中国や韓国にルーツを持っていますが、調べてみると意外なところにルーツが見つかるかもしれません。興味を持たれた方は、ご自身でもお調べになってはいかかでしょうか。

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故人との血縁関係が知りたい!

お盆は故人を想う機会の1つ

ちょうどひと月まえはお盆でしたね。お墓参りをしたり、孫の顔を見たり見せたりと、何かと忙しい時間を過ごされた方も多いのではないでしょうか。

お盆は故人を想う機会の1つですよね。誰かが亡くなることで明らかになる衝撃の事実も少なくはないでしょうし、それに伴い遺産相続などで血縁関係を明らかにする必要に迫られるかもしれません。
このように、故人との血縁関係を証明する必要がある場合、どうすればよいのでしょうか?

故人との血縁関係を証明する必要がある場合

故人との血縁関係を調べる際、鑑定に使用する検体はどうしても口腔上皮以外の検体がほとんどかと思います。
お亡くなりになられてから時間が経ってしまうと、歯ブラシやタバコの吸い殻などの検体を提出するのが困難な場合が多いです。
では、何を検体として提出すればよいのでしょうか。

今回ご提案させていただくのは下記の通りです。

ご提案させていただく口腔上皮以外の検体

  1. 抜歯した歯

    ※火葬前に抜歯したものに限ります。
  2. へその緒

    ※乾燥状態のもので、長さ3cm以上が望ましいです。
    鑑定の状況によりご返却できない場合もありますが、返却をご希望の場合はお申込時にお申し付けください。
    保管用の木の箱で、きちんと乾燥保管された場合は常温で30年ぐらい過ぎたものでも検体として用いることができます。
  3. 毛髪

    ※毛根が付いていない場合は、母系の血縁関係しかお調べできません。
  4. 医療機関に保管されている病理組織

    ※医療機関を受診した際、鑑定などに使用した、ホルマリンやパラフィンの中で保管されている臓器の一部などです。
  5. 帽子

    ※帽子の内側に付着している細胞からDNAを抽出するので、故人のみが着用し、その後直射日光を避けて保管され、洗濯されていないものに限ります。

以上です。

お気軽にご相談ください

もし他の物のご提出をお考えの場合は、お電話やメールにてご相談していただければと思います。
被検者がお亡くなりになられている場合、専門スタッフの立ち会いのもと口腔上皮を採取することが非常に困難なため、法的鑑定は行うことができません。

弊社では私的鑑定でのみ承りますが、裁判所によっては私的鑑定の報告書でも認められる場合がありますので、裁判官の方などにご相談の上、弊社にお申込みいただけますと幸いです。

ミトコンドリア・イブ ~全人類の母系は1人の女性に通ず~

母親からしか遺伝しないもの

お父様とお母様から子供が生まれる時、両親から均等に半分ずつ遺伝子をもらっていることはよく知られていますが、実はお母様からしか遺伝しないものがあるということをご存知でしょうか?
それはミトコンドリアDNA(mtDNA)と言われるもので、母系でのみ遺伝するとされています。

弊社でもこのmtDNAにあるHV領域(hypervariable region)と呼ばれる非常にDNAの変異が起こりやすい塩基部分を何箇所か鑑定することで、被験者様同士で共通の母系を持つ(=血縁関係にある)という鑑定を行っています。

ミトコンドリア・イブ

このmtDNAに着目し、1980年代にアメリカの研究チームが人類のルーツはどこにあるのかを調べた研究があります。
その研究で、147人の無作為に抽出した世界各地の人の母系を辿った結果、約16万年前のアフリカのある集団にいた1人の女性に辿り着くことが分かりました。
その女性のことを旧約聖書になぞらえて、ミトコンドリア・イブと呼んでいます。
これはその時代に1人しか女性がいなかったというわけではなく、他にもいたと思われる女性の子孫は、女性が生まれず母系が絶えてしまったということが考えられます。
そう考えるとミトコンドリア・イブはとても幸運な女性だったと言えますね。

最近では男性に特有の性染色体であるY染色体に着目し、同様に父系をさかのぼった研究もされています。
それによると、私たちの父系のルーツもアフリカにあるということが分かったそうです。(ちなみにこの男性はミトコンドリア・イブに対して、Y染色体アダムと言われています)
以上、DNA型鑑定から紐解かれる人類の歴史についてでした。

最近アメリカではこのような研究成果に基づき、自分の先祖のルーツを確認するようなサービスが一般的に行われるようになりました。
興味がございましたら是非、ご自身のルーツを辿ってみられてはいかがでしょうか。

恐竜のDNA解析で進化の過程が明らかに!DNA解析の最先端技術とは

恐竜の子孫は鳥類であるという説の裏付け

現在、恐竜の子孫は鳥類であるという説が有力です。
以前より恐竜と鳥類の共通点は多く判明していましたが、それを裏付ける証拠がありませんでした。
しかし、近年の発掘調査により恐竜が絶滅したとされる白亜紀(約6600万年前)の地層から相次いで羽毛を生やした恐竜の化石が発見され、当説が確実となりました。
当説の裏付けに一役貢献したのがDNA解析です。

東北大学大学院生命科学研究科の田村宏治教授らの研究グループは、鳥類に「鳥らしさ」をもたらすDNA配列に着目し、現存する48種類の鳥から鳥類のみに特有のゲノム配列を同定しました。
その結果、99%が遺伝子として意味を持たない配列であり、その多くがエンハンサー(遺伝子の発現制御を担うDNA配列)であることをつきとめました。
さらなる解析により、飛翔に関わる遺伝子が生物間で共通して存在するものの、鳥類のみ風切羽や尾羽で発現していることが判明しました。

次世代DNAシーケンサー

当研究はSpringer Nature (UK)発行の online 科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されており、恐竜の進化に伴うDNAの変化を裏付けています。
この研究を促進させたのは言うまでもなく次世代DNAシーケンサーです。

従来までのキャピラリー型と比べ、1/100のコストで一度に10億(ギガ)塩基を解読できる優れものです。
弊社では当機器を3台導入し、SNP(一塩基多型)を用いた独自の手法を開発することで迅速かつ高精度な出生前血液DNA型鑑定を可能にしました。
DNA型鑑定は、日々、DNA分析の最先端の技術を研究、応用している我々seeDNAにお任せください。

出生前DNA型鑑定

DNA鑑定による国籍の確認

DNA型鑑定の精度

DNA型鑑定と国籍

最近のDNA型鑑定は、約21,000兆人を一人ずつ見分けられるほどの精度です。
地球上の人口は70億人ほどですので、DNA型鑑定によって正確に個人を同定することできます。
20年前の足利事件で行われたDNA型鑑定に比べると1億倍以上も精度が上がっています。
それでも料金は1/10以下まで落ちているので、最近の技術の発展は本当に凄いですね。(国際基準より高い99.9999999%精度のDNA型鑑定

DNA型鑑定で分かるもの

新しいDNA型鑑定の技術が開発されてから、DNA型鑑定を用いた個人の識別だけではなく、血縁関係の有無や、妊娠中の母親の血液を用いて胎児の親子鑑定ができるようになっています。
2010年頃からは、自分の先祖を探るための大規模なプロジェクトがアメリカなどで始まりました。

DNA型鑑定の限界

どんなにDNA型鑑定の精度が上がっても、国籍の判定や一卵性双子の見分けは出来ません。(双子兄弟でもDNA型鑑定で父親を確認できる?
弊社のDNA型鑑定の精度は99.999999%以上ですが、それでも100%であるとは言い切れませんし、国籍などは全く分かりません。
国籍の取得などで入局管理局で使われる法的DNA型鑑定とは、父(母)とされる人との父子(母子)血縁関係を調べるDNA親子(父子)鑑定もしくは、DNA親子(母子)鑑定です。
DNA型鑑定の情報により人種や先祖の系統が分かるだけで、国籍が分かるわけではありません。

DNA血縁鑑定の詳細はこちら

人間を進化させた良い遺伝子の裏切り

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人類は長い道のりを歩んできました。

初期の人類は生存することに集中しなければなりませんでした。狩りをしなければ何も食べられず、より強い動物からの絶え間ない脅威にさらされてきました。その中でも強い者のみが生き残り、その優れた遺伝子は今日の私たちに受け継がれています。

しかし、その優れた遺伝子が今の人類にとって弱点だとしたらどうでしょう?ゴールドマン博士の著書「Too Much of a Good Thing」では、初期の人類の狩猟生活に必要であった特性が、現代の人間の生活にとってそれほど有益ではないことを示しています。

人間は食物と水が乏しい時代に進化しました。

初期の採集狩猟民は、食べ物が手に入ると残らず完食していました。彼らはエネルギー貯蔵する方法として体脂肪を必要としたので、体重の減少を妨げるホルモンを開発しました。また狩りの間に体を冷やすために汗をかく必要があり、塩の味を発達させました。私たちは今でも塩を切望しており、必要以上に多くを摂取しています。

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現代の人類はものがあふれている世界に住んでいます。

人間はもはや狩猟をする必要はなくなりましたが、人体はまだ余分なカロリーを摂取して脂肪を溜めるようにプログラミングをされています。また私たちが摂取する過剰な塩分は高血圧を引き起こし、心臓や腎臓を損傷する可能性があります。現代では日々、様々な脅威に直面していないのに、体にはまだ警報を発するシステムが残っています。捕食者に服従したり、捕食者から身を隠したりする本能は内在化しており、心労や鬱病につながる可能性があるとされています。

このように、肥満、心臓病、および鬱病などの病気は、私たちが遺伝的にかかりやすいものであるということです。現代の人類のDNAが今の生活に則した変化を見せるのは莫大な時間を要することから、解決策としてゴールドマン博士は現代医学の進歩に注目しています。現代の技術は、ヒトゲノム全体の配列決定を比較速やかに行うことができます。つまり、遺伝病のスクリーニング鑑定や治療法を個人の特定の遺伝的要因に合わせることができます。遺伝学をもっと理解することで、私たちは自分の体をもっと寛容にし、セルフケアにより良いアプローチをとることができるでしょう。