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アルコール消費量傾向

アルコール消費量傾向のイメージ画像
  • アルコール消費量傾向は遺伝子ONECUT2付近のDNA領域rs4092465と関連しており、AA型の人は飲酒量が増えやすいです。
  • 日本人のAA型保有率は59.9%で、世界平均(15.5%)の約3.9倍と高く、アルコール依存リスクが高い傾向があります。
  • 遺伝子検査で自分の傾向を知り、お酒の飲み方の見直しや依存症の予防に役立てられます。

概要

【概要】 「お酒を飲む量が増えてきたなぁ。」と感じている方はいませんか。 ほどよい飲酒は、ストレス解消や血の巡りをよくするなどの効果があると言われていますが、飲みすぎには注意が必要です。飲みすぎると、急性アルコール中毒やがんのリスクが上がり、肝臓にも悪い影響が出ます。 では、なぜ飲みすぎてしまうのでしょうか。仕事のストレスや日々の疲れなど、そのときの気持ちの状態も関係していますが、最近の研究から、遺伝子「ONECUT2」の近くにあるDNAの一部が、お酒を飲む量(アルコール摂取量)に影響していることがわかりました。 お酒を飲む量が増えると、アルコール依存症や内臓の病気になるリスクが高まります。特にアルコール依存症になると、自分の力だけで治すのは難しく、周りの人に迷惑をかけてしまうこともあります。 自分がどのような遺伝子を持ち、何に気をつければよいかを知ることは、自分自身だけでなく周りの人への気配りにもつながります。 お酒の量で悩んでいる方は、一度遺伝子検査で調べてみてはいかがでしょうか。

【特徴】 イギリスのバイオバンク(大勢の人の血液や遺伝子の情報を集めた施設)で行われた研究で、遺伝子「ONECUT2」の周りに、飲酒量と関係のあるDNA領域「rs4092465」が見つかりました。 このDNA領域には「AA型」「AG型」「GG型」の3つの遺伝子型があります。日本人では「AA型」が53.3%で最も多く、「AG型」が39.4%で次に多く、「GG型」が7.3%で最も少なくなっています。「AG型」と「GG型」の人は、依存に関わるホルモンを受け取る部分(受容体)が少なく、飲酒量が少なくなる傾向があります。 一方、世界全体では「AG型」が47.8%で最も多く、「AA型」は15.53%で最も少ないことがわかっています。そのため、世界全体で見ると、日本人はお酒に依存しやすい遺伝子の特徴を持つ人が多いと言えます。

【科学的根拠】 遺伝子「ONECUT2」は、ヒトが持つ24種類の染色体のうち18番染色体にあります。肝臓の細胞にたくさんあり、お酒を飲む量や回数と深く関係しています。 この遺伝子がどれだけ働くかは、microRNA9(miR9)という小さな分子(RNAの一種)によって調節されています。miR9の調節がうまくいかないと、遺伝子「ONECUT2」の働きが強くなりすぎます。 この変化は肝臓の細胞だけでなく、脳の「線条体」という部分でも見られます。線条体に異常が起きると、依存や快楽をおさえる働きが弱くなり、薬物やアルコールなどへの依存状態になりやすく、飲酒量が増えるリスクが高まると考えられています。 このことから、DNA領域「rs4092465」は飲酒量の増加と深く関係しており、今も研究が進められている遺伝子の個人差(一塩基多型)です。

アルコール消費量傾向とは何か

アルコール消費量傾向とは、その人がお酒を飲む量が、遺伝子の影響をどのくらい受けているかを表すものです。遺伝子ONECUT2の近くにあるDNA領域rs4092465が飲酒量と関係していることが、イギリスのバイオバンクの研究でわかりました(1)。

なぜ飲みすぎてしまうのか? ― 遺伝子と飲酒量の関係

ほどよい飲酒はストレス解消や血の巡りをよくする効果があると言われていますが、飲みすぎると健康に大きな悪影響が出ます。仕事のストレスや疲れといった、そのときだけの原因に加えて、遺伝子が飲酒量に影響していることが最新の研究でわかっています。

  • 遺伝子ONECUT2:18番染色体にあり、肝臓の細胞にたくさんある遺伝子です。
  • DNA領域rs4092465:ONECUT2の周りにあり、飲酒量と直接関係する遺伝子の個人差(一塩基多型)です。
  • microRNA9(miR9):ONECUT2の働きの強さを調節する小さな分子(RNAの一種)

遺伝子型ごとの飲酒量への影響

DNA領域rs4092465にはAA型・AG型・GG型の3つの遺伝子型が存在します。

遺伝子型 飲酒量への影響 日本人の割合 世界の割合
AA型 飲酒量が増えやすい傾向 59.9% 15.5%
AG型 依存に関わるホルモンの受容体が少なく、飲酒量が少なくなる傾向があります。 34.9% 47.7%
GG型 依存に関わるホルモンの受容体が少なく、飲酒量が少なくなる傾向があります。 5.1% 36.7%

日本人はAA型の割合が59.9%で、世界平均15.5%の約3.9倍であることから、世界的に見てアルコールに依存しやすい遺伝的特徴を持つ人種であると言えます。

しくみ ― ONECUT2遺伝子はどう働くのか

ONECUT2遺伝子がどれだけ働くかは、microRNA9(miR9)という小さな分子(RNAの一種)によって調節されています。miR9の調節がうまくいかないと、次のような流れで飲酒量が増えます。

  • miR9による調節がうまくいかない → ONECUT2の働きが強くなりすぎます。
  • 肝臓の細胞だけでなく脳の線条体でもONECUT2が増えます。
  • 線条体の異常 → 依存や快楽をおさえる働きが弱くなります。
  • アルコールに依存した状態になる → 飲酒量が増えます。

飲みすぎによる健康上のリスク

飲みすぎには次のような健康上のリスクがあります。

  • 急性アルコール中毒:一度にたくさん飲むと、呼吸が弱くなったり意識がなくなったりします。
  • 肝臓障害:脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変のリスクが上がります。
  • がんリスクの上昇:食道がん、肝臓がん、大腸がんのリスクが上がります。
  • アルコール依存症:自分の力だけで治すのが難しく、毎日の生活への影響が大きいです。

自分の遺伝子の傾向を知ることは、お酒の飲み方を見直したり、周りの人に気を配ったりすることにつながります。

遺伝子とアルコール消費量の関係

DNA領域rs4092465と飲酒量の関係

イギリスのバイオバンクで行われた大規模な研究(1)で、遺伝子ONECUT2の周りにあるDNA領域rs4092465が飲酒量と関係していることがわかりました。

  • rs4092465にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
  • AG型とGG型は依存に関わるホルモンの受容体が少なく、飲酒量が少なくなる傾向があります。
  • AA型の人は飲酒量が増えやすいです。

日本人の遺伝子型の割合(rs4092465)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
AA型 59.9% 15.5%
AG型 34.9% 47.7%
GG型 5.1% 36.7%

DNA領域rs4092465で日本の人が各遺伝子型を持つ割合

  • AA
    59.9%
  • AG
    34.9%
  • GG
    5.1%

DNA領域rs4092465で世界の人が各遺伝子型を持つ割合

  • AA
    15.5%
  • AG
    47.7%
  • GG
    36.7%

DNA領域rs732770で日本の人が各遺伝子型を持つ割合

  • GG
    15.9%
  • GA
    47.9%
  • AA
    36.1%

DNA領域rs732770で世界の人が各遺伝子型を持つ割合

  • GG
    42.3%
  • GA
    45.4%
  • AA
    12.1%

DNA領域rs1229984で日本の人が各遺伝子型を持つ割合

  • TT
    53.4%
  • TC
    39.3%
  • CC
    7.2%

DNA領域rs1229984で世界の人が各遺伝子型を持つ割合

  • TT
    0.2%
  • TC
    9.2%
  • CC
    90.4%

DNA領域rs713598で日本の人が各遺伝子型を持つ割合

  • CC
    18.7%
  • CG
    49.0%
  • GG
    32.1%

DNA領域rs713598で世界の人が各遺伝子型を持つ割合

  • CC
    33.3%
  • CG
    48.7%
  • GG
    17.8%

検査の科学的な根拠

代表的なDNA領域:アルコール消費量傾向

アルコール消費量傾向に最も強く影響するDNA領域は、rs4092465です。 日本でのこのDNA領域の遺伝子型の割合は下のとおりです。

  • AA
    59.9 %
  • AG
    34.9 %
  • GG
    5.1 %

ほかに、アルコール消費量傾向に関わるDNA領域にはrs732770があります。 日本でのこのDNA領域の遺伝子型の割合は下のとおりです。

  • GG
    15.9 %
  • GA
    47.9 %
  • AA
    36.1 %

ほかに、アルコール消費量傾向に関わるDNA領域にはrs1229984があります。 日本でのこのDNA領域の遺伝子型の割合は下のとおりです。

  • TT
    53.4 %
  • TC
    39.3 %
  • CC
    7.2 %

ほかに、アルコール消費量傾向に関わるDNA領域にはrs713598があります。 日本でのこのDNA領域の遺伝子型の割合は下のとおりです。

  • CC
    18.7 %
  • CG
    49.0 %
  • GG
    32.1 %

検査の根拠

イギリスのバイオバンクで行われたMengzhen Liuらの大規模な研究で、お酒を飲む量の傾向が遺伝子と関係していることがわかりました。遺伝子ONECUT2の周りにあるDNA領域rs4092465には、AとGの2種類の違いがあります。AG型とGG型の人は、依存に関わるホルモンの受容体(ホルモンを受け取る部分)が少なく、飲酒量が少なくなる傾向があります(1)。

今回調査したDNA領域

細胞の中にあるDNAマップの模式図

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関連遺伝子

関連遺伝子 ST8SIA3
関連遺伝子 AATF
関連遺伝子 ADH1B
関連遺伝子 MGAM

よくある質問

Q1. アルコール消費量傾向とは何ですか?

アルコール消費量傾向とは、その人がお酒を飲む量が、遺伝子の影響をどのくらい受けているかを表すものです。遺伝子ONECUT2の近くにあるDNA領域rs4092465が飲酒量に関わっており、AA型の人は飲酒量が増えやすい傾向にあります(1)。

Q2. 飲酒量に関与する遺伝子は何ですか?

遺伝子ONECUT2が飲酒量に深く関わっています。18番染色体にあるこの遺伝子は、肝臓の細胞と脳の線条体で働き、依存や快楽をおさえる働きに影響します。DNA領域rs4092465にはAA型・AG型・GG型の3つの遺伝子型があります(1)。

Q3. 日本人のアルコール依存リスクは世界的に高いですか?

日本人はAA型の割合が59.9%と世界平均(15.5%)の約3.9倍です。飲酒量が増えやすい遺伝子型を持つ人の割合が高いため、世界的に見るとアルコール依存のリスクが高い傾向にあります。

Q4. 過度な飲酒のリスクとは?

飲みすぎは、急性アルコール中毒、肝硬変、がんのリスク上昇、アルコール依存症になることにつながります。アルコール依存症は自分の力だけで治すのが難しく、周りの人への影響も大きいため、早めの予防が大切です。

参考文献