アトピー性皮膚炎
- アトピー性皮膚炎は免疫の異常と皮膚のバリア機能の低下による、長く続く炎症性の皮膚の病気で、日本では赤ちゃんや幼い子どもの約10〜15%がかかります。
- DNA領域rs13015714のGタイプを持つ人はなりやすい傾向にあることが理化学研究所の研究で分かりました。
- 正しい保湿・薬による治療・アレルゲンを避けることで症状を抑え、再発を防ぐことができます。
概要
【病気の概要】 アトピー性湿疹は、アトピー性皮膚炎とも呼ばれ、良くなったり悪くなったりを長く繰り返す、炎症(赤くはれる反応)が起きる皮膚の病気です。 主に赤ちゃんや子どもに多くみられますが、大人になっても続く場合があります。
【症状と特徴】 アトピー性湿疹の主な症状は、強いかゆみ、乾燥、赤み、そして皮膚がカサカサすることです。 これらの症状は特に夜に悪くなりやすく、かゆみのせいで眠れなくなることもあります。 また、皮膚を何度もかくことで傷がつき、湿疹が広がったり、細菌などに感染しやすくなったりします。 湿疹は、顔、首、肘の内側、膝の裏側など、皮膚のやわらかい部分に多く見られますが、全身に広がることもあります。 アトピー性湿疹が起こるしくみには、遺伝子の影響、免疫(体を守るしくみ)の働き、さらに皮膚のバリア機能(外からの刺激を防ぐ働き)の低下などが関わっています。 患者さんはアレルギー性鼻炎やぜんそくなど、ほかのアレルギーの病気を一緒に起こすことが多く、この状態を「アトピーマーチ」と呼びます。 さらに皮膚のバリア機能が弱くなると、アレルギーの原因物質(アレルゲン)や刺激物が皮膚に入りこみやすくなり、アレルギー反応や炎症の原因になります。
【治療と注意点】 アトピー性湿疹の診断は、主に医師が皮膚の症状を見て行います。 必要に応じて、パッチテスト(皮膚に物質を貼って反応を見る検査)や、血液中のアレルギーに関わる抗体の量を測る検査などを行います。 治療では、アレルゲンや刺激物を避け、皮膚を清潔にして保湿し、症状に合わせてステロイド薬、免疫の働きを整える薬、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬を使います。
【遺伝子とリスク】 理化学研究所のHirotaらの研究により、アトピー性皮膚炎のなりやすさがrs13015714というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、GT、TTの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、アトピー性皮膚炎になるリスクが高い傾向にあることが分かりました。
アトピー性皮膚炎とは何か
アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)は、免疫(体を守るしくみ)の異常と、皮膚のバリア機能の低下が重なって起こる、長く続く炎症性の皮膚の病気です。日本では赤ちゃんや幼い子どもの約10〜15%、大人の約2〜3%がかかっています。
アトピー性皮膚炎の原因とメカニズム
アトピー性皮膚炎は、次の3つの要因が重なって起こります。
- 皮膚バリア機能の低下:フィラグリン遺伝子の変化などで皮膚の一番外側の層(角質層)がうるおいを保てなくなり、アレルゲンが入りこみやすくなります。
- 免疫の異常:アレルギーを起こしやすいタイプの免疫反応が強く働きすぎ、アレルギーに関わる抗体が多く作られます。
- まわりの環境:ダニ・花粉・食べ物のアレルゲン、乾燥、ストレス、汗が症状を悪くします。
主なリスク要因は次のとおりです。
- 生まれつきの体質(両親のどちらかがアレルギー体質を持つ場合、発症する割合は約50%に上がる)
- フィラグリン遺伝子(FLG)の変化
- DNA領域rs13015714のGタイプ
- 都会の生活環境・清潔にしすぎる生活
アトピー性皮膚炎の主な症状
症状は長い期間、悪くなったり良くなったりを繰り返すことが特徴です。
- 強いかゆみ(特に夜に悪くなり、眠れない原因になる)
- 皮膚の乾燥・赤み・ぶつぶつ
- かきこわしによる皮膚のただれ・じゅくじゅく
- 長く続くと皮膚が厚く硬くなります(苔癬化)。
- できやすい場所:顔・首・肘の内側・膝の裏側です。
アトピー性皮膚炎と接触性皮膚炎の違い
| 比較項目 | アトピー性皮膚炎 | 接触性皮膚炎 |
|---|---|---|
| 原因 | 生まれつきの体質+免疫の異常+バリア機能の低下 | 特定の物質にふれること |
| 発症する年齢 | 赤ちゃんのころに多いです。 | 年齢を問いません。 |
| 経過 | 長く続き、くり返す | 原因を取り除けば良くなります。 |
| 遺伝子の影響 | 強い関係 | 関係は低い |
| アレルギー抗体の値 | 高いことが多いです。 | ふつうの値 |
| 治療 | 保湿+ステロイド+免疫を整える薬 | 原因物質を避ける+塗り薬 |
アトピー性皮膚炎と一緒に起こりやすい病気(アトピーマーチ)
アトピー性皮膚炎は、次の病気を順番に起こしていく「アトピーマーチ」を引き起こす可能性があります。
- ぜんそく(気管支喘息)(アトピー性皮膚炎の患者さんの約30〜50%が発症)
- アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)
- 食物アレルギー(特に赤ちゃんや幼い子ども)
- 皮膚の感染症(カポジ水痘様発疹症・とびひなど)
診断方法
次の検査や評価で診断されます。
- 医師による皮膚の観察(かゆみ・湿疹の場所・長く続いているか)
- 血液中のアレルギーに関わる抗体の量を測ります。
- パッチテスト(アレルゲンを調べる)
- 血液検査で皮膚の炎症の強さを表す物質(ターク)の値を測ります。
アトピー性皮膚炎の治療法
治療は次の3つが柱です。
- スキンケア:保湿剤を毎日使って皮膚のバリア機能を補います。
- 薬による治療:ステロイドの塗り薬、タクロリムス軟膏(免疫を抑える塗り薬)、炎症の信号を止める薬(ヤヌスキナーゼ阻害薬)、デュピルマブ(生物学的製剤と呼ばれる注射薬)
- 悪くする原因を取り除く:アレルゲンを避ける、正しい入浴のしかた、ストレスをためない工夫
遺伝子とアトピー性皮膚炎の関係
DNA領域rs13015714と病気のなりやすさの関係
理化学研究所のHirotaらの研究(1)により、DNA領域rs13015714がアトピー性皮膚炎のなりやすさと関係していることが分かりました。
- rs13015714にはGG・GT・TTの3つの遺伝子型が存在します。
- Gタイプを持つ遺伝子型の人は、アトピー性皮膚炎のリスクが高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs13015714)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 13.7% | 5.8% |
| GT型 | 46.6% | 36.7% |
| TT型 | 39.6% | 57.4% |
日本人は世界平均とくらべてGG型・GT型の割合が高く、Gタイプを持つ人の割合が高い傾向にあります。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎 に最も強く影響するDNA領域は、rs13015714です。 日本での各遺伝子型の人の割合は下記のとおりです。
- GG
13.7 % - GT
46.6 % - TT
39.6 %
検査の根拠
理化学研究所のHirotaらの研究により、アトピー性皮膚炎のなりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs13015714という領域があり、この領域にはGとTの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、アトピー性皮膚炎になるリスクが高い傾向にあることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | IL18R1 |
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よくある質問
Q1. アトピー性皮膚炎とは何ですか?
アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)は、免疫(体を守るしくみ)の異常と、皮膚のバリア機能の低下が重なって起こる、長く続く炎症性の皮膚の病気です。日本では赤ちゃんや幼い子どもの約10〜15%がかかり、強いかゆみ・乾燥・赤みが主な症状です(1)。
Q2. アトピー性皮膚炎の原因は何ですか?
主な原因は皮膚のバリア機能の低下と免疫の働きすぎです。フィラグリンという遺伝子の変化、まわりの環境(アレルゲン・ストレス・乾燥)、生まれつきの体質が主なリスク要因です。DNA領域rs13015714のGタイプを持つ人はリスクが高い傾向にあります(1)。
Q3. アトピー性皮膚炎と接触性皮膚炎の違いは?
アトピー性皮膚炎は生まれつきの体質と免疫の異常が原因の長く続く病気で、赤ちゃんのころに始まることが多いです。接触性皮膚炎は特定の物質にふれることが原因で、原因物質を除去すれば改善します。
Q4. 遺伝子検査でアトピー性皮膚炎のなりやすさは分かりますか?
DNA領域rs13015714の遺伝子型を調べることで、アトピー性皮膚炎のなりやすさの傾向を知ることができます。Gタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることが研究で分かっています(1)。
Q5. アトピー性皮膚炎は完治しますか?
正しい治療とスキンケアで症状を抑えることができます。赤ちゃんのころに発症した場合、約60〜70%は思春期までに症状が軽くなります。ただし完全に治しきるのは難しく、長い期間のケアが必要です。