バイオエネルギー生産力
- バイオエネルギー生産力は、デカノイルカルニチンによる脂肪酸の代謝でエネルギーのもとをつくる力で、肝臓や筋肉など、たくさんのエネルギーを使う場所で大切です。
- DNA領域rs8396のT型の変異を持つ人は、バイオエネルギー生産力が高い傾向にあることが研究でわかっています。
- 日本人の57.7%がTT型を持っていて、世界平均(50.7%)より高い割合です。
概要
【概要】 デカノイルカルニチンは、カルニチンとデカン酸(デカノイル基)がくっついてできた物質で、脂肪を燃やしてエネルギーにするしくみ(脂肪酸代謝)で大切な役割をしています。 カルニチンは、主に長い脂肪酸(長鎖脂肪酸)をミトコンドリアに運び、エネルギーとして使えるように手助けする物質ですが、デカノイルカルニチンはその中でも特に中くらいの長さの脂肪酸(中鎖脂肪酸)の代謝にかかわっています。
【特徴】 ミトコンドリアは細胞の「エネルギー工場」として知られ、アデノシン三リン酸(細胞が使うエネルギーのもと)をつくります。 このとき、脂肪酸はカルニチンとくっつき、アシルカルニチンという形でミトコンドリアの中に運ばれます。 デカノイルカルニチンは、このアシルカルニチンの一種で、デカン酸のような中鎖脂肪酸をむだなくエネルギーに変える役割をしています。
【メカニズム】 デカノイルカルニチンは、特に肝臓や筋肉など、たくさんのエネルギーを必要とする場所で大切な役割をしています。 中鎖脂肪酸はほかの脂肪酸よりも早く分解されるため、デカノイルカルニチンはすぐにエネルギーが必要なときに大切です。 たとえば、運動しているときや食事をとっていないときなど、体がすぐにエネルギーを必要とするときに、このしくみが活発になります。
【科学的根拠】 ドイツ研究センターヘルムホルツ協会のSuhreらの研究により、脂肪酸を代謝する力がrs8396というDNA領域と関係していることがわかりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tタイプの変異を持つ人は、脂肪酸を代謝する力が高い傾向にあることがわかりました。
バイオエネルギー生産力とは何か
バイオエネルギー生産力とは、デカノイルカルニチンを通じて脂肪酸を代謝し、ミトコンドリアでアデノシン三リン酸(細胞が使うエネルギーのもと)をつくる力のことです。中鎖脂肪酸をむだなくエネルギーに変える力で、肝臓や筋肉など、たくさんのエネルギーを使う場所で大切な役割をしています。
デカノイルカルニチンとは何か
デカノイルカルニチンは、カルニチンとデカン酸(デカノイル基)がくっついてできた物質です。脂肪酸の代謝で、次のようなはたらきをしています。
- 脂肪酸の輸送:中鎖脂肪酸をミトコンドリアの中に運びます。
- エネルギーに変える:ミトコンドリアの中でエネルギーのもと(アデノシン三リン酸)に変えます。
- すばやいエネルギー供給:中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸より早く分解されます。
バイオエネルギー生産のしくみ
ミトコンドリアは細胞の「エネルギー工場」として知られ、次のような流れでアデノシン三リン酸(エネルギーのもと)をつくります。
- 脂肪酸がカルニチンとくっつき、アシルカルニチンという形になります。
- アシルカルニチンがミトコンドリアの内側の膜を通りぬけます。
- β酸化(脂肪酸を少しずつ切り分ける反応)でアセチル補酵素Aに分解されます。
- クエン酸回路と電子伝達系を通じてアデノシン三リン酸に変える
バイオエネルギー生産力が重要な理由
デカノイルカルニチンは、次のようなときに活発にはたらきます。
| 状況 | エネルギーの使い道 | 大切な理由 |
|---|---|---|
| 運動しているとき | 筋肉にすばやくエネルギーのもとを届けます。 | 持久力や運動の成績に直結 |
| 食事をとっていないとき | 脂肪酸からエネルギーをつくります。 | 血糖値を保つのに欠かせません。 |
| 肝臓での代謝 | 毒を分解するはたらきや代謝を保ちます。 | 肝臓のはたらきを保つのに役立ちます。 |
遺伝子とバイオエネルギー生産力の関係
DNA領域rs8396と脂肪酸を代謝する力の関係
ドイツ研究センターヘルムホルツ協会のSuhreらの研究(1)により、DNA領域rs8396が脂肪酸を代謝する力と関係していることがわかりました。
- rs8396にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- T型の変異を持つ遺伝子型の人は、バイオエネルギー生産力が高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs8396)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 57.7% | 50.7% |
| TC型 | 36.5% | 40.9% |
| CC型 | 5.7% | 8.2% |
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:バイオエネルギー生産力
バイオエネルギー生産力 に最も強く影響するDNA領域は、rs8396です。 日本における各遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- TT
57.7 % - TC
36.5 % - CC
5.7 %
検査の根拠
ドイツ研究センターヘルムホルツ協会のSuhreらの研究により、バイオエネルギー生産力が遺伝子と関係していることがわかりました。人間のDNAには、rs8396という場所があり、そこにはTとCの2種類の変異があります。T型の変異を持つ人は、バイオエネルギー生産力が高い傾向にあることがわかりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | PPID |
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よくある質問
Q1. バイオエネルギー生産力とは何ですか?
バイオエネルギー生産力とは、デカノイルカルニチンを通じた脂肪酸の代謝によって、ミトコンドリアでアデノシン三リン酸(細胞が使うエネルギーのもと)をつくる力です。中鎖脂肪酸をむだなくエネルギーに変える力で、肝臓や筋肉など、たくさんのエネルギーを使う場所で大切です。
Q2. バイオエネルギー生産力に関わる遺伝子は何ですか?
DNA領域rs8396が、脂肪酸を代謝する力と関係しています。この場所にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があり、T型の変異を持つ人はバイオエネルギー生産力が高い傾向にあることがSuhreらの研究(1)でわかっています。
Q3. デカノイルカルニチンとは何ですか?
デカノイルカルニチンはカルニチンとデカン酸がくっついてできた物質で、中鎖脂肪酸をミトコンドリアの中に運び、アデノシン三リン酸(エネルギーのもと)に変える途中でできる物質です。運動しているときや食事をとっていないときなど、すぐにエネルギーが必要なときに活発にはたらきます。
Q4. バイオエネルギー生産力を高める方法はありますか?
適度な有酸素運動はミトコンドリアのはたらきを活発にし、脂肪酸の代謝を進めます。中鎖脂肪酸を含むココナッツオイルなどの食品や、カルニチンを含む赤身の肉を適量とることもよいとされています。ただし、遺伝子の影響も大きくかかわります。
参考文献
- 参考リンク1 : 2011 Aug., Karsten Suhre, Nature
- 参考リンク2 : 2012 Oct., Jan Krumsiek, PLoS Genet
- 参考リンク3 : 2021 Jan., Luca A Lotta, Nat Genet