脳動脈瘤
- 脳動脈瘤とは、脳の動脈の壁が弱くなり血管が風船のようにふくらむ病気で、破裂するとくも膜下出血を起こし、命を落とす危険が高まります。
- DNA領域rs116969723のGタイプを持つ人は脳動脈瘤のリスクが高い傾向にあることが、マサチューセッツ総合病院の研究で分かりました。
- 日本人でGタイプを持つ人(GG型+GA型)の割合は99.7%で、世界平均の99.9%とほぼ同じですが、GA型は日本人が10.0%と世界平均0.4%より約25倍高いです。
概要
【疾患の概要】 脳動脈瘤は、脳の動脈の壁が弱くなり、血管の一部が風船のようにふくらむ状態です。 小さい脳動脈瘤は症状がないことがほとんどですが、破裂するとくも膜下出血(脳の表面での出血)を起こし、命に関わる危険な状態になります。
【症状と特徴】 脳動脈瘤の原因には、遺伝、高血圧、動脈硬化、喫煙、お酒の飲みすぎ、頭のけがなどがあり、これらが血管の壁に負担をかけます。 家族に脳動脈瘤になった人がいる場合もリスクが高まります。 脳動脈瘤が大きくなると、頭痛、視力の低下、顔の痛みやまひなどの症状が出ます。
【治療と注意点】 破裂すると、突然の激しい頭痛、意識がはっきりしない状態、吐き気、手足が動かしにくくなるなどの症状が起こり、命を落とす危険が高まるため、すぐに治療が必要です。 診断には、脳血管造影(血管を写す検査)、コンピューター断層撮影(エックス線で体の断面を写す検査)、磁気共鳴画像(磁石の力で体の中を写す検査)、磁気共鳴血管撮影(同じ仕組みで血管を写す検査)などの画像検査が使われます。 これらの検査で、動脈瘤の場所、形、大きさを調べ、治療の方針を決めます。
【遺伝的リスク】 マサチューセッツ総合病院のHongらの研究により、脳動脈瘤になるリスクがrs116969723というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、AG、AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、脳動脈瘤のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
脳動脈瘤とは何か
脳動脈瘤とは、脳の動脈の壁が弱くなり、血管の一部が風船のようにふくらむ病気です。小さい脳動脈瘤は症状がないことがほとんどですが、破裂するとくも膜下出血(脳の表面での出血)を起こし、命に関わります。
脳動脈瘤の原因とリスク要因
脳動脈瘤ができる原因には、主に6つのリスク要因が関わっています。これらの要因が血管の壁に負担をかけ、動脈瘤ができやすくなります。
- 遺伝:家族に脳動脈瘤になった人がいる場合、リスクが高くなります。
- 高血圧:高い血圧が続くことで血管の壁が傷つきます。
- 動脈硬化:血管の弾力がなくなり、壁がもろくなります。
- 喫煙:血管の内側の細胞を傷つけ、動脈瘤ができるリスクを高めます。
- お酒の飲みすぎ:血圧が上がることで血管の壁への負担が増えます。
- 頭のけが:頭を強く打つなど外からの衝撃で血管の壁が傷つきます。
脳動脈瘤の症状:破裂する前と破裂した後の違い
| 比較項目 | 破裂していない脳動脈瘤 | 破裂した脳動脈瘤 |
|---|---|---|
| 自分で気づく症状 | 小さい場合は症状なし | 突然の激しい頭痛 |
| 神経の症状 | 大きくなると頭痛・視力の低下・顔の痛みやまひ | 意識がはっきりしない・手足が動かしにくい |
| 体全体の症状 | ふつうはなし | 吐き気・吐く |
| 命を落とす危険 | 低い | 高い(すぐに治療が必要) |
脳動脈瘤の診断方法
脳動脈瘤の診断には、次のような画像検査が使われます。これらの検査で、動脈瘤の場所・形・大きさを調べ、治療の方針を決めます。
- 脳血管造影:細い管(カテーテル)を血管に入れ、血管の中を直接写す詳しい検査です。
- コンピューター断層撮影:エックス線で頭の断面を写し、出血があるかをすばやく確認します。
- 磁気共鳴画像:磁石の力を使って脳の細かい画像を撮ります。
- 磁気共鳴血管撮影:造影剤(画像をはっきり写す薬)を使わずに血管の状態を調べます。
遺伝子と脳動脈瘤のリスクの関係
DNA領域rs116969723と脳動脈瘤の関係
マサチューセッツ総合病院のHongらの研究(2019年、Journal of Clinical Medicine掲載)により、脳動脈瘤になるリスクがDNA領域rs116969723と関係していることが分かりました。
- rs116969723にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型が存在します。
- Gタイプを持つ遺伝子型(GG型・GA型)の人は脳動脈瘤のリスクが高い傾向があります。
- このDNA領域はLRRC3遺伝子に関係しています。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs116969723)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 89.7% | 99.5% |
| GA型 | 10.0% | 0.4% |
| AA型 | 0.2% | 0.1%以下 |
日本人のGA型保有率は10.0%で、世界平均の0.4%と比べて約25倍高い割合です。このデータから、日本人では脳動脈瘤に関わる遺伝子のタイプの割合が世界平均と違うことが分かります。
検査の根拠となる研究
代表的なDNA領域:脳動脈瘤
脳動脈瘤に最も強く影響するDNA領域は、rs116969723です。日本人でのそれぞれの遺伝子型の割合は下のとおりです。
- GG
89.7 % - GA
10.0 % - AA
0.2 %
検査の根拠
マサチューセッツ総合病院のHongらの研究により、脳動脈瘤になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人の全遺伝情報(ゲノム)には、rs116969723というDNA領域があり、そこにはGとAの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、脳動脈瘤のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図(模式図)
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LRRC3 |
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よくある質問
Q1. 脳動脈瘤とは何ですか?
脳動脈瘤とは、脳の動脈の壁が弱くなり、血管の一部が風船のようにふくらむ病気です。小さい脳動脈瘤は症状がないことがほとんどですが、大きくなると頭痛・視力の低下・顔の痛みやまひを起こします。破裂するとくも膜下出血(脳の表面での出血)が起こり、突然の激しい頭痛・意識がはっきりしない状態・手足が動かしにくくなるなどの症状が出て、命を落とす危険が高まります。
Q2. 脳動脈瘤は遺伝子と関連していますか?
はい。マサチューセッツ総合病院のHongらの研究(2019年、Journal of Clinical Medicine)により、DNA領域rs116969723が脳動脈瘤になるリスクと関係していることが分かっています。rs116969723にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は脳動脈瘤のリスクが高い傾向にあります。
Q3. 脳動脈瘤に関連する遺伝子型(rs116969723)の日本人における分布は?
日本人でのrs116969723の遺伝子型の割合はGG型89.7%、GA型10.0%、AA型0.2%です。世界全体ではGG型99.5%、GA型0.4%、AA型0.1%以下で、日本人はGA型の割合が世界平均より約25倍高いという特徴があります。
Q4. 脳動脈瘤の主なリスク要因は何ですか?
脳動脈瘤の主なリスク要因は遺伝・高血圧・動脈硬化・喫煙・お酒の飲みすぎ・頭のけがの6つです。特に家族に脳動脈瘤になった人がいる場合、リスクが高くなります。これらの要因が血管の壁に負担をかけ、動脈瘤ができやすくなります。
参考文献
- 参考リンク1 : 2019 Feb., Eun Pyo Hong, J Clin Med