パンの嗜好
- パンの好みはDNA領域rs182549のCタイプと関係し、遺伝子・味覚・文化・健康の目的の4つが合わさって影響します。
- 日本人のCC型の割合は99.9%で、世界平均23.2%と比べて76.7ポイント高いです。
- 関係する遺伝子はMCM6で、乳糖(牛乳に含まれる糖)を分解する力とも関係している可能性があります。
概要
【概要】 パンの好みは、どの種類を選ぶかだけでなく、その人の好き嫌いや食事の制限、育った文化、そして健康の状態にも左右されます。 いろいろな種類のパンを試すうちに、時間や経験を通じて特定の種類が好きになる人もいます。
【特徴】 パンの食感や風味、香り、ほかの食べ物との組み合わせなどが、好みの決まり方に関係します。
【メカニズム】 たとえば、あるパンで食事がもっと楽しくなると感じる人は、そのパンを好むでしょう。 また、栄養や健康の目標に合わせてパンを選ぶこともあります。 育った文化も大切で、多くの地域では昔から食べられてきたパンがあります。 そのため、住んでいる地域の文化や家庭の習慣によって好みが決まることもあります。 さらに、食事の制限や健康上の理由で、選べるパンの種類が限られることもあります。 このように、パンの好みは、その人の経験、健康の目的、育った文化が複雑に関わり合って決まり、一人ひとり違った好みになります。
【科学的根拠】 マサチューセッツ工科大学とハーバード大学のブロード研究所のColeらの研究により、パンの好みがrs182549というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CT、TTの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、特定のパンを好む傾向があることが分かりました。
パンの好みとは
パンの好みとは、食パン・バゲット・ライ麦パン・全粒粉パンなど、いろいろなパンの種類に対する好みの傾向のことです。パンの好みは、単にどの種類を選ぶかだけでなく、遺伝子も深く関わっています。
パンの好みに影響する4つの要因
パンの好みは、次の4つの要因によって決まります。
- 遺伝子の影響:パンに含まれる成分(グルテン・乳糖など)への体の反応は、遺伝子によって人それぞれ違います。
- 味覚・嗅覚の違い:食感・風味・香りの感じ方が人によって違います。
- 育った文化:地域の食文化や家庭の習慣によって、特定のパンが昔から食べられています。
- 健康の目的:栄養バランスやアレルギー、食事の制限に合わせてパンを選びます。
パンの好みができるまで
パンの好みは、子どものころからの経験と遺伝子の影響が関わり合ってつくられます。いろいろな種類のパンを試すうちに、時間とともに特定の種類が好きになります。
| 比較項目 | 遺伝子の影響が強い人 | 環境の影響が強い人 |
|---|---|---|
| 好みの変わりにくさ | 子どものころから好みが変わりません。 | 環境が変わると変わりやすいです。 |
| 影響するもの | 味を感じる仕組み・体での分解の力 | 食文化・家庭の習慣 |
| パンを選ぶポイント | 食感・風味の好みが生まれつき決まりやすいです。 | 栄養や健康への効果を大切にします。 |
| 変わる可能性 | 変わりにくいです。 | 新しい体験で変わることがあります。 |
遺伝子とパンの好みの関係
DNA領域rs182549とパンの好みの関係
マサチューセッツ工科大学とハーバード大学のブロード研究所のColeらの研究(1)により、DNA領域rs182549がパンの好みと関係していることが分かりました。
- rs182549にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型が存在します。
- Cタイプを持つ遺伝子型の人は、特定のパンを好みやすい傾向があります。
- 関係する遺伝子はMCM6(Minichromosome Maintenance Complex Component 6)です。
日本人の遺伝子型の割合(rs182549)
日本人と世界では、遺伝子型の割合に大きな違いがあります。
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 | 差 |
|---|---|---|---|
| CC型 | 99.9% | 23.2% | +76.7ポイント |
| CT型 | 0.1%以下 | 49.9% | −49.9ポイント |
| TT型 | 0.1%以下 | 26.8% | −26.8ポイント |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:パンの嗜好
パンの好みに最も強く影響するDNA領域は、rs182549です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の人の割合は下のとおりです。
- CC
99.9 % - CT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
検査の根拠
マサチューセッツ工科大学とハーバード大学のブロード研究所のColeらの研究(1)により、パンの好みが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs182549という場所があり、そこにはCとTの2種類のタイプがあります。Cタイプを持つ人は、特定のパンを好む傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
関係する遺伝子
| 関係する遺伝子 | MCM6 |
|---|
よくある質問
Q1. パンの好みとは何ですか?
パンの好みとは、食パン・バゲット・ライ麦パンなど、いろいろなパンの種類に対する好みの傾向のことです。遺伝子の影響・味覚や嗅覚(においの感じ方)の違い・育った文化・健康の目的の4つが合わさって影響し、人によって違いが生まれます(1)。
Q2. パンの好みに関係する遺伝子は何ですか?
マサチューセッツ工科大学とハーバード大学のブロード研究所のColeらの研究により、DNA領域rs182549がパンの好みと関係していることが分かりました。Cタイプを持つ人は特定のパンを好みやすい傾向があり、関係する遺伝子はMCM6です(1)。
Q3. 日本人のパンの好みに関する遺伝子型の割合の特徴は?
日本人のrs182549の遺伝子型の割合は、CC型99.9%・CT型0.1%以下・TT型0.1%以下です。世界平均(CC型23.2%)と比べて、CC型の割合が76.7ポイント高いのが特徴です(1)。
Q4. 遺伝子検査でパンの好みの傾向は分かりますか?
DNA領域rs182549の遺伝子型を調べることで、パンの好みの傾向が分かりできます。CC型(日本人の99.9%)の人は特定のパンを好みやすい傾向があることが研究で分かっています(1)。
Q5. パンの好みに影響する遺伝子以外の要因は?
遺伝子以外では、食文化・家庭の習慣・健康上の理由・食事の制限がパンの好みに影響します。子どものころからの食習慣や地域の食文化が好みをつくり、栄養の目標やアレルギーによって選ぶパンが変わります。
参考文献
- 参考リンク1 : 2020 Mar., Joanne B Cole, Nat Commun