神経性過食症
- 神経性過食症は摂食障害の一種であり、過食と代償行動(吐く・下剤を使うなど)をくり返す病気で、10〜20代の女性に多いです。
- DNA領域rs77600076の遺伝子型が神経性過食症のリスクと関係しており、オーストラリアの双子研究で科学的な根拠が示されています。
- 日本人のrs77600076遺伝子型は99.9%がAA型であり、世界平均(AA型93.1%)と比べてAA型の割合が高いです。
概要
【概要・特徴】 摂食障害とは、食事に関するふつうではない行動が続き、自分の体重や体型の感じ方にも影響が出て、心と体の両方に影響を与える病気です。神経性食欲不振症(いわゆる拒食症)、神経性過食症、過食症など、症状によって分けられます。(参考リンク 1) この病気は、10代から20代の若者に多く、女性の割合が高いとされています。 また、遺伝子の影響もあるとされており、双子を調べた研究では、摂食障害に遺伝による部分があることが報告されています。(参考リンク 2) 摂食障害は、日常生活や社会生活に大きな影響を与え、栄養不足や嘔吐、下痢などの体の不調(合併症)を引き起こすことがあり、時には命に関わることもあります。 自分自身の遺伝子検査を行うことで、摂食障害のリスクを確認することができます。
【2. 理論的根拠】 オーストラリアの研究チームは、オーストラリア国内に登録された双子のデータを使って、双子の女性2,564人を対象に、たくさんの遺伝子をまとめて調べる研究を行いました。 神経性過食症に注目すると、問題があるグループの151人と、問題がないグループの2,291人を比べた結果、DNA領域「rs77600076」の遺伝子型が神経性過食症に関係していることがわかりました。 このDNA領域には、「AA型」、「AC型」、「CC型」という3つの遺伝子型があります。ただしアジア、東アジアの人の遺伝子タイプは全て「AA型」となっており(参考リンク 3)、「神経性過食症」と「A」、「C」の関係については、まだはっきりした報告がありません。
【3. メカニズム】 DNA領域「rs77600076」が神経性過食症にどのように関係しているのか、その仕組みについてはまだ報告されていません。 ただし、DNA領域「rs77600076」は21番染色体にあり、近くにある「TMPRSS15」という遺伝子の働き具合に関わっている可能性があります。 この遺伝子は、すい臓で作られるトリプシノーゲンを、消化酵素のトリプシンに変える酵素を作ります。この遺伝子に変化があると、胃腸の動きの異常や栄養の吸収不足、そして体の成長不良が起こることがあります。 そのため、遺伝子「TMPRSS15」の変化は摂食障害に関係している可能性があり、DNA領域「rs77600076」も関わっていると考えられます。(参考リンク 4) このように、DNA領域「rs77600076」は、神経性過食症のリスクに関係する注目すべき遺伝子の個人差(一塩基多型)の1つです。
神経性過食症とは何か
神経性過食症とは、摂食障害の一種で、短い時間にたくさんの量を食べる「過食」と、体重が増えないように吐いたり下剤を使ったりする「代償行動(埋め合わせの行動)」をくり返す心の病気です。摂食障害には神経性食欲不振症(拒食症)・神経性過食症・過食症などの種類があり、食事に関するふつうではない行動が続き、自分の体重や体型の感じ方にも影響します。(参考リンク 1)
神経性過食症の特徴とリスクに関わる要因
神経性過食症には以下の特徴とリスクに関わる要因があります。
発症の特徴
- 多い年齢:10代から20代の若い人に多いです。
- 性別:女性の割合が男性より高いです。
- 遺伝子の影響:双子を調べた研究により、遺伝による部分があることが報告されています(参考リンク 2)。
身体への影響
- 栄養障害:過食と嘔吐のくり返しによる栄養不足・電解質異常(体の塩分バランスの乱れ)
- 消化器系:嘔吐・下痢などの体の不調(合併症)
- 生命への危険:重くなると、命に関わる可能性があります。
社会的影響
- 日常生活:食べ方の異常により毎日の活動に支障が出ます。
- 社会生活:人間関係や仕事・勉強への影響が出ます。
摂食障害の種類と比較
| 比較項目 | 神経性食欲不振症(拒食症) | 神経性過食症 |
|---|---|---|
| 主な症状 | 極端な食事制限があり、体重が減ります。 | 過食と代償行動のくり返し |
| 体重の変化 | 著しい低体重 | 標準〜やや体重が多めの人が多いです。 |
| 体の合併症 | 栄養不足・骨粗しょう症になり、月経が止まります。 | 電解質異常・歯が溶ける・唾液腺のはれ |
| 多い年齢 | 10代後半〜20代前半 | 10代後半〜20代 |
遺伝子と神経性過食症の関連
DNA領域rs77600076と神経性過食症の関係
オーストラリアの研究チームが双子の女性2,564人を対象に、たくさんの遺伝子をまとめて調べた結果、DNA領域rs77600076の遺伝子型が神経性過食症と関係していることがわかりました。
- rs77600076にはAA・AC・CCの3つの遺伝子型があります。
- 発症した151人と発症していない2,291人を比べて関係を確認
- アジア・東アジアの人の遺伝子タイプはほぼ全てAA型
- 「神経性過食症」と「A」「C」の具体的な関係については、まだはっきりした報告がありません。
日本人と世界における遺伝子型分布の比較(rs77600076)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 99.9% | 93.1% |
| AC型 | 0.1%以下 | 6.6% |
| CC型 | 0.1%以下 | 0.1% |
日本人のAA型保有率は99.9%であり、世界平均の93.1%と比べて高い割合です。AC型・CC型は日本人ではほとんど見つかっていません。(参考リンク 3)
神経性過食症のメカニズムとは
DNA領域rs77600076は21番染色体にあり、近くにあるTMPRSS15遺伝子の働き具合に関わっている可能性があります。
- TMPRSS15遺伝子:すい臓のトリプシノーゲンを消化酵素のトリプシンに変える酵素を作ります。
- 消化への影響:胃腸の動きの異常・栄養の吸収不足・体の成長不良を引き起こす可能性
- 摂食障害との関連:TMPRSS15遺伝子の変化が摂食障害に関係し、rs77600076も関わっている可能性があります(参考リンク 4)。
以上のことから、DNA領域rs77600076は神経性過食症のリスクに関係する注目すべき遺伝子の個人差(一塩基多型)の1つです。自分自身の遺伝子検査を行うことで、摂食障害のリスクを確認することができます。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:神経性過食症
神経性過食症 に最も強く影響するDNA領域は、rs77600076です。 日本での遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- AA
99.9 % - AC
0.1%以下 - CC
0.1%以下
検査の根拠
オーストラリアの研究チームは、オーストラリア国内に登録された双子のデータを使って、双子の女性2,564人を対象に、たくさんの遺伝子をまとめて調べる研究を行いました。神経性過食症に注目すると、発症した151人と発症していない2,291人を比べた結果、DNA領域rs77600076の遺伝子型が神経性過食症に関係していることがわかりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | CHODL |
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よくある質問
Q1. 神経性過食症とは何ですか?
神経性過食症とは、摂食障害の一種で、短い時間にたくさんの量を食べる「過食」と、体重が増えないように吐いたり下剤を使ったりする「代償行動(埋め合わせの行動)」をくり返す心の病気です。10代から20代の女性に多く、栄養不足・電解質異常(体の塩分バランスの乱れ)・胃腸の不調など、心と体の両方に深刻な影響を与えます。重くなると、命に関わることもあります。
Q2. 神経性過食症は遺伝子と関連していますか?
はい。オーストラリアの研究チームが双子の女性2,564人を対象に行った遺伝子の研究で、DNA領域rs77600076の遺伝子型が神経性過食症と関係していることがわかりました。rs77600076にはAA・AC・CCの3つの遺伝子型があり、発症した151人と発症していない2,291人を比べて関係が確認されています。
Q3. 日本人における遺伝子型(rs77600076)の分布は?
日本人におけるrs77600076の遺伝子型分布はAA型99.9%、AC型0.1%以下、CC型0.1%以下です。アジア・東アジアの人の遺伝子タイプはほぼ全てAA型です。世界全体ではAA型93.1%、AC型6.6%、CC型0.1%であり、日本人はAA型の割合が世界平均より高いという特徴があります。
Q4. 神経性過食症に関わる遺伝子のメカニズムはどのようなものですか?
DNA領域rs77600076は21番染色体にあり、近くにあるTMPRSS15遺伝子の働き具合に関わっている可能性があります。TMPRSS15は、すい臓で作られるトリプシノーゲンを消化酵素のトリプシンに変える酵素を作る遺伝子です。この遺伝子に変化があると、胃腸の動きの異常・栄養の吸収不足・体の成長不良が起こる可能性があります。この仕組みが摂食障害のリスクに影響する可能性があると考えられています。
参考文献
- 参考リンク1 : 「摂食障害」の情報 国立精神・神経医療研究センター
- 参考リンク2 : 2013 Sep., Tracey D Wade, Int J Eat Disord.
- 参考リンク3 : DNA 領域「rs77600076」の情報 米国国立衛生研究所
- 参考リンク4 : 遺伝子「TMPRSS15」の情報 米国国立衛生研究所
- 参考リンク5 : 2013 Sep., Tracey D Wade, Int J Eat Disord