咽頭系の疾患
- 咽頭系の疾患は、咽頭に起きる病気をまとめた呼び方で、飲み込む・息をする・声を出すという3つの働きに影響します。
- DNA領域rs9542155のTタイプを持つ人はかかりやすい傾向があることが研究で分かりました。
- 感染予防・禁煙・逆流性食道炎の管理で、咽頭の病気にかかりにくくできます。
概要
【疾患の概要】 咽頭障害は、喉の奥にある咽頭(のどの奥の通り道)に問題が起きる状態です。主に、飲み込む・息をする・声を出すといった働きに影響します。 咽頭は口や食道、空気の通り道(気道)とつながっているため、ここに問題があるとさまざまな不調が出ます。
【症状と特徴】 咽頭障害の原因としてよくあるのは、風邪や喉の炎症などの感染症、そしてアレルギーです。 これらは喉の痛みや腫れ、違和感を起こし、飲み込んだり話したりしにくくなることがあります。 また、喉の乾燥、何かが詰まったような感じ(異物感)、声がかすれるなどの症状も出ます。 さらに、咽頭に悪性腫瘍(喉頭がんや咽頭がん)ができることもあります。 これらのがんは初めのうちは症状が出ないことが多いですが、進むと痛みや出血、ひどい飲み込みにくさが見られます。 また、逆流性食道炎によって胃酸が喉まで逆流し、炎症や不快感を起こすこともあります。
【治療と注意点】 診断では、身体の診察、画像検査、内視鏡検査(細いカメラで中を見る検査)などを行い、病気の原因をはっきりさせてから治療します。
【遺伝子の影響】 ヘルシンキ大学のSaarentausらの研究で、咽頭系の疾患のかかりやすさが、rs9542155というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、咽頭系の疾患にかかりやすい傾向があることが分かりました。
咽頭系の疾患とは何か
咽頭系の疾患とは、喉の奥にある咽頭に起きる病気をまとめた呼び方です。咽頭は、口や鼻の奥と、食道や気道(空気の通り道)をつなぐ管のような器官です。飲み込む(嚥下)・息をする・声を出すという3つの大切な働きをしています。
咽頭系の疾患の原因とメカニズム
咽頭障害の原因は、大きく次の4つに分けられます。
- 感染症:風邪のウイルス・細菌(溶連菌など)・カビの仲間(真菌)による咽頭炎・扁桃炎が最も多いです。
- アレルギー:花粉やハウスダストなどで咽頭の粘膜が腫れたり、違和感が出たりします。
- 逆流性食道炎:胃酸が咽頭まで逆流し、長く続く炎症や不快感を起こします。
- 悪性腫瘍:咽頭がん・喉頭がんは初めのうちは症状がなく、進むと痛み・出血・ひどい飲み込みにくさが起こります。
咽頭系の疾患の主な症状
症状は原因となる病気によって違いますが、代表的なものは次のとおりです。
- 喉の痛み・腫れ・違和感
- 飲み込みにくさ(嚥下困難)
- 声のかすれ(嗄声)
- 喉の乾燥・何かが詰まった感じ
- 息苦しさ(重い場合)
咽頭系の疾患の分類比較
| 比較項目 | 咽頭炎 | 扁桃炎 | 咽頭がん |
|---|---|---|---|
| 原因 | ウイルス・細菌感染 | 細菌感染(溶連菌) | 喫煙・飲酒・ヒトパピローマウイルス感染 |
| かかる人の多さ | 非常に高い | 高い | 低い(日本で年間約3万人) |
| 主な症状 | 喉の痛み・発熱 | 扁桃の腫れ・高熱 | 飲み込みにくさ・出血 |
| 治療 | 症状をやわらげる治療・抗菌薬 | 抗菌薬・手術 | 手術・放射線治療・抗がん剤治療 |
| 治りやすさ | 良い(1〜2週間で治る) | 良い(治療でよくなる) | 早く見つかれば5年生存率60〜70% |
診断方法
次のような検査で診断します。
- 身体の診察(目で見たり手で触れたりして咽頭を調べる)
- 内視鏡検査(鼻から細いカメラを入れて喉を見る検査)
- 画像検査(体の断面を写すコンピューター断層撮影や磁気を使った断層撮影)
- 組織を少し取って調べる検査(腫瘍の場合)
予防と対策
咽頭系の疾患にかかりにくくするには、次のような対策が役立ちます。
- 手洗い・うがいの徹底で感染を防ぎます。
- 禁煙・節酒(咽頭がんになりにくくする)
- 逆流性食道炎の管理(食べてすぐに横にならないなど)
- 加湿器の使用で喉の乾燥を防ぎます。
遺伝子と咽頭系の疾患の関連
DNA領域rs9542155とかかりやすさの関係
ヘルシンキ大学のSaarentausらの研究(1)で、DNA領域rs9542155が咽頭系の疾患のかかりやすさと関係していることが分かりました。
- rs9542155にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Tタイプを持つ遺伝子型の人は、咽頭系の疾患にかかりやすい傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs9542155)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 28.9% | 10.9% |
| TC型 | 49.7% | 44.3% |
| CC型 | 21.3% | 44.6% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:咽頭系の疾患
咽頭系の疾患 に最も強く影響するDNA領域は、rs9542155です。 日本での各遺伝子型の人の割合は下のとおりです。
- TT
28.9 % - TC
49.7 % - CC
21.3 %
検査の根拠
ヘルシンキ大学のSaarentausらの研究で、咽頭系の疾患のかかりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAにはrs9542155という場所があり、そこにはTとCの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、咽頭系の疾患にかかりやすい傾向があることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | KLHL1 |
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よくある質問
Q1. 咽頭系の疾患とは何ですか?
咽頭系の疾患とは、喉の奥にある咽頭に起きる病気をまとめた呼び方です。飲み込む・息をする・声を出すという3つの働きに影響し、咽頭炎・扁桃炎・咽頭の腫瘍・逆流性咽頭炎(胃酸の逆流による喉の炎症)などが含まれます。
Q2. 咽頭系の疾患の原因は何ですか?
主な原因はウイルスや細菌による感染症、アレルギー、逆流性食道炎、喫煙・飲酒の習慣です。遺伝子の影響としては、DNA領域rs9542155にTタイプを持つ人はかかりやすい傾向があります(1)。
Q3. 咽頭系の疾患と喉頭系の疾患の違いは?
咽頭は口や鼻の奥から食道の上の方までの部分で、食べ物と空気の通り道です。喉頭は咽頭の下にあり、声帯を含む声を出すための器官です。咽頭の病気は飲み込みにくさが主な症状で、喉頭の病気は声のかすれ(嗄声)が主な症状です。
Q4. 遺伝子検査で咽頭系の疾患のかかりやすさは分かりますか?
DNA領域rs9542155の遺伝子型を調べることで、咽頭系の疾患へのかかりやすさの傾向を知ることができます。Tタイプを持つ遺伝子型の人はかかりやすい傾向があることが、ヘルシンキ大学の研究で分かっています(1)。