好酸球減少症
- 好酸球減少症は白血球の一種である好酸球がふつうより少なくなる状態で、免疫の力が弱まっているかどうかの目安になります。
- DNA領域rs11700925の遺伝子型が好酸球の数に関係しており、Tを持つ人は好酸球の数が多い傾向があります。
- 診断には全血球計算検査(血液検査の一つ)が使われ、原因となる病気を見つけて治療することが大切です。
概要
【疾患の概要】 好酸球減少症は、白血球の一種である好酸球が、ふつうよりもとても少なくなった状態のことです。 好酸球は体を守る免疫のしくみの一部で、寄生虫から体を守ったり、アレルギー反応を調整したりする役割があります。
【主な特徴と影響】 ふつう、好酸球は血液中の白血球の約1〜6%を占めます。 しかし、好酸球減少症の人は、この割合がふつうよりもかなり低くなります。 原因はさまざまで、強いストレスやステロイド薬(炎症をおさえる薬)の使用などで起こります。 また、細菌やウイルスに感染すると、免疫のしくみが反応して好酸球の数が減ることもあります。
【治療と注意点】 好酸球減少症を調べるときは、血液中の細胞の数と種類を数える「全血球計算検査」(血液検査の一つ)がよく行われます。 この検査で好酸球の数を知ることで、病気の進み具合や治療の効果を確かめられるため、とても大切です。
【遺伝子との関係】 ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、好酸球の数がrs11700925というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CT、TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、好酸球の数が多い傾向があることが分かりました。
好酸球減少症とは何か
好酸球減少症は、白血球の一種である好酸球が、血液中でふつうより少なくなった状態です。好酸球はふつう、白血球の約1〜6%を占め、寄生虫から体を守ったり、アレルギー反応をおさえたりしています。
好酸球減少症の原因としくみ
好酸球減少症は、次のような原因で起こります。
- 強いストレス:強いストレスで副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が増え、好酸球が減ります。
- ステロイド薬の使用:ステロイド薬が好酸球の細胞死(アポトーシス)を早めます。
- 急な感染症:細菌やウイルスに感染したとき、体の防御反応として好酸球の数が下がります。
- クッシング症候群:副腎皮質ホルモンが出すぎることで、好酸球が減ったままになります。
好酸球の役割と、減ったときの影響
好酸球は、体を守る免疫のしくみの中で次のような大切なはたらきをしています。
- 寄生虫感染からの生体防御
- アレルギー反応の調整・おさえる
- 炎症反応における組織修復
好酸球が減ると、これらの体を守るはたらきが弱まり、感染症にかかりやすくなる可能性があります。
好酸球減少症の診断方法
全血球計算検査(血液検査の一つ)で血液中の好酸球の数を測ります。
- 好酸球の数が血液1μLあたり50個未満で好酸球減少症と診断されます。
- 白血球の種類ごとの割合を調べる検査で、好酸球の割合を確かめます。
- 原因となる病気を見つけるため、追加の検査を行います。
好酸球減少症と好酸球増加症の違い
| 比較項目 | 好酸球減少症 | 好酸球増加症 |
|---|---|---|
| 定義 | 好酸球がふつうより少ない状態 | 好酸球がふつうより多い状態 |
| 基準値 | 50個/μL未満 | 500個/μL以上 |
| 主な原因 | ストレス・ステロイド・感染症 | アレルギー・寄生虫・自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃する病気) |
| 症状 | 免疫力の低下・感染症にかかりやすくなります。 | 臓器のダメージ・炎症 |
遺伝子と好酸球の数の関係
DNA領域rs11700925と好酸球の数の関係
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、DNA領域rs11700925が好酸球の数と関係していることが分かりました。
- rs11700925にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型が存在します。
- Tを持つ遺伝子型の人は、好酸球の数が多い傾向があります。
日本人の遺伝子型の分布(rs11700925)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 99.9% | 58.2% |
| CT型 | 0.1%以下 | 36.1% |
| TT型 | 0.1%以下 | 5.5% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:好酸球減少症
好酸球減少症に最も強く関係するDNA領域は、rs11700925です。 日本での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- CC
99.9 % - CT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
ほかに、好酸球減少症に関係するDNA領域としてrs34290285があります。 日本での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- GG
72.4 % - GA
25.3 % - AA
2.2 %
ほかに、好酸球減少症に関係するDNA領域としてrs7080536があります。 日本での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- GG
99.9 % - GA
0.1%以下 - AA
0.1%以下
ほかに、好酸球減少症に関係するDNA領域としてrs3093479があります。 日本での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- AA
24.0 % - AG
49.9 % - GG
25.9 %
検査の根拠
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、好酸球の数が遺伝子と関係していることが分かりました。rs11700925のDNA領域にはCとTの2種類の型があり、Tを持つ人は好酸球の数が多い傾向があります(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | RUNX1 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | D2HGDH |
| 関連遺伝子 | HABP2 |
| 関連遺伝子 | IL9R |
よくある質問
Q1. 好酸球減少症とは何ですか?
好酸球減少症は、白血球の一種である好酸球が、血液中でふつうより少なくなった状態です。好酸球はふつう、白血球の約1〜6%を占め、寄生虫から体を守ったり、アレルギー反応を調整したりしています(1)。
Q2. 好酸球減少症の原因は何ですか?
主な原因は強いストレス、ステロイド薬(炎症をおさえる薬)の使用、細菌やウイルスによる急な感染症です。クッシング症候群(ホルモンが出すぎる病気)やアルコール依存も原因になります。DNA領域rs11700925の遺伝子型が好酸球の数に影響することも、研究で分かっています(1)。
Q3. 好酸球減少症はどうやって診断しますか?
全血球計算検査(血液検査の一つ)で血液中の好酸球の数を測ります。好酸球の数が血液1μLあたり50個未満のとき、好酸球減少症と診断されます。
Q4. 遺伝子検査で好酸球減少症のなりやすさは分かりますか?
DNA領域rs11700925の遺伝子型を調べることで、好酸球の数の傾向を知ることができます。ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、Tを持つ遺伝子型の人は好酸球の数が多い傾向があることが分かっています(1)。
参考文献
- 参考リンク1 : 2020 Sep., Dragana Vuckovic, Cell
- 参考リンク2 : 2016 Nov., William J Astle, Cell
- 参考リンク3 : 2020 Sep., Ming-Huei Chen, Cell