胎児の時の成長の遅れ
- 胎児発育制限は胎児が子宮の中で通常の大きさまで育たない状態で、推定体重が同じ妊娠週数の下位10%に入る場合に診断されます。
- DNA領域rs1805087のG型を持つ人は胎児発育制限のリスクが高い傾向にあることが研究で分かりました。
- 早く見つけることと適切な妊娠管理・栄養摂取・定期検診で、胎児の健康リスクを下げられます。
概要
【疾患の概要】 胎児発育制限(子宮内胎児発育遅延とも呼ばれます)は、おなかの中の赤ちゃん(胎児)が通常の大きさまで育たない状態のことです。 ふつうは、超音波で推定した胎児の体重が、同じ妊娠週数の胎児の中で下位10%に入る場合をいいます。
【症状と特徴】 この状態は、母親、胎盤、胎児のそれぞれに関わるさまざまな原因で起こります。 母親側の原因には栄養不足や一部の病気、胎盤の問題、胎児の染色体の異常などがあります。 胎児発育制限のある赤ちゃんの様子はさまざまで、体が小さい、皮下脂肪が少ないなどの特徴が見られます。
【治療と注意点】 生まれた後には、うまく食事がとれない、発達が遅れる、感染症にかかりやすいなど、いろいろな健康上の問題が起こる可能性があります。 胎児発育制限は早く見つけて適切なケアをすることが大切で、場合によっては予定より早く出産することが必要になることもあります。
【遺伝的リスク】 ベルゴロド州立大学のEfremovaらの研究により、胎児の成長の遅れがrs1805087というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、胎児の成長が遅れるリスクが高い傾向にあることが分かりました。
胎児発育制限とは何か
胎児発育制限は、おなかの中の赤ちゃん(胎児)が子宮の中で通常の大きさまで育たない状態のことです。推定した胎児の体重が、同じ妊娠週数の胎児の中で下位10%に入る場合に診断されます。
胎児発育制限の原因としくみ
胎児発育制限の原因は、母親・胎盤・胎児の3つのグループに分けられます。
- 母体要因:栄養不足、高血圧、喫煙、薬物の使用、長く続く病気(腎臓の病気・自己免疫疾患)
- 胎盤要因:胎盤の働きの低下、胎盤の血流の悪化、胎盤早期剥離(出産前に胎盤がはがれること)
- 胎児要因:染色体の異常、生まれつきの感染症(妊娠中に母親から胎児にうつる感染症)、多胎妊娠(双子以上の妊娠)
胎児発育制限の主な症状
胎児発育制限のある胎児には以下の特徴が見られます。
- 妊娠週数に比べて子宮底長(おなかの大きさの目安)が小さいです。
- 超音波検査で推定体重が基準より少ないです。
- 生まれた後の体が小さいや皮下脂肪が少ないです。
- 生まれた後の食事の難しさ・発達の遅れ・感染症にかかりやすいです。
胎児発育制限のタイプ別比較
| 比較項目 | 対称性の胎児発育制限(早期型) | 非対称性の胎児発育制限(後期型) |
|---|---|---|
| 発症時期 | 妊娠初期〜中期 | 妊娠後期 |
| 主な原因 | 染色体の異常・生まれつきの感染症 | 胎盤の働きの低下・母親の栄養不足 |
| 体の特徴 | 体全体が同じように小さいです。 | 頭の大きさは正常、おなかまわりが小さいです。 |
| 頻度 | 胎児発育制限全体の約20〜30% | 胎児発育制限全体の約70〜80% |
| 見通し | 原因によっては良くありません。 | 適切に管理すれば比較的良いです。 |
診断方法
以下の方法で胎児発育制限が診断されます。
- 超音波検査で胎児の体重を推定します。
- ドップラー血流検査(へその緒の動脈・脳の動脈の血流を調べる)
- 羊水の量のチェック(羊水が少なすぎないか)
- 子宮底長の測定
胎児発育制限の予防と管理
胎児発育制限のリスクを下げるための方法は以下のとおりです。
- 適切な栄養摂取(葉酸・鉄分・タンパク質をしっかりとる)
- たばこをやめる・アルコール回避
- 定期的な妊婦健診を受ける
- 持病(高血圧・糖尿病)をきちんと管理します。
- 重度の場合は早めの出産を考えます。
遺伝子と胎児発育制限の関係
DNA領域rs1805087と発症リスクの関係
ベルゴロド州立大学のEfremovaらの研究により、DNA領域rs1805087が胎児発育制限のリスクと関係していることが分かりました。
- rs1805087にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- G型を持つ遺伝子型(AG型・GG型)の人は、胎児発育制限のリスクが高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs1805087)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 66.7% | 65.3% |
| AG型 | 29.8% | 31.0% |
| GG型 | 3.3% | 3.6% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:胎児の時の成長の遅れ
胎児の時の成長の遅れに最も強く影響するDNA領域は、rs1805087です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- AA
66.7 % - AG
29.8 % - GG
3.3 %
検査の根拠
ベルゴロド州立大学のEfremovaらの研究により、胎児の成長の遅れが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAにはrs1805087という領域があり、その領域にはAとGの2種類のタイプがあります。G型を持つ人は、胎児の成長が遅れるリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップのイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | MTR |
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よくある質問
Q1. 胎児発育制限とは何ですか?
胎児発育制限は、おなかの中の赤ちゃん(胎児)が子宮の中で通常の大きさまで育たない状態です。推定した胎児の体重が、同じ妊娠週数の胎児の中で下位10%に入る場合に診断されます。母親・胎盤・胎児のいくつかの原因が重なって起こります。
Q2. 胎児発育制限の原因は何ですか?
主な原因は、母親側の原因(栄養不足・高血圧・喫煙)、胎盤側の原因(胎盤の働きの低下・血流の悪化)、胎児側の原因(染色体の異常・生まれつきの感染症)の3つです。DNA領域rs1805087のG型も、リスクを高める要因として報告されています。
Q3. 遺伝子検査で胎児発育制限のリスクは分かりますか?
DNA領域rs1805087の遺伝子型を調べることで、胎児発育制限になりやすさの傾向を知ることできます。G型を持つ遺伝子型(AG型・GG型)の人はリスクが高い傾向にあることが研究で分かっています。
Q4. 胎児発育制限はどのように診断されますか?
超音波検査で胎児の体重を推定するのが主な診断方法です。妊娠週数に対して推定体重が下位10%未満の場合に胎児発育制限と診断されます。ドップラー血流検査や羊水の量のチェックもあわせて行われます。