胃がん
- 胃がんは、胃の粘膜の細胞ががんに変わる悪性腫瘍で、日本では年間約13万人が新たに診断され、がんによる死亡原因の第3位です。
- DNA領域rs751402のA型変異を持つ人は、胃がんになるリスクが高い傾向があることが研究で分かっています。
- ピロリ菌の除菌・食生活の見直し・定期的な検診で、早期発見と予防ができます。
概要
【疾患の概要】 胃がんは、胃の内側をおおう粘膜の細胞ががん細胞に変わり、増えていくことで起こる悪性腫瘍(命にかかわるがん)の一種です。
【症状と特徴】 胃がんは、初期にはほとんど自覚症状がありません。そのため見つかるのが遅れやすく、治療が難しくなることがあります。
【治療と注意点】 胃がんは日本や東アジアの国々で特に多い病気です。かかりやすさには、食生活や生活習慣、遺伝子の影響が関係しています。 胃がんが進むと、食欲がない、体重が減る、おなかが痛い、胃の不快感、吐き気、嘔吐、血便、貧血などの症状が出てきます。 これらの症状はほかの胃腸の病気と似ているため、胃がんがかなり進むまで気づかれないことがよくあります。 胃がんの診断では、内視鏡検査(胃カメラ)がよく使われます。胃の中を直接見て、あやしい部分から組織を少し取り、顕微鏡で詳しく調べます(病理検査)。 この検査で、がんがあるかどうかや、どこまで進んでいるかを判断します。 胃がんの進み具合に合わせて、手術、抗がん剤による治療(化学療法)、放射線治療などが行われます。 手術では、胃の一部または全部を切り取るのが一般的です。 胃がんの予防には、バランスのよい食事、たばこや飲みすぎを避けること、ピロリ菌に感染しているかを調べて、必要なら除菌治療を受けることが役立ちます。 また、定期的に健康診断や内視鏡検査を受けると、早く見つけて早く治療でき、胃がんの治療効果を高めることができます。
【遺伝的リスク】 曁南大学のHuangらの研究で、胃がんへのかかりやすさがrs751402というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Aタイプの変異を持つ人は、胃がんのリスクが高い傾向があることが分かりました。
胃がんとは何か
胃がんは、胃の内側をおおう粘膜の細胞ががん細胞に変わり、増えていく悪性腫瘍です。日本では年間約13万人が新たに胃がんと診断され、がんによる死亡原因の第3位です。
胃がんの原因とリスク因子
胃がんには、いくつもの原因がかかわっています。最も大きな原因はヘリコバクター・ピロリ菌感染で、胃がん全体の約80%に関係しています。
- ピロリ菌感染:胃の粘膜に長く続く炎症を起こし、がんになるリスクを高めます。
- 食生活:塩分のとりすぎ、くん製や漬物など塩分の多い食品をたくさん食べることです。
- 喫煙:たばこを吸わない人と比べて、リスクが約1.6倍に上がります。
- お酒の飲みすぎ:胃の粘膜が傷つけられる状態が続きます。
- 遺伝子の影響:家族に胃がんになった人がいると、リスクが2〜3倍になります。
胃がんの主な症状
胃がんは初期にはほとんど自覚症状がないため、見つかるのが遅れることがよくあります。進むにつれて、次のような症状が出てきます。
- 食欲がなく、体重が減ります。
- 腹痛・胃の不快感
- 吐き気・嘔吐
- 血便・黒色便
- 貧血(少しずつ出血が続くため)
胃がんの進み具合と分類
| ステージ | がんの広がり | 5年後に生きている人の割合(目安) |
|---|---|---|
| ステージI | 胃の粘膜の中だけにとどまります。 | 約90%以上 |
| ステージII | 胃の壁の筋肉の層まで広がります。 | 約60〜70% |
| ステージIII | 胃の外側の膜(漿膜)をこえて広がる、またはリンパ節に転移します。 | 約30〜40% |
| ステージIV | 離れた臓器に転移しています。 | 約5〜10% |
胃がんの検査方法
次の検査で、胃がんがあるかどうかと、どこまで進んでいるかを判断します。
- 内視鏡検査(胃カメラ):胃の中を直接見て、組織を少し取り、顕微鏡で詳しく調べます(病理検査)。
- バリウム検査(胃のレントゲン検査):レントゲン撮影で胃の形の異常を確認します。
- コンピューター断層撮影(体の輪切り画像の検査):がんの広がりや、ほかの場所への転移があるかを調べます。
- 血液検査:腫瘍マーカー(がんがあると血液中で増えやすい物質。がん胎児性抗原、糖鎖抗原19-9など)の測定を行います。
胃がんの治療法
進み具合に合わせて、次のような治療が行われます。
- 内視鏡で切り取る治療:早い段階の胃がんに行います。
- 外科手術:胃の一部または全部を切り取ります。
- 化学療法(薬による治療):抗がん剤による治療です。
- 放射線治療:放射線をあててがん細胞をこわします。
胃がんの予防方法
次のような対策で、胃がんのリスクを下げることができます。
- ピロリ菌の検査と除菌:胃がんのリスクを約1/3に減らします。
- 塩分を控えたバランスのよい食事
- 禁煙・お酒はほどほどに
- 野菜・果物をしっかりとります。
- 40歳以上は定期的な内視鏡検査の受診をおすすめします。
遺伝子と胃がんの関係
DNA領域rs751402と胃がんリスクの関係
曁南大学のHuangらの研究で、DNA領域rs751402が胃がんへのかかりやすさと関係していることが分かりました。
- rs751402にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- A型変異を持つ遺伝子型の人は、胃がんのリスクが高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs751402)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 14.0% | 4.0% |
| AG型 | 46.8% | 32.0% |
| GG型 | 39.0% | 63.9% |
日本人はA型変異を持つ人の割合が世界平均より高く、AA型が14.0%(世界平均4.0%)、AG型が46.8%(世界平均32.0%)です。そのため、日本人は遺伝子の面で胃がんのリスクが高い集団である可能性があります。
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:胃がん
胃がん に最も強く影響するDNA領域は、rs751402です。 日本人がそれぞれの遺伝子型を持つ割合は、下のとおりです。
- AA
14.0 % - AG
46.8 % - GG
39.0 %
検査の根拠
曁南大学のHuangらの研究で、胃がんへのかかりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs751402という領域があり、この領域にはAとGの2種類の変異があります。Aタイプの変異を持つ人は、胃がんのリスクが高い傾向があることが分かりました。
今回調べたDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図(模式図)
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ERCC5 |
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よくある質問
Q1. 胃がんとは何ですか?
胃がんは、胃の粘膜の細胞ががん細胞に変わって増えていく悪性腫瘍です。日本では年間約13万人が診断され、がんによる死亡原因の第3位です。初期にはほとんど自覚症状がないため、早く見つけることが治療成功のカギです。
Q2. 胃がんの原因は何ですか?
最大の原因はヘリコバクター・ピロリ菌感染で、胃がん全体の約80%に関係しています。塩分のとりすぎ、喫煙、飲みすぎ、生まれつきの遺伝子の影響も主なリスク因子です。DNA領域rs751402のA型変異を持つ人はリスクが高い傾向があります。
Q3. 胃がんの初期症状にはどのようなものがありますか?
胃がんの初期には自覚症状がほとんどありません。進むと食欲がない、体重が減る、腹痛、吐き気・嘔吐、血便、貧血などが出てきます。定期的な内視鏡検査で早く見つけることが大切です。
Q4. 遺伝子検査で胃がんのリスクは分かりますか?
DNA領域rs751402の遺伝子型を調べることで、胃がんへのなりやすさの傾向を知ることができます。曁南大学のHuangらの研究で、A型変異を持つ遺伝子型の人はリスクが高いことが分かっています。
Q5. 胃がんの予防方法は?
ピロリ菌の検査と除菌治療が最も効果的な予防法です。さらに、塩分を控えた食事、禁煙、お酒をほどほどにすること、野菜・果物をとることがすすめられます。40歳以上の人は、定期的に内視鏡検査を受けることがすすめられます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2017 Jun., Jiawen Huang, Oncotarget