心臓の健康
- 心臓の健康は左心室の収縮機能(放出率)で調べるもので、放出率55〜70%が正常値とされます。
- DNA領域rs2801617のT型を持つ人は心臓の健康に関するリスクが高い傾向があることがモントリオール大学の研究で分かりました。
- 日本人のTT型保有率は99.9%で、世界平均の87.9%と比べて高い割合です。
概要
【疾患の概要】 左心室の収縮機能(心臓がぎゅっと縮んで血液を押し出す力)を調べることは、心臓の健康を知るうえでとても大切です。 左心室は、全身に血液を送り出す心臓の中心的な部屋です。
【症状と特徴】 左心室の収縮機能は、心臓が血液をうまく送り出せているかを表します。
【治療と注意点】 この機能が正常に働いていれば、心臓は体に必要な酸素や栄養をきちんと届けられています。 左心室の収縮機能は、心臓の超音波検査(エコー)で調べます。 この検査では、心臓がポンプのように動く様子を画面で見て、左心室から送り出される血液の割合である「放出率」を測ります。 放出率が55%から70%であれば正常とされ、心臓が健康に働いていると考えられます。 左心室の収縮機能が下がると、心臓のポンプの力が弱まり、心不全や心筋症などにつながります。 また、体の臓器に十分な血液が届かなくなり、息切れや疲れやすさなどの症状が出ます。 そのため、左心室の収縮機能を調べることは、心臓の働きの低下を早く見つけ、早く治療するために大切です。
【遺伝的リスク】 モントリオール大学のTadrosらの研究で、心臓の健康とrs2801617というDNA領域との関係が分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、心臓の健康に関するリスクが高い傾向があることが分かりました。
心臓の健康とは何か
心臓の健康とは、左心室の収縮機能が正常に保たれ、全身に十分な血液を送り出せている状態のことです。左心室は心臓の4つの部屋のうち、全身に血液を送り出す中心的な部屋で、その縮む力(収縮機能)が心臓全体の健康状態を表します。
左心室の収縮機能とは何か
左心室の収縮機能とは、心臓が血液をうまく送り出す力のことです。この機能が正常に働いていれば、心臓は体の臓器に必要な酸素や栄養をきちんと届けられます。
- 評価方法:心臓の超音波検査(心エコー)で放出率を測ります。
- 正常値:放出率55〜70%
- 検査内容:心臓がポンプのように動く様子を画面で見て、左心室から送り出される血液の割合を数字で表します。
放出率の基準値と意味
| 放出率 | 判定 | 状態 |
|---|---|---|
| 55〜70% | 正常 | 心臓が健康に働き、十分な血液を送り出せています。 |
| 40〜54% | 軽い低下 | ポンプの力が少し弱まっています。様子を見ることが必要です。 |
| 40%未満 | 中くらい〜重い低下 | 心不全や心筋症のリスクが高く、治療が必要です。 |
左心室の収縮機能が下がるとどうなるか
左心室の収縮機能が下がると、心臓のポンプの力が弱まります。次のような症状や病気につながる可能性があります。
- 心不全:心臓が十分な血液を送り出せず、全身の臓器に酸素が行き届かない状態です。
- 心筋症:心臓の筋肉(心筋)の形や働きに異常が起こり、ポンプの力が弱まる病気です。
- 息切れ・疲れやすさ:体の臓器に届く血液が足りなくなることで起こる代表的な症状です。
そのため、左心室の収縮機能を定期的に調べることが、心臓の働きの低下を早く見つけて早く治療するために欠かせませんです。
遺伝子と心臓の健康の関係
DNA領域rs2801617と心臓の健康の関係
モントリオール大学のTadrosらの研究(2021年)で、心臓の健康がDNA領域rs2801617と関係していることが分かりました。
- rs2801617にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型が存在します。
- Tを持つ遺伝子型(TT型・TC型)の人は心臓の健康に関するリスクが高い傾向があります。
日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs2801617)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 99.9% | 87.9% |
| TC型 | 0.1%以下 | 11.6% |
| CC型 | 0.1%以下 | 0.3% |
日本人のTT型保有率は99.9%で、世界平均の87.9%と比べて約1.14倍高い割合です。日本人ではほぼ全員がTT型を持っており、人による違いが少ないDNA領域であることが分かっています。
検査の理論的な根拠
代表的なDNA領域:心臓の健康
心臓の健康に最も強く影響するDNA領域は、rs2801617です。 日本での遺伝子型ごとの割合は下のとおりです。
- TT
99.9 % - TC
0.1%以下 - CC
0.1%以下
検査の根拠
モントリオール大学のTadrosらの研究で、心臓の健康と遺伝子の関係が分かりました。人の遺伝情報全体(ゲノム)の中にはrs2801617というDNA領域があり、ここにはTとCの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、心臓の健康に関するリスクが高い傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
関連遺伝子
| 関連遺伝子 | MIR5007 |
|---|
よくある質問
Q1. 心臓の健康とは何ですか?
心臓の健康とは、左心室の収縮機能が正常に保たれ、全身に十分な血液を送り出せている状態のことです。左心室は心臓の中心的な部屋で、放出率55〜70%が正常値です。心臓の超音波検査(心エコー)で調べ、心臓のポンプの動きと送り出される血液の量を数字で表して診断します。
Q2. 左心室の収縮機能はどうやって調べますか?
心臓の超音波検査(心エコー)が一般的な検査方法です。この検査では、心臓がポンプのように動く様子を画面で見て、左心室から送り出される血液の割合である「放出率」を測ります。放出率が55〜70%であれば正常、40%未満であれば中くらいから重い機能の低下と判断されます。
Q3. 心臓の健康は遺伝子と関係していますか?
はい。モントリオール大学のTadrosらの研究(2021年)で、DNA領域rs2801617が心臓の健康と関係していることが分かっています。rs2801617にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は心臓の健康に関するリスクが高い傾向があります。
Q4. 心臓の健康に関係する遺伝子型(rs2801617)は、日本人ではどのような割合ですか?
日本人でのrs2801617の遺伝子型の割合はTT型99.9%、TC型0.1%以下、CC型0.1%以下です。世界全体ではTT型87.9%、TC型11.6%、CC型0.3%で、日本人はほぼ全員がTT型を持っているのが特徴です。
参考文献
- 参考リンク1 : 2021 Feb., Rafik Tadros, Nat Genet