肝線維化
- 肝線維化は肝臓の健康な組織が傷あとのような硬い組織に置き換わり、肝臓の働きが落ちる病気で、進むと肝硬変や肝不全につながります。
- DNA領域rs1953124のCタイプを持つ人はかかるリスクが高い傾向にあることが研究で分かっています。
- 適切な禁酒・食事管理・運動習慣によって進行を遅らせ、肝臓の健康を保つことができます。
概要
【疾患の概要】 肝線維化は、肝臓の健康な組織が瘢痕組織(傷あとのような硬い組織)に置き換わり、肝臓の働きが落ちる病気です。 主な原因は、長く続く肝炎(特にB型やC型)、お酒の飲みすぎによる肝臓の病気(アルコール性肝疾患)、お酒以外の原因で肝臓に脂肪がたまる病気(非アルコール性脂肪性肝疾患)、遺伝性の病気です。
【症状と特徴】 肝線維化は、肝臓が傷つくことと治ることがくり返される中で起こります。 傷ついた肝細胞は元に戻ろうとしますが、そのときに結合組織(細胞どうしをつなぐ組織)が作られすぎて肝臓にたまり、血の流れや肝臓の働きに悪い影響を与えます。 初めのうちは症状がほとんど出ませんが、進むと疲れやすさ、だるさ、お腹の痛み、食欲がない、体重が減る、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、腹水(お腹に水が溜まる)などの症状が出ます。 最後には肝硬変や肝不全(肝臓がほとんど働かなくなる状態)につながり、命にかかわることもあります。
【治療と注意点】 治療は、ウイルスをおさえる薬、禁酒、生活習慣の改善など、原因によって変わります。 重い場合は、肝臓移植が検討されます。 進行を遅らせるには、健康的な生活習慣が大切です。 お酒を避け、バランスのよい食事と適度な運動を心がけ、肝臓に害のある物質を避けることが大切です。
【遺伝的リスク】 シンシナティ小児病院医療センターのNamjouらの研究で、肝線維化へのかかりやすさが、rs1953124というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CG、GGの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、肝線維化のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
肝線維化とは何か
肝線維化は、肝臓の健康な組織が瘢痕組織(コラーゲンでできた傷あとのような硬い組織)に置き換わり、肝臓の働きが落ちる病気です。長く続く肝臓の障害が原因で、進むと肝硬変や肝不全(肝臓がほとんど働かなくなる状態)に至ります。
肝線維化の原因としくみ
肝線維化は、肝臓が傷つくことと治ることがくり返される中で起こります。傷ついた肝細胞が元に戻ろうとするときに、結合組織(細胞どうしをつなぐ組織)が作られすぎて、血の流れや肝臓の働きに悪い影響を与えます。
主な原因は次のとおりです。
- 長く続くウイルス性肝炎:B型肝炎・C型肝炎ウイルスに長く感染していること
- アルコール性肝疾患(お酒の飲みすぎによる肝臓の病気):お酒の飲みすぎによる肝細胞の傷
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(お酒以外の原因で肝臓に脂肪がたまる病気):肥満・糖尿病と関係する脂肪肝です。
- 自己免疫性肝疾患:自分の免疫が肝細胞を攻撃します。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs1953124のCタイプ
肝線維化の主な症状
初めのうちは自覚症状がほとんどないため、見つかるのが遅れることがあります。進むと次のような症状が出ます。
- いつも続く疲れやすさ・だるさ
- 腹部の痛み・膨満感
- 食欲がなくなったり、体重が減ったりします。
- 黄疸(皮膚や目が黄色くなる)
- 腹水(お腹に水が溜まる)
肝線維化と肝硬変の違い
| 比較項目 | 肝線維化 | 肝硬変 |
|---|---|---|
| 段階 | 初期〜中期の瘢痕化(硬くなること) | 最終段階の瘢痕化(硬くなること) |
| 元に戻るか | 原因を取りのぞけばよくなる可能性あり | 元に戻らない状態 |
| 肝臓の働き | 軽い〜中くらいの低下 | 働きが大きく低下 |
| 症状 | 初期は無症状 | 黄疸・腹水が出たり、出血しやすくなったりします。 |
| 治療 | 原因の治療・生活習慣の改善 | 肝臓移植が必要な場合あり |
肝線維化の進み具合の段階(メタビル分類)
肝線維化の重症度は以下の5段階で評価されます。
| ステージ | 線維化の程度 | 特徴 |
|---|---|---|
| F0 | 線維化なし | 正常な肝臓 |
| F1 | 軽い線維化 | 肝臓の血管(門脈)のまわりの線維化 |
| F2 | 中くらいの線維化 | 線維が血管のまわりどうしを少しつないでいます。 |
| F3 | 重い線維化 | 線維が血管のまわりどうしを広くつないでいます。 |
| F4 | 肝硬変 | 全体が硬くなった状態 |
治療法と予防
治療は原因によって変わります。重い場合は肝臓移植が検討されます。
- ウイルスをおさえる薬:ウイルス性肝炎の治療
- 禁酒:お酒の飲みすぎによる肝臓の病気では欠かせません。
- 生活習慣の改善:バランスのよい食事と適度な運動
- 定期検査:肝臓の働きの定期的なチェック
遺伝子と肝線維化の関係
DNA領域rs1953124とかかりやすさの関係
シンシナティ小児病院医療センターのNamjouらの研究で、DNA領域rs1953124が肝線維化へのかかりやすさと関係していることが分かりました。
- rs1953124にはCC・CG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Cタイプを持つ遺伝子型の人は、肝線維化のリスクが高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs1953124)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 0.4% | 8.8% |
| CG型 | 12.5% | 41.7% |
| GG型 | 86.9% | 49.3% |
検査の根拠
代表的なDNA領域:肝線維化
肝線維化 に最も強く影響するDNA領域は、rs1953124です。 日本におけるこの領域の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- CC
0.4 % - CG
12.5 % - GG
86.9 %
検査の根拠
シンシナティ小児病院医療センターのNamjouらの研究で、肝線維化へのかかりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs1953124という領域があり、この領域にはCとGの2種類のタイプがあります。Cタイプを持つ人は、肝線維化のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | STARP1 |
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よくある質問
Q1. 肝線維化とは何ですか?
肝線維化は、肝臓の健康な組織が瘢痕組織(コラーゲンでできた傷あとのような硬い組織)に置き換わり、肝臓の働きが落ちる病気です。長く続く肝炎(B型・C型)、お酒の飲みすぎによる肝臓の病気、お酒以外の原因で肝臓に脂肪がたまる病気(非アルコール性脂肪性肝疾患)が主な原因で、進むと肝硬変や肝不全につながります。
Q2. 肝線維化の原因は何ですか?
主な原因は肝臓が長い間くり返し傷つくことです。B型・C型肝炎ウイルスに長く感染していること、お酒の飲みすぎ、お酒以外の原因で肝臓に脂肪がたまる病気(非アルコール性脂肪性肝疾患)、自分の免疫が肝臓を攻撃する病気(自己免疫性肝疾患)が主なリスク要因です。DNA領域rs1953124にCタイプを持つ人はリスクが高い傾向にあります。
Q3. 肝線維化と肝硬変の違いは?
肝線維化は肝臓が硬くなる(瘢痕化)初期〜中期の段階で、原因を取りのぞけばよくなる可能性があります。肝硬変は線維化が最終段階まで進んだ、元に戻らない状態で、肝不全や肝がんのリスクが高まります。
Q4. 遺伝子検査で肝線維化のリスクは分かりますか?
DNA領域rs1953124の遺伝子型を調べることで、肝線維化へのかかりやすさの傾向を知ることできます。Cタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることが、シンシナティ小児病院医療センターの研究で分かっています。
Q5. 肝線維化の予防法はありますか?
お酒を控えること、バランスのよい食事、適度な運動が効果的です。肝炎ウイルスのワクチン接種、肝臓に害のある物質を避けること、定期的な肝臓の検査も大切な予防策です。
参考文献
- 参考リンク1 : 2019 Jul., Bahram Namjou, BMC Med