左心房肥大
- 左室肥大は心臓の左室の壁が通常よりも厚くなる状態で、高血圧や大動脈弁狭窄症が主な原因です。
- DNA領域rs2801617のTタイプを持つ人はなりやすい傾向があることが研究で分かっています。
- 放置すると不整脈・心不全・突然死のリスクが上がるため、早く見つけることと血圧の管理が大切です。
概要
【疾患の概要】 左室肥大は、心臓の左室(心臓にある4つの部屋の1つ)の筋肉の壁が厚くなる状態です。 左室はもともと、全身に血液を送り出すために強く厚い筋肉の壁を持っています。左室肥大では、その筋肉が増えすぎてしまいます。
【症状と特徴】 多くの場合、高血圧や大動脈弁狭窄症(心臓の出口の弁が狭くなる病気)などで心臓に負担がかかることで起こります。 はじめは、心臓が大きな負担に耐えるために筋肉を厚くする「適応」の反応です。 しかし、長く続くと逆に不都合が生じます。左室が硬くなって血液をうまくためられなくなり、最終的に心臓の働きが落ちることがあります。 その結果、不整脈や心不全、突然の心臓死などのリスクが高まります。 左室肥大では、心臓の筋肉の細胞が大きくなるのが特徴です。
【治療と注意点】 診断には心電図やエコー検査(超音波で心臓を見る検査)が使われ、心室の壁が厚くなっていないか、心臓の働きに変化がないかを調べます。 症状は人によって違いますが、胸の痛みや動悸、息切れ、めまい、失神などが出ることがあります。
【遺伝子の影響】 モントリオール大学のRafik Tadrosらの研究により、左室肥大になるリスクがrs2801617というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT,TC,CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、左室肥大のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
左室肥大とは何か
左室肥大は、心臓の左室の筋肉の壁が通常よりも厚くなる状態です。左室は心臓の4つの室の1つで、全身に血液を送り出す役割を担っています。
左室肥大の原因としくみ
左室肥大は、心臓に大きな負担がかかったとき、それを補うために筋肉の壁が厚くなる現象です。主な原因は以下のとおりです。
- 高血圧:左室肥大の患者さん全体の約60〜70%に関わる、最も大きな原因です。
- 大動脈弁狭窄症:大動脈弁が狭くなり、左室への負担が大きくなります。
- 肥大型心筋症(心臓の筋肉が厚くなる遺伝性の病気):遺伝子の影響で心臓の筋肉が厚くなります。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs2801617のTタイプを持つ人はリスクが上がります。
はじめのうちは、筋肉の壁が厚くなるのは大きな負担に耐えるための反応です。しかし時間がたつと左室が硬くなり、血液をうまくためられなくなって、心臓の働きが落ちていきます。
左室肥大の主な症状
症状は個人差がありますが、以下の兆候が現れることがあります。
- 胸の痛みや圧迫感
- 動悸・不整脈
- 息切れ(特に運動時)
- めまい・失神
- 疲労感の増加
左室肥大と心肥大の違い
| 比較項目 | 左室肥大 | 心肥大(心臓全体) |
|---|---|---|
| 定義 | 左室の壁の筋肉が厚くなります。 | 心臓全体の拡大 |
| 主な原因 | 高血圧・大動脈弁狭窄症 | 心臓弁の病気・心筋症・高血圧 |
| 特徴 | 心臓の筋肉の細胞が大きくなります。 | 心臓の部屋が広がる、または壁が厚くなります。 |
| 診断法 | 心電図・心エコー検査 | 胸部レントゲン・心エコー検査 |
| 合併症のリスク | 不整脈・心不全・突然死 | 心不全・心臓弁の病気の悪化 |
左室肥大で起こりうる合併症
きちんと治療をしないと、以下のような病気を合わせて引き起こす可能性があります。
- 不整脈(心房細動・心室頻拍などの脈の乱れ)
- 心不全(心臓が広がりにくくなる・縮みにくくなる)
- 突然の心臓死
- 脳卒中(血の塊ができるリスクが上がる)
診断方法
以下の検査法により診断されます。
- 心電図:心臓の電気の流れの変化から左室肥大のサインを見つけます。
- 心エコー検査(超音波検査):心室の壁の厚さと心臓の働きを直接調べます。
- 心臓の磁気共鳴画像検査:心臓の筋肉のつくりを詳しく画像で調べます。
遺伝子と左室肥大の関係
DNA領域rs2801617となりやすさの関係
モントリオール大学のRafik Tadrosらの研究(1)により、DNA領域rs2801617が左室肥大になるリスクと関係していることが分かりました。
- rs2801617にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Tタイプを持つ遺伝子型の人は、左室肥大のリスクが高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs2801617)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 99.9% | 87.9% |
| TC型 | 0.1%以下 | 11.6% |
| CC型 | 0.1%以下 | 0.3% |
検査の理論的な根拠
代表的なDNA領域:左心房肥大
左室肥大に最も強く影響するDNA領域は、rs2801617です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- TT
99.9 % - TC
0.1%以下 - CC
0.1%以下
検査の根拠
モントリオール大学のRafik Tadrosらの研究により、左室肥大になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs2801617という場所があり、そこにはTとCの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、左室肥大のリスクが高い傾向にあることが分かりました(1)。
今回調べたDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図(イメージ図)
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | MIR5007 |
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よくある質問
Q1. 左室肥大とは何ですか?
左室肥大は、心臓の左室の筋肉の壁が通常よりも厚くなる状態です。高血圧や大動脈弁狭窄症が主な原因で、不整脈・心不全・突然死のリスクを高めます(1)。
Q2. 左室肥大の原因は何ですか?
主な原因は高血圧と大動脈弁狭窄症です。心臓に大きな負担がかかると、それを補うために左室の壁が厚くなります。遺伝子の影響として、DNA領域rs2801617のTタイプも関係しています(1)。
Q3. 左室肥大と心肥大の違いは?
心肥大は心臓全体の拡大を指す広い言葉です。左室肥大はそのうち左室壁の筋肉が厚くなる状態を指し、心臓の筋肉の細胞が大きくなるのが特徴です。
Q4. 遺伝子検査で左室肥大のリスクは分かりますか?
DNA領域rs2801617の遺伝子型を調べることで、左室肥大へのなりやすさの傾向を知ることができます。Tタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることが、モントリオール大学の研究で分かっています(1)。
参考文献
- 参考リンク1 : 2021 Feb., Rafik Tadros, Nat Genet