肝臓がん
- 肝臓がん(肝細胞がん)は肝臓に発生する悪性の腫瘍で、日本のがんによる死亡原因の上位に入ります。
- DNA領域rs751402のA型を持つ人は肝臓がんになるリスクが高い傾向にあることが研究で分かりました。
- B型・C型肝炎の早めの治療、お酒を飲みすぎないこと、定期的な肝臓の検査により、早期発見・予防ができます。
概要
【疾患の概要】 肝がんは「肝臓がん」とも呼ばれ、人によって現れる症状が異なります。 肝臓の細胞そのものから発生する場合(原発性肝がん)と、ほかの臓器のがんが肝臓に移ってくる場合(転移性肝がん)に分かれます。
【症状と特徴】 原発性肝がんの中で最も多いのは肝細胞がんです。 肝がんの症状は、がんの進み具合や肝臓全体の健康状態によって変わり、症状の強さも人によってさまざまです。
【治療と注意点】 初期の肝がんは症状がはっきりしないか、まったくないことが多く、定期的な検査を受けていないと見逃されることがあります。 しかし、病気が進むと、はっきりした症状が出ることがあります。 例えば、ビリルビン(血液中の黄色い色素)が増えて皮膚や目が黄色くなる黄疸、おなかの張りや腫れ、右上腹部の痛みや不快感、体重減少、続く疲れ、吐き気、食欲不振などです。 肝がんは、これらの症状だけでなく、肝臓の大切な働きにも影響します。 肝臓は、体にとって有害な物質を分解したり、栄養を体で使える形に変えたりする大切な役割を持っています。 肝臓の働きが落ちると、全身の健康にも影響が出る可能性があります。 肝がんを見つけるには、画像検査や血液検査を行い、その結果を診断や治療方針を決めるのに役立てます。
【遺伝的リスク】 第二軍医大学のCuihong Hanらの研究により、肝臓がんになりやすさがrs751402というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、肝臓がんのリスクが高い傾向にあることが分かりました。
肝臓がんとは何か
肝臓がん(肝細胞がん)は、肝臓の細胞から発生する悪性の腫瘍です。原発性肝がんの約90%を肝細胞がんが占めます。日本では年間約4万人が新たに診断され、がんによる死亡原因の第5位です。
肝臓がんの原因とリスク因子
肝臓がんは、肝臓が長い間傷つき続け、そのダメージが積み重なって発症します。主なリスク因子は以下のとおりです。
- B型肝炎ウイルス感染:感染が続くと、肝硬変を経てがんになるリスクが約100倍に上がります。
- C型肝炎ウイルス感染:日本の肝臓がんの約60%がC型肝炎ウイルスに関係しています。
- 肝硬変:原因にかかわらず、肝硬変の人が1年間に肝臓がんになる割合は約3〜8%です。
- お酒の飲みすぎ:お酒による肝臓の障害から肝硬変へ進むこと
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(お酒以外の原因で肝臓に脂肪がたまる病気):肥満・糖尿病にともなう新しいリスク因子です。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs751402のA型を持っていること
肝臓がんの主な症状
肝臓がんは「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓にできるため、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。
- 黄疸:ビリルビン値上昇による皮膚・白目の黄変
- 右上腹部の痛み:肝臓が大きくなることによる不快感・鈍い痛みです。
- おなかの張り:おなかに水がたまることによる腫れです。
- 体重減少:理由の分からない急な体重減少
- 続く疲れ:肝臓の働きが落ちることによる全身のだるさです。
- 吐き気・食欲不振
原発性肝がんと転移性肝がんの違い
| 比較項目 | 原発性肝がん | 転移性肝がん |
|---|---|---|
| 発生部位 | 肝臓の細胞から直接できます。 | 他の臓器から肝臓へ転移 |
| 主な原因 | 肝炎ウイルス・肝硬変・お酒 | 大腸がん・胃がんなど、最初にがんができた臓器 |
| 頻度 | 肝がん全体の約30〜40% | 肝がん全体の約60〜70% |
| 代表的な種類 | 肝細胞がん 約90% | 腺がん(最初にがんができた臓器による) |
| 治療方針 | 肝臓の切除・ラジオ波による焼灼・肝移植 | 最初にがんができた臓器の治療+抗がん剤治療 |
肝臓がんの診断方法
以下の検査により早期発見・診断が行われます。
- 腹部超音波検査(エコー):最も一般的に行われる検査
- 腫瘍マーカー検査:アルファフェトプロテイン、ピブカツー(異常プロトロンビン)という物質の量を測定します。
- 造影剤を使ったコンピューター断層撮影・磁気共鳴画像検査:腫瘍の大きさ・位置・血液の流れ方を調べます。
- 肝生検:組織の一部を取り出し、顕微鏡で調べて診断を確定します。
肝臓がんの予防法
肝臓がんを防ぐ最も効果的な方法は、原因となる肝臓の病気をきちんと管理することです。
- B型肝炎ワクチンの接種(予防効果95%以上)
- C型肝炎を早く見つけ、ウイルスを抑える薬で治療します。
- お酒の量を適切に保ちます(日本酒にして1日1合以下)。
- 肥満・糖尿病の予防と管理
- リスクが高い人は半年に1回の定期検査が必要です。
遺伝子と肝臓がんの関係
DNA領域rs751402と発症リスクの関係
第二軍医大学のCuihong Hanらの研究(1)により、DNA領域rs751402が肝臓がんになりやすさと関係していることが分かりました。
- rs751402にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型が存在します。
- A型を持つ遺伝子型(AA型・AG型)の人は、肝臓がんのリスクが高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs751402)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 14.0% | 4.0% |
| AG型 | 46.8% | 32.0% |
| GG型 | 39.0% | 63.9% |
日本人のAA型を持つ人の割合は14.0%で、世界平均の4.0%と比べて約3.5倍高い割合です。A型を持つ人(AA型+AG型)は日本人全体の60.8%を占めます。
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:肝臓がん
肝臓がんに最も強く関係するDNA領域は、rs751402です。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- AA
14.0 % - AG
46.8 % - GG
39.0 %
検査の根拠
第二軍医大学のCuihong Hanらの研究により、肝臓がんになりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs751402という場所があり、そこにはAとGの2種類の違いがあります。A型を持つ人は、肝臓がんのリスクが高い傾向にあることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ERCC5 |
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よくある質問
Q1. 肝臓がんとは何ですか?
肝臓がん(肝細胞がん)は、肝臓の細胞から発生する悪性の腫瘍です。原発性肝がんの約90%を占め、B型・C型肝炎ウイルスへの感染、肝硬変、お酒の飲みすぎが主なリスク因子です。日本では年間約4万人が新たに診断されています(1)。
Q2. 肝臓がんの原因は何ですか?
主な原因はB型・C型肝炎ウイルスに長く感染し続けることで起こる慢性肝炎が、肝硬変へと進むことです。お酒の飲みすぎ、お酒以外の原因で肝臓に脂肪がたまる病気(非アルコール性脂肪性肝疾患)、遺伝子の影響(DNA領域rs751402のA型)もリスクを高めます(1)。
Q3. 肝臓がんの初期症状はありますか?
肝臓がんの初期段階では自覚症状がほとんどありません。進行すると、黄疸、右上腹部の痛み、おなかの張り、体重減少、続く疲れが現れます。定期的な検査で早く見つけることが大切です。
Q4. 遺伝子検査で肝臓がんのリスクは分かりますか?
DNA領域rs751402の遺伝子型を調べることで、肝臓がんになりやすい傾向を知ることができます。A型を持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることが研究で分かっています(1)。
Q5. 肝臓がんの予防法は?
B型肝炎ワクチンの接種、C型肝炎の早めの治療、お酒を飲みすぎないこと、定期的な肝臓の検査が有効です。リスクが高い人には、半年に1回の超音波検査と腫瘍マーカー検査(がんがあると血液中に増える物質を調べる検査)がすすめられます。