神経発達症(発達障害)
- 神経発達症(発達障害)とは、子どもの成長の時期に、脳の神経の発達やはたらきに影響が出る病気のグループで、自閉症スペクトラム障害・注意欠如・多動症・知的障害など6つ以上の障害を含みます。
- DNA領域rs3777544のCタイプを持つ人は神経発達症のリスクが高い傾向があることがオスロ大学の研究で分かりました。
- 日本人でCを持つ遺伝子型(TC+CC)の人の割合は71.0%で、世界平均の56.7%と比べて高い割合です。
概要
【疾患の概要】 大脳の表面にあるしわ(脳のみぞ)の深さを測ることは、神経発達障害を調べるための有望な方法です。
【症状と特徴】 脳のみぞの深さや、みぞとみぞの間の盛り上がりの高さなど、脳のしわの形は、脳が育ち、しくみが整っていくうえで大切です。 神経発達障害は、子どもの成長の時期に、脳の神経の発達やはたらきに影響が出る病気のグループです。
【治療と注意点】 これらの障害は生まれて間もない時期から現れ、考える力、人との関わり、気持ち、体の発達などに影響します。 代表的な神経発達障害には、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動症、知的障害、特異的学習障害(読み書きや計算など特定の学習が苦手な状態)、コミュニケーション障害、運動障害などがあります。 これらの障害は同時に起こることが多く、遺伝子の影響、環境の影響、体の要因が複雑にからみ合っています。 早く気づいて早く支援を始めることは、その後の経過をよくし、本人の成長を助けるために大切です。 治療には、教育面のサポート、行動療法、さまざまなセラピー、場合によっては薬による治療など、いろいろな方法を組み合わせることが必要です。
【遺伝的リスク】 オスロ大学のvan der Meerらの研究で、神経発達症(発達障害)のなりやすさがrs3777544というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT,TC,CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、神経発達症のリスクが高い傾向があることが分かりました。
神経発達症(発達障害)とは何か
神経発達症(発達障害)とは、子どもの成長の時期に、脳の神経の発達やはたらきに影響が出る病気のグループです。生まれて間もない時期から現れ、考える力・人との関わり・気持ち・体の発達に影響します。大脳の表面にあるしわ(脳のみぞ)の深さを測ることは、神経発達障害を調べるための有望な方法として注目されています。
神経発達症の代表的な種類とは
神経発達症には、次の6つの代表的な障害があります。これらは同時に起こることが多く、遺伝子の影響・環境の影響・体の要因が複雑に関わっています。
| 障害名 | 主な特徴 |
|---|---|
| 自閉症スペクトラム障害 | 人とのやりとりが難しい、興味や行動が限られていて同じことをくり返します。 |
| 注意欠如・多動症 | 注意が続かない・じっとしていられない・思いついたらすぐ行動してしまう状態が続きます。 |
| 知的障害 | 考える力と、日常生活に合わせて行動する力の両方に制限がある状態です。 |
| 特異的学習障害 | 読み書きや計算など、特定の学習がとても苦手な状態です。 |
| コミュニケーション障害 | 言葉を理解する・話す・声を出すことが難しい状態です。 |
| 運動障害 | 体をうまく動かすこと(手先の細かい動きや全身の動き)が苦手な状態です。 |
早く気づいて早く支援することが大切な理由
早く気づいて早く支援を始めることは、その後の経過をよくし、本人の成長を助けるためにとても大切です。治療の方法は、次の4つに分けられます。
- 教育面のサポート:一人ひとりに合わせた教育計画にもとづいて、学びやすい環境を整えます。
- 行動療法:応用行動分析(行動のしくみを分析して、望ましい行動を増やす方法)など、科学的な根拠のある支援です。
- さまざまなセラピー:言葉の訓練(言語療法)・生活動作の訓練(作業療法)・感覚の感じ方を整える訓練(感覚統合療法)を行います。
- 薬による治療:注意欠如・多動症などで、必要に応じて薬を使って症状をおさえます。
脳のみぞの深さと神経発達障害の関係
脳のみぞの深さや、みぞとみぞの間の盛り上がりの高さを含む脳のしわの形は、脳が育ち、しくみが整っていくうえで大切な役割を持っています。脳のしわの形を測ることで神経発達障害を調べられるようになり、早く見つけることに役立つと期待されています。
遺伝子と神経発達症(発達障害)の関連
DNA領域rs3777544と神経発達症の関係
オスロ大学のvan der Meerらの研究(2021年、Science Advancesに掲載)で、神経発達症(発達障害)のなりやすさがDNA領域rs3777544と関係していることが分かりました。
- rs3777544にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Cを持つ遺伝子型(TC型・CC型)の人は神経発達症のリスクが高い傾向があります。
- このDNA領域はCLIC5遺伝子とFAM178B遺伝子に関係しています。
日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs3777544)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 28.9% | 43.2% |
| TC型 | 49.7% | 45.0% |
| CC型 | 21.3% | 11.7% |
日本人でCを持つ遺伝子型(TC+CC)の人の割合は71.0%で、世界平均の56.7%と比べて高い割合です。CC型の割合は日本人が21.3%で、世界平均の11.7%より約1.8倍高く、日本人の遺伝子の特徴を表しています。
日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs78783493)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 99.9% | 88.0% |
| CT型 | 0.1%以下 | 11.5% |
| TT型 | 0.1%以下 | 0.3% |
rs78783493では、日本人でCC型を持つ人の割合が99.9%ととても高く、世界平均の88.0%を大きく上回ります。CT型・TT型は日本人ではほとんど見られません。
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:神経発達症(発達障害)
神経発達症(発達障害) に最も強く影響するDNA領域は、rs3777544です。 日本でのこの領域の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- TT
28.9 % - TC
49.7 % - CC
21.3 %
ほかに、神経発達症(発達障害)に関わるDNA領域にはrs78783493があります。 日本でのこの領域の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- CC
99.9 % - CT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
検査の根拠
オスロ大学のvan der Meerらの研究で、神経発達症(発達障害)のなりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs3777544という領域があり、その領域にはTとCの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、神経発達症のリスクが高い傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | CLIC5 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | FAM178B |
よくある質問
Q1. 神経発達症(発達障害)とは何ですか?
神経発達症(発達障害)とは、子どもの成長の時期に、脳の神経の発達やはたらきに影響が出る病気のグループです。自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動症、知的障害、特異的学習障害、コミュニケーション障害、運動障害の6つが代表的です。生まれて間もない時期から現れ、考える力・人との関わり・気持ち・体の発達に影響します。
Q2. 神経発達症(発達障害)は遺伝子と関係していますか?
はい。オスロ大学のvan der Meerらの研究(2021年、Science Advances)で、DNA領域rs3777544が神経発達症のリスクと関係していることが分かっています。rs3777544にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は神経発達症のリスクが高い傾向があります。
Q3. 神経発達症に関係する遺伝子型(rs3777544)は、日本人ではどのくらいの割合ですか?
日本人のrs3777544の遺伝子型の割合はTT型28.9%、TC型49.7%、CC型21.3%です。世界全体ではTT型43.2%、TC型45.0%、CC型11.7%で、日本人はCC型の割合が世界平均の約1.8倍高いという特徴があります。
Q4. 神経発達症に早く気づくことが大切なのはなぜですか?
早く気づくことで、合った教育面のサポート・行動療法・さまざまなセラピーを早く始められ、その後の経過がよくなり、本人の成長を助けることにつながります。遺伝子の影響・環境の影響・体の要因が複雑にからみ合っているため、いろいろな方法を組み合わせて早めに支援することがとても大切です。薬による治療が必要になる場合もあります。