好中球増加症
- 好中球増加症は白血球の一種である好中球がふつうより多く増えた状態で、感染症・炎症・ストレスなどが主な原因です。
- DNA領域rs34290285でAを持つ遺伝子型を持つ人はなりやすい傾向にあることがケンブリッジ大学の研究で分かりました。
- 血液の細胞を数える検査(完全血球計算)で診断でき、原因となる病気を見つけて適切に治療することが重要です。
概要
【疾患の概要】 好中球増加症は、白血球の一種である好中球が体の中で増えすぎた状態のことです。
【症状と特徴】 好中球は、感染や炎症と戦うためにとても大切な役割を持っています。 ふつう、大人の白血球の40%から60%は好中球で、細菌やウイルスなどの病原体と最初に戦う「体の守りの最前線」として働きます。 好中球増加症では、この好中球の割合がふつうよりも多くなっています。これは、体の中で好中球が作られすぎたり、血液中に出されすぎたりしていることを意味します。
【治療と注意点】 この状態は、感染症や炎症のほか、ストレスや運動などの刺激によって起こります。 血液の細胞を数える検査(完全血球計算)を行うと、血液中の好中球やほかの細胞の割合がわかり、好中球増加症かどうかを確かめることができます。 好中球が増えるのは、体に入った病原体を弱めて追い出すための守りの反応だと考えられています。しかし、高い状態が長く続くと、体の組織に悪い影響が出るおそれがあります。 そのため、好中球増加症の原因を知り、適切な対策をとることが大切です。
【遺伝的リスク】 ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、好中球増加症のなりやすさがrs34290285というDNA領域と関係していることが明らかになりました。 このDNA領域にはGG,GA,AAの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、好中球増加症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
好中球増加症とは何か
好中球増加症とは、白血球の一種である好中球が血液中でふつうより多く増えた状態です。好中球はふつう、大人の白血球の40〜60%を占め、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る最前線の役割を担います。
好中球増加症の原因とメカニズム
好中球増加症は、体の中で好中球が作られすぎたり、血液中に出されすぎたりすることで起こります。主な原因は以下のとおりです。
- 感染症:細菌に感染したとき、体を守る反応として好中球が急に増えます。
- 炎症の病気:関節リウマチや、腸に炎症が起こる病気などの長く続く炎症です。
- ストレス:体や心のストレスで出るホルモン(コルチゾール)の影響です。
- 喫煙:気道(空気の通り道)の炎症が長く続くことで好中球が増えます。
- 激しい運動:好中球が一時的に血液の流れの中へ移動します。
- 薬の副作用:ステロイド薬(炎症を抑える薬)などによる好中球の増加
好中球増加症の主な症状
好中球増加症自体は無症状のことが多く、もとにある病気の症状をきっかけに見つかることがあります。
- 発熱・だるさ(感染症が原因の場合)
- 関節の腫れ・痛み(炎症の病気が原因の場合)
- 体重が減る・寝汗(悪性の病気が原因の場合)
好中球増加症の重さによる分類
| 分類 | 好中球絶対数(血液1μLあたりの好中球の数) | 主な原因 |
|---|---|---|
| 軽度 | 7,700〜11,000/μL | ストレス・運動・喫煙 |
| 中等度 | 11,000〜25,000/μL | 感染症・炎症の病気 |
| 重度 | 25,000/μL以上 | 重い感染症・骨髄(血液を作る場所)の病気 |
診断方法
以下の検査により診断されます。
- 血液の細胞を数える検査(完全血球計算):血液中の好中球の数と白血球の数を測ります。
- 血液を薄く広げて顕微鏡で見る検査:顕微鏡で好中球の形に異常がないかを確認します。
- 炎症の値(C反応性たんぱく)・赤沈(赤血球が沈む速さ):炎症の強さを調べます。
遺伝子と好中球増加症の関連
DNA領域rs34290285となりやすさの関係
ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、DNA領域rs34290285が好中球増加症のなりやすさと関係していることが分かりました。
- rs34290285にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型が存在します。
- Aを持つ遺伝子型の人は、好中球増加症のリスクが高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs34290285)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 72.4% | 53.6% |
| GA型 | 25.3% | 39.2% |
| AA型 | 2.2% | 7.1% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:好中球増加症
好中球増加症 に最も強く影響するDNA領域は、rs34290285です。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- GG
72.4 % - GA
25.3 % - AA
2.2 %
検査の根拠
ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、好中球増加症のなりやすさが遺伝子と関係していることが明らかになりました。人間のDNAには、rs34290285という場所があり、そこにはGとAの2種類の違いがあります。Aを持つ遺伝子型の人は、好中球増加症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調べたDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図の模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | D2HGDH |
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よくある質問
Q1. 好中球増加症とは何ですか?
好中球増加症とは、白血球の一種である好中球が血液中でふつうより多く増えた状態です。好中球はふつう、大人の白血球の40〜60%を占め、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る最前線の役割を担います。
Q2. 好中球増加症の原因は何ですか?
主な原因は感染症(細菌による感染)、炎症の病気、ストレス、喫煙、激しい運動、薬の副作用です。DNA領域rs34290285でAを持つ人はリスクが高い傾向にあります。
Q3. 好中球増加症と遺伝子の関連は?
ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、DNA領域rs34290285が好中球増加症のなりやすさと関係していることが分かりました。Aを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあります。
Q4. 好中球増加症の診断方法は?
血液の細胞を数える検査(完全血球計算)により血液中の好中球の数を調べて診断します。血液1マイクロリットルあたりの好中球の数(好中球絶対数)が7,700/μLを超える場合に好中球増加症と判定されます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2016 Nov., William J Astle, Cell