骨盤臓器脱
- 骨盤臓器脱は骨盤底筋が弱くなり、膀胱・子宮・直腸が下がってしまう病気で、出産経験のある女性の約50%が経験します。
- DNA領域rs3791675のCタイプを持つ人はなりやすい傾向にあることが研究で分かりました。
- ケーゲル体操・生活習慣の改善・ペッサリー・手術など症状の重さに合わせた治療法があります。
概要
【疾患の概要】 骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)は、骨盤の中にある臓器が本来の位置からずれて、下の方へ下がってくる状態です。膀胱が下がる膀胱瘤(ぼうこうりゅう)、直腸が下がる直腸瘤、子宮が下がる子宮脱などの種類があります。 主な原因は、出産のときに骨盤の底を支える筋肉(骨盤底筋)が傷つくこと、年をとって筋肉や体を支える組織が弱くなること、閉経後のホルモンの変化、重いものを持ち上げておなかに力がかかること、長く続くせきや便秘などです。
【症状と特徴】 これらの原因が骨盤底筋に負担をかけ、臓器が正しい位置から下がってしまいます。 骨盤臓器脱になると、骨盤や下腹部が押されるような感じや重さ、膣の中に何かがあるような感じ、尿が出にくい・トイレが近い、便秘、性交時の痛みなどの症状が出ます。 症状は長い時間立っていると悪くなり、横になると楽になります。 進行すると、膣の入り口から臓器が外に出てくることもあります。
【治療と注意点】 治療は、症状の重さや生活スタイルによって変わります。 軽い場合は、骨盤底筋をきたえるケーゲル体操がすすめられます。 生活習慣を見直し、便秘を防いだり、重いものを持ち上げないようにしたりすることも大切です。 重い場合には、ペッサリーという器具を膣の中に入れて臓器を支える方法や、手術が考えられます。 手術では、骨盤底筋を補強し、下がった臓器を元の位置に戻します。
【遺伝的リスク】 デコード・ジェネティクスのOlafsdottirらの研究で、骨盤臓器脱になりやすさがrs3791675というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CT、TTの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、骨盤臓器脱のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
骨盤臓器脱とは何か
骨盤臓器脱は、骨盤の底を支える筋肉(骨盤底筋)や体を支える組織が弱くなることで、骨盤の中の臓器(膀胱・子宮・直腸)が本来の位置から下がってしまう病気です。出産経験のある女性の約50%が何らかの骨盤臓器脱を経験するとされています。
骨盤臓器脱の種類と特徴
骨盤臓器脱には、主に次の4つの種類があります。
| 種類 | 脱出する臓器 | 特徴 |
|---|---|---|
| 膀胱瘤 | 膀胱 | 最も多いタイプで、膀胱が膣の前側の壁から飛び出します。 |
| 子宮脱 | 子宮 | 子宮が膣の中に下がり、重い場合は膣の入り口から外に出ます。 |
| 直腸瘤 | 直腸 | 直腸が膣の後ろ側の壁から飛び出し、便が出にくくなります。 |
| 膣断端脱 | 膣壁 | 子宮をとった後に膣が裏返って下がります。 |
骨盤臓器脱の原因となりやすくする要因
骨盤臓器脱は、次のようないくつかの原因が重なって起こります。
- 出産時の骨盤底筋の傷:膣からの出産(特に鉗子や吸引を使った出産)による筋肉や神経の傷
- 年齢:筋肉や体を支える組織の弾力が弱くなります。
- 閉経後のホルモン変化:女性ホルモン(エストロゲン)が減り、骨盤の底の組織がやせます。
- おなかに強い力がかかり続けること:肥満、長く続く便秘、長く続くせき、重いものを持ち上げることです。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs3791675でCタイプを持つ人はリスクが高いです。
骨盤臓器脱の主な症状
症状は重力の影響で変化し、長い時間立っていると悪くなり、横になると楽になります。
- 骨盤・下腹部が押されるような感じや重さ
- 膣の中に何かがあるような感じ(「何かが下がってくる」感覚)
- 尿が出にくい・トイレが近い・尿もれ
- 便秘・排便困難
- 性交時の痛み・不快感
- 進行すると膣の入り口から臓器が出ているのが見えます。
骨盤臓器脱の治療法の比較
治療法は症状の重さに合わせて段階的に選ばれます。
| 治療法 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| ケーゲル体操 | 軽い | 骨盤底筋トレーニングで筋力をきたえます。 |
| 生活習慣の改善 | すべての人 | 便秘を防ぐ、体重の管理、重いものを持たない |
| ペッサリー | 中くらい | 膣の中に器具を入れて臓器を支えます。 |
| 手術療法 | 重い | 骨盤の底を作り直す手術やメッシュ手術で臓器を元の位置に固定します。 |
遺伝子と骨盤臓器脱の関連
DNA領域rs3791675となりやすさの関係
デコード・ジェネティクスのOlafsdottirらの研究で、DNA領域rs3791675が骨盤臓器脱のなりやすさと関係していることが分かりました。
- rs3791675にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型があります。
- Cタイプを持つ遺伝子型の人は、骨盤臓器脱のリスクが高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の分布(rs3791675)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 7.5% | 54.8% |
| CT型 | 39.7% | 38.4% |
| TT型 | 52.7% | 6.7% |
日本人ではCC型を持つ人の割合が7.5%で、世界平均(54.8%)より低いため、骨盤臓器脱の遺伝子の影響によるリスクは比較的低い傾向にあります。
検査の根拠となる研究
代表的なDNA領域:骨盤臓器脱
骨盤臓器脱 に最も強く影響するDNA領域は、rs3791675です。 日本でのこの遺伝子型の分布は下のとおりです。
- CC
7.5 % - CT
39.7 % - TT
52.7 %
検査の根拠
デコード・ジェネティクスのOlafsdottirらの研究で、骨盤臓器脱になりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAには、rs3791675という場所があり、そこにはCとTの2種類のタイプがあります。Cタイプを持つ人は、骨盤臓器脱のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップのイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | EFEMP1 |
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よくある質問
Q1. 骨盤臓器脱とは何ですか?
骨盤臓器脱は、骨盤の底を支える筋肉や組織が弱くなり、膀胱・子宮・直腸が本来の位置から下がってしまう病気です。出産経験のある女性の約50%が何らかの骨盤臓器脱を経験するとされ、膀胱瘤・子宮脱・直腸瘤・膣断端脱の4種類があります。
Q2. 骨盤臓器脱の主な原因は何ですか?
主な原因は出産時の骨盤底筋の傷、年齢による筋肉や体を支える組織の衰え、閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。長く続く便秘・肥満・重いものを持ち上げることで、おなかに強い力がかかることも大きな原因になります。DNA領域rs3791675でCタイプを持つ人はリスクが高い傾向にあります。
Q3. 骨盤臓器脱の治療法にはどのようなものがありますか?
軽症ではケーゲル体操(骨盤底筋トレーニング)がすすめられます。中くらいの症状ではペッサリー(膣の中に入れる器具)が役立ちます。重い場合は骨盤の底を作り直す手術が考えられ、メッシュ(補強用の網)を使って臓器を固定する手術などが行われます。
Q4. 遺伝子検査で骨盤臓器脱のリスクは分かりますか?
DNA領域rs3791675の遺伝子型を調べることで、骨盤臓器脱のなりやすさの傾向を知ることができます。Cタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることが研究で分かっています。
Q5. 骨盤臓器脱の種類にはどのようなものがありますか?
主な種類は膀胱瘤(膀胱が膣の前側の壁から飛び出す)、子宮脱(子宮が膣の中に下がる)、直腸瘤(直腸が膣の後ろ側の壁から飛び出す)、膣断端脱(子宮をとった後に膣が裏返って下がる)の4つです。