心原性ショック
- 心原性ショックは心臓のポンプ機能不全により全身の血流が急激に低下する重篤な循環不全で、迅速な治療がなければ多臓器不全や死亡につながる
- DNA領域rs6015450のG型変異を持つ人は心原性ショックのリスクが高い傾向にあることが研究で判明
- 日本人のAA型保有率は99.9%で、世界平均76.6%と比較して23.3ポイント高く、G型変異の保有率は極めて低い
概要 平均動脈圧(MAP)は、1つの心拍サイクル中に動脈内の平均血圧を示す重要な数値です。これは、全身の臓器や組織に十分な血液供給を確保するために不可欠です。 MAPが大幅に低下すると、ショックとして知られる危険な状態になる可能性があります。 ショックは、血流の減少により体の細胞に酸素や栄養素が適切に供給されなくなる状態です。MAPの低下は通常、循環系が体内の血液を適切に循環させられないことを示すサインとされます。 この血圧の低下は、激しい出血(出血性ショック)、深刻な感染(敗血症ショック)、心臓機能不全(心原性ショック)、または激しいアレルギー反応(アナフィラキシーショック)などの理由で引き起こされる可能性があります。 ショックの徴候には、状態の深刻さを示すさまざまな症状が伴います。初期段階では、速い心拍、浅い呼吸、冷たく湿った皮膚、混乱などの症状が現れ、重篤な場合には尿の排出量の減少、意識の混濁、最終的には意識喪失まで進行することがあります。 ショックは迅速にかつ適切に治療されないと、組織が酸素と栄養素を不足させた状態になり、多臓器不全や死亡につながる可能性があります。 レスター大学のWainらの研究により、心原性ショックの罹患リスクがrs6015450というDNA領域と関連していることが明らかになりました。 このDNA領域にはAA,AG,GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、心原性ショックのリスクが高い傾向にあることが分かりました。
心原性ショックとは何か
心原性ショックとは、心臓のポンプ機能が急激に低下し、全身への血液供給が不足する重篤な循環不全です。平均動脈圧(MAP)が大幅に低下することで、臓器や組織に酸素・栄養素が行き渡らなくなります(1)。
心原性ショックの原因とメカニズム
ショックとは、血流の減少により体の細胞に酸素や栄養素が適切に供給されなくなる状態です。平均動脈圧(MAP)の低下は、循環系が体内の血液を適切に循環させられないことを示します。
ショックの原因は以下の4種類に分類されます。
- 出血性ショック:大量出血による循環血液量の急激な減少
- 敗血症ショック:重症感染症による血管拡張と臓器障害
- 心原性ショック:心臓のポンプ機能不全による血液拍出量の低下
- アナフィラキシーショック:重度のアレルギー反応による血圧低下
心原性ショックの症状と段階
心原性ショックの症状は段階的に進行します。初期段階での早期発見が生存率を大きく左右します。
| 進行段階 | 主な症状 |
|---|---|
| 初期段階 | 速い心拍・浅い呼吸・冷たく湿った皮膚・意識混濁 |
| 進行段階 | 尿量減少・血圧低下・チアノーゼ(皮膚の青紫色変化) |
| 重篤段階 | 意識喪失・多臓器不全・心停止リスク |
心原性ショックが危険な理由
ショックは迅速かつ適切に治療されなければ、組織が酸素と栄養素を不足させた状態となり、多臓器不全や死亡につながります。心原性ショックは他のショックと比較して死亡率が高く、早期の医療介入が不可欠です。
遺伝子と心原性ショックの関連
DNA領域rs6015450と罹患リスクの関係
レスター大学のWainらの研究(1)により、DNA領域rs6015450が心原性ショックの罹患リスクと関連していることが判明しました。
- rs6015450にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型が存在
- G型変異を持つ遺伝子型の人は、心原性ショックのリスクが高い傾向にある
- 関連遺伝子はZNF831およびATP2B1
日本人における遺伝子型分布(rs6015450)
日本人と世界の遺伝子型分布には顕著な差異があります。
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 | 差異 |
|---|---|---|---|
| AA型 | 99.9% | 76.6% | +23.3ポイント |
| AG型 | 0.1%以下 | 21.8% | −21.8ポイント |
| GG型 | 0.1%以下 | 1.5% | −1.5ポイント |
日本人はAA型の割合が99.9%と極めて高く、リスク上昇に関連するG型変異の保有率が世界平均と比較して著しく低いことが特徴です。
DNA領域rs11105364と罹患リスクの関係
心原性ショックに関連するもう1つのDNA領域として、rs11105364が確認されています(2)。
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 | 差異 |
|---|---|---|---|
| TT型 | 35.5% | 71.3% | −35.8ポイント |
| TG型 | 48.1% | 26.2% | +21.9ポイント |
| GG型 | 16.3% | 2.4% | +13.9ポイント |
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:心原性ショック
心原性ショック に最も強く影響する遺伝子領域は、rs6015450です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- AA
99.9 % - AG
0.1%以下 - GG
0.1%以下
他に、心原性ショックに関わる遺伝子領域はrs11105364があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
- TT
35.5 % - TG
48.1 % - GG
16.3 %
検査の根拠
レスター大学のWainらの研究(1)により、心原性ショックの罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs6015450という領域が存在し、その領域の遺伝子にはAとGの2種類の変異があります。G型変異を持つ人は、心原性ショックのリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ZNF831 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | ATP2B1 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 心原性ショックとは何ですか?
心原性ショックとは、心臓のポンプ機能が急激に低下し、全身への血液供給が不足する重篤な循環不全です。平均動脈圧(MAP)の大幅な低下により、臓器や組織に酸素・栄養素が行き渡らなくなり、多臓器不全や死亡に至る可能性があります(1)。
Q2. 心原性ショックの原因は何ですか?
心原性ショックの主な原因は心臓のポンプ機能不全です。急性心筋梗塞・重症心不全・心筋症・弁膜症などの心疾患により、心臓が十分な血液を拍出できなくなることで発症します(1)。
Q3. ショックにはどのような種類がありますか?
ショックは原因により4種類に分類されます。出血性ショック(大量出血)、敗血症ショック(重症感染症)、心原性ショック(心臓機能不全)、アナフィラキシーショック(重度アレルギー反応)です。
Q4. 心原性ショックに関連する遺伝子は何ですか?
レスター大学のWainらの研究により、DNA領域rs6015450がリスクと関連していることが判明しました。G型変異を持つ人はリスクが高い傾向にあり、関連遺伝子はZNF831とATP2B1です(1)。
Q5. 日本人の心原性ショック関連遺伝子型の特徴は?
日本人のrs6015450遺伝子型分布は、AA型99.9%・AG型0.1%以下・GG型0.1%以下です。世界平均(AA型76.6%)と比較してAA型の割合が23.3ポイント高く、リスク上昇に関連するG型変異の保有率は極めて低い特徴があります(1)(2)。
参考文献
- 参考リンク1 : 2011 Sep., Louise V Wain, Nat Genet
- 参考リンク2 : 2018 Nov., Fumihiko Takeuchi, Nat Commun