扁平上皮肺がん
- 扁平上皮肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)の一種で、喫煙が最大の原因であり肺がん全体の約25〜30%を占める
- DNA領域rs9602270のT型変異を持つ人は発症リスクが高い傾向にあることが研究で判明
- 日本人のAA型保有率は79.1%で、世界平均95.9%と比較して16.8ポイント低く、T型変異保有者の割合が高い
概要 扁平上皮肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)の一種で、肺の気道を覆う平らな細胞(扁平上皮細胞)から発生します。 主な原因は喫煙であり、受動喫煙者でも発症します。 この肺がんは、肺の中心部(気管支の近く)に発症します。持続的な咳や血痰、喘鳴、息切れ、呼吸器感染、全身の疲労感などの症状を示します。 重症化すると、激しい胸の痛みや呼吸困難などの症状を引き起こします。 また、がん細胞がリンパ節や他の臓器に転移し、さらなる合併症を引き起こす可能性があります。 診断にはCTスキャンやPETスキャンなどの画像診断を行った後に、生体検査にて扁平上皮細胞の状態を確認します。 治療は、がんのステージや状態に応じて手術、放射線療法、化学療法、標的療法などが用いられます。 国際がん研究機関のMcKayらの研究により、扁平上皮肺がんの罹患リスクがrs9602270というDNA領域と関連していることが明らかになりました。 このDNA領域にはAA、AT、TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、扁平上皮肺がんのリスクが高い傾向にあることが分かりました。
扁平上皮肺がんとは何か
扁平上皮肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)の一種で、肺の気道を覆う扁平上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。肺がん全体の約25〜30%を占め、喫煙との関連が強い組織型です(1)。
扁平上皮肺がんの原因とリスク因子
最大の原因は喫煙です。喫煙者の発症リスクは非喫煙者と比較して著しく高くなります。
- 喫煙:扁平上皮肺がんの最大のリスク因子であり、喫煙年数・本数に比例してリスクが上昇
- 受動喫煙:非喫煙者でも周囲の喫煙環境により発症リスクが増加
- 職業性曝露:アスベスト・ラドン・クロム・ニッケルなどの有害物質への曝露
- 遺伝的素因:DNA領域rs9602270のT型変異がリスクに関与
扁平上皮肺がんの主な症状
扁平上皮肺がんは肺の中心部(気管支の近く)に発症する特徴があります。以下の症状が認められます。
- 持続的な咳・血痰(喀血)
- 喘鳴・息切れ・呼吸困難
- 繰り返す呼吸器感染症
- 全身の疲労感・体重減少
- 重症化すると激しい胸痛・呼吸不全
扁平上皮肺がんと腺がんの違い
| 比較項目 | 扁平上皮肺がん | 肺腺がん |
|---|---|---|
| 発生部位 | 肺の中心部(気管支近傍) | 肺の末梢部 |
| 喫煙との関連 | 強い関連 | 関連は相対的に弱い |
| 発症割合 | 肺がんの約25〜30% | 肺がんの約40〜50% |
| 特徴的症状 | 血痰・喘鳴が多い | 初期は無症状が多い |
| 標的治療 | 適応は限定的 | EGFR・ALK阻害薬が有効 |
診断方法
画像検査と病理検査を組み合わせて確定診断されます。
- CTスキャン:腫瘍の位置・大きさ・形状を評価
- PETスキャン:がんの活動性・転移の有無を確認
- 生検(気管支鏡検査):組織を採取し扁平上皮細胞の異常を病理学的に確認
治療法
がんのステージと全身状態に応じて治療法が選択されます。
| 治療法 | 適応 | 特徴 |
|---|---|---|
| 外科手術 | 早期(I〜II期) | 腫瘍の完全切除を目指す |
| 放射線療法 | 手術不適応・局所進行 | 化学療法との併用が標準 |
| 化学療法 | 進行期(III〜IV期) | プラチナ製剤ベースのレジメン |
| 免疫療法 | PD-L1陽性例 | 免疫チェックポイント阻害薬 |
遺伝子と扁平上皮肺がんの関連
DNA領域rs9602270と発症リスクの関係
国際がん研究機関のMcKayらの研究(1)により、DNA領域rs9602270が扁平上皮肺がんの罹患リスクと関連していることが判明しました。
- rs9602270にはAA・AT・TTの3つの遺伝子型が存在
- T型変異を持つ遺伝子型の人は、扁平上皮肺がんのリスクが高い傾向
- 関連遺伝子はRNU6-67P
日本人における遺伝子型分布(rs9602270)
日本人と世界の遺伝子型分布には差異があります。
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 | 差異 |
|---|---|---|---|
| AA型 | 79.1% | 95.9% | −16.8ポイント |
| AT型 | 19.6% | 4.0% | +15.6ポイント |
| TT型 | 1.2% | 0.1%以下 | +1.2ポイント |
日本人はAA型の割合が世界平均より16.8ポイント低く、AT型(T型変異保有)の割合が15.6ポイント高いことが特徴です。この分布の違いは、日本人における扁平上皮肺がんの遺伝的リスク傾向に影響する可能性があります。
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:扁平上皮肺がん
扁平上皮肺がん に最も強く影響する遺伝子領域は、rs9602270です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- AA
79.1 % - AT
19.6 % - TT
1.2 %
検査の根拠
国際がん研究機関のMcKayらの研究(1)により、扁平上皮肺がんの罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs9602270という領域が存在し、その領域の遺伝子にはAとTの2種類の変異があります。T型変異を持つ人は、扁平上皮肺がんのリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | RNU6-67P |
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よくある質問(FAQ)
Q1. 扁平上皮肺がんとは何ですか?
扁平上皮肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)の一種で、肺の気道を覆う扁平上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。肺がん全体の約25〜30%を占め、喫煙が最大の原因であり、肺の中心部に好発します(1)。
Q2. 扁平上皮肺がんの原因は何ですか?
最大の原因は喫煙です。喫煙年数・喫煙本数に比例してリスクが上昇します。受動喫煙、アスベスト曝露、ラドンガスへの曝露、遺伝的素因(DNA領域rs9602270のT型変異)もリスク因子です(1)。
Q3. 扁平上皮肺がんに関連する遺伝子は何ですか?
国際がん研究機関のMcKayらの研究により、DNA領域rs9602270が扁平上皮肺がんの罹患リスクと関連していることが判明しました。T型変異を持つ人はリスクが高い傾向にあり、関連遺伝子はRNU6-67Pです(1)。
Q4. 遺伝子検査で扁平上皮肺がんのリスクは分かりますか?
DNA領域rs9602270の遺伝子型を調べることで、扁平上皮肺がんの発症リスク傾向を把握できます。日本人ではAA型79.1%、AT型19.6%、TT型1.2%の分布であり、T型変異保有者はリスクが高いとされています(1)。
Q5. 扁平上皮肺がんの治療法にはどのようなものがありますか?
がんのステージに応じて外科手術・放射線療法・化学療法・免疫チェックポイント阻害薬が選択されます。早期であれば手術による腫瘍切除が第一選択であり、進行期ではプラチナ製剤ベースの化学療法や免疫療法が用いられます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2017 Jul., James D McKay, Nat Genet