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高安動脈炎

高安動脈炎のイメージ画像
  • 高安動脈炎は大動脈とそこから枝分かれする主な血管に長く続く炎症が起きる血管炎で、40歳未満のアジア系女性に多い自己免疫疾患(免疫が自分の体を攻撃する病気)です。
  • DNA領域rs9540128のTタイプを持つ人は発症リスクが高い傾向にあることがピッツバーグ大学の研究で分かりました。
  • 早く診断し、ステロイド薬・免疫をおさえる治療・手術を組み合わせることで、症状の悪化をおさえ、臓器に血液が届かなくなるのを防ぐことができます。

概要

【病気の概要】 高安動脈炎は、血管に炎症が起きる「血管炎」の一種で、主に大動脈(心臓から全身へ血液を送る太い血管)に起こります。 炎症によって血管の壁が分厚くなり、血液の通り道が狭くなるため、血液が流れにくくなります。

【症状と特徴】 さまざまな症状があり、初めのころは発熱、だるさ、筋肉の痛み、体重が減るなどの症状が見られます。 病気が進むと、脈が弱くなる、左右の腕で血圧が違う、めまい、頭痛、目の見え方の異常などが現れます。 さらに進むと、全身の痛みや体の衰弱、狭心症(胸の痛み)、高血圧などが起こります。

【治療と注意点】 診断では、血管造影(血管を写す検査)や、磁気を使った画像検査、エックス線を使った断面画像の検査などで動脈の状態を確認します。 治療には、ステロイド薬などで炎症をおさえる方法や、狭くなった動脈を広げる手術などがあります。 この病気の原因はまだはっきり分かっていませんが、免疫細胞が自分の体の一部を攻撃してしまうことで起こると考えられています。 40歳未満のアジア系女性によく見られますが、世界中のだれでもかかる可能性があります。

【遺伝子の影響】 ピッツバーグ大学のOrtiz-Fernándezらの研究により、高安動脈炎へのかかりやすさがrs9540128というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CT、TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、高安動脈炎になりやすい傾向があることが分かりました。

高安動脈炎とは何か

高安動脈炎(たかやすどうみゃくえん)は、大動脈とそこから枝分かれする主な血管に、長く続く炎症が起きる血管炎の一種です。血管の壁が分厚く硬くなり、血液の通り道が狭くなったりふさがったりして血液が流れにくくなり、臓器に十分な血液が届かなくなります(1)。

高安動脈炎の原因とメカニズム

高安動脈炎が起こる正確なしくみはまだ分かっていませんが、次のような要因が関わっています。

  • 自己免疫反応:免疫細胞(T細胞)が自分の血管の壁を攻撃し、長く続く炎症を起こします。
  • 遺伝子の影響:DNA領域rs9540128のTタイプがリスクに関わります。
  • 白血球の型との関係:白血球の型の一つ「HLA-B*52」との強い関係が報告されています。
  • 環境の要因:感染症(結核菌など)が発症のきっかけになる可能性があります。

高安動脈炎の主な症状

高安動脈炎の症状は病気の時期によって違い、初期と進行した時期で特徴が変わります。

  • 初期の症状(全身に症状が出る時期):発熱・だるさ・筋肉の痛み・体重が減る・関節の痛みです。
  • 進行期の症状(血管がふさがる時期):脈が弱くなる、またはふれなくなる・左右の腕で血圧が違う・めまい・頭痛・目の見え方の異常です。
  • 重症の時期:狭心症・高血圧・大動脈弁閉鎖不全(心臓の弁がきちんと閉じない状態)・脳に血液が届きにくくなる症状です。

高安動脈炎と他の血管炎の違い

比較項目 高安動脈炎 巨細胞性動脈炎
罹患血管 大動脈とそこから枝分かれする主な血管 頭の動脈(こめかみの動脈)
好発年齢 40歳未満 50歳以上
性差 女性に多い(男女比 1:9) 女性にやや多いです。
地域差 アジアに多いです。 欧米に多い
特徴的症状 脈がふれない・左右の腕の血圧の差 頭痛・目の見えにくさ・食べ物をかむと顎が痛みます。

高安動脈炎の診断方法

次のような画像検査と、医師による診察の結果をもとに診断されます。

  • 血管造影(血管を写す検査):動脈が狭くなっていないか、ふさがっていないか、広がっていないかを確認します。
  • 磁気を使った血管の画像検査:血管の壁の炎症や厚みを調べます。
  • エックス線を使った断面画像の検査:動脈の壁にカルシウムがたまっていないかや、形の変化を調べます。
  • 血液検査:炎症の強さを示す血液の値(C反応性たんぱく)や赤沈(赤血球が沈む速さ)を測定します。

高安動脈炎の治療と対策

高安動脈炎の治療は薬による治療と手術の組み合わせで行われます。

  • ステロイド薬:プレドニゾロンで炎症をおさえます(最初に使われる治療)。
  • 免疫をおさえる薬:メトトレキサート・アザチオプリンを一緒に使います。
  • 炎症物質をおさえる薬:炎症を起こす物質(TNFやインターロイキン6)の働きを止める薬(インフリキシマブ・トシリズマブ)
  • 手術:風船で血管を広げる治療・ステント(金属の筒)を入れる治療・バイパス手術です。

影響する主な要因

高安動脈炎へのなりやすさは人によって大きく違い、次のような要因が影響します。

  • 遺伝子の影響(DNA領域rs9540128・rs2836883の遺伝子型)
  • 白血球の型(HLA-B*52を持っているか)
  • 性別(女性に多い)
  • 民族的な背景(アジア系に多い)

遺伝子と高安動脈炎の関連

DNA領域rs9540128と発症リスクの関係

ピッツバーグ大学のOrtiz-Fernándezらの研究(1)により、DNA領域rs9540128が高安動脈炎へのかかりやすさと関係していることが分かりました。

  • rs9540128にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型があります。
  • T型変異を持つ遺伝子型(TT型・CT型)の人は、高安動脈炎になりやすい傾向があります。

日本人における遺伝子型の分布(rs9540128)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
CC型 39.0% 58.8%
CT型 46.8% 35.7%
TT型 14.0% 5.4%

日本人における遺伝子型の分布(rs2836883)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
GG型 69.9% 55.6%
GA型 27.3% 37.9%
AA型 2.6% 6.4%

DNA領域rs9540128における日本の遺伝子型ごとの割合

  • CC
    39.0%
  • CT
    46.8%
  • TT
    14.0%

DNA領域rs9540128における世界の遺伝子型ごとの割合

  • CC
    58.8%
  • CT
    35.7%
  • TT
    5.4%

DNA領域rs2836883における日本の遺伝子型ごとの割合

  • GG
    69.9%
  • GA
    27.3%
  • AA
    2.6%

DNA領域rs2836883における世界の遺伝子型ごとの割合

  • GG
    55.6%
  • GA
    37.9%
  • AA
    6.4%

検査の理論的根拠

代表的なDNA領域:高安動脈炎

高安動脈炎に最も強く影響するDNA領域は、rs9540128です。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。

  • CC
    39.0 %
  • CT
    46.8 %
  • TT
    14.0 %

ほかに、高安動脈炎に関わるDNA領域としてrs2836883があります。 日本での遺伝子型の分布は下記のとおりです。

  • GG
    69.9 %
  • GA
    27.3 %
  • AA
    2.6 %

検査の根拠

ピッツバーグ大学のOrtiz-Fernándezらの研究により、高安動脈炎へのかかりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs9540128という場所があり、そこにはCとTの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、高安動脈炎になりやすい傾向があることが分かりました。

今回調査したDNA領域

細胞の中にあるDNAマップの模式図

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関連遺伝子

関連遺伝子 LINC00355
関連遺伝子 LINC02940

よくある質問

Q1. 高安動脈炎とは何ですか?

高安動脈炎は、大動脈とそこから枝分かれする主な血管に、長く続く炎症が起きる血管炎の一種です。血管の壁が分厚くなり、血液の通り道が狭くなることで血液が流れにくくなります。40歳未満のアジア系女性に多く、免疫の異常が原因と考えられています(1)。

Q2. 高安動脈炎の原因は何ですか?

正確な原因はまだ分かっていませんが、免疫細胞(T細胞)が自分の血管の壁を攻撃してしまう自己免疫反応が主な原因と考えられています。遺伝子の影響としては、DNA領域rs9540128のTタイプがリスクに関わっています(1)。

Q3. 遺伝子検査で高安動脈炎のリスクは分かりますか?

DNA領域rs9540128の遺伝子型を調べることで、高安動脈炎の発症リスクの傾向を知ることができます。Tタイプを持つ遺伝子型(TT型・CT型)の人はリスクが高い傾向にあることが、ピッツバーグ大学の研究で分かっています(1)。

Q4. 高安動脈炎の治療法はありますか?

ステロイド薬(プレドニゾロン)で炎症をおさえることが最初に使われる治療です。効果が足りない場合は、免疫の働きをおさえる薬や、炎症を起こす物質(TNF)の働きを止める薬を一緒に使います。血管がとても狭くなっている場合は、風船で血管を広げる治療や、血管の迂回路を作る手術(バイパス手術)が行われます。

参考文献