不飽和脂肪酸の代謝能力
- 不飽和脂肪酸の代謝能力とは、オメガ3・オメガ6などの必須脂肪酸を体の中でうまく変えて使う力で、心臓や血管の健康を保つことに深く関わります。
- DNA領域rs149615216のC型変異を持つ人は代謝能力が高い傾向にあることがブリストル大学の研究で分かりました。
- 青魚・オリーブオイル・ナッツ類を食べることと、オメガ6:オメガ3比を4:1以下に保つことで代謝のしやすさの改善が期待できます。
概要
【概要】 不飽和脂肪酸の代謝(体の中で使ったり変えたりするはたらき)は、体にとって大切なしくみです。 不飽和脂肪酸は、分子の中に「二重結合」というつながり方を持つ脂肪酸の一種で、主に植物油や魚に多く含まれています。
【特徴】 これらの脂肪酸は、健康に良い影響があることで知られており、特に心臓や血管の健康に役立ちます。 不飽和脂肪酸は、二重結合の数や位置によっていくつかの種類があり、主に一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。 一価不飽和脂肪酸にはオレイン酸があり、オリーブオイルに多く含まれます。 多価不飽和脂肪酸には、オメガ3脂肪酸(例:α-リノレン酸、DHA、EPA)やオメガ6脂肪酸(例:リノール酸、アラキドン酸)があります。
【メカニズム】 これらの脂肪酸は、体の中で作ることができない「必須脂肪酸」で、食事からとる必要があります。 不飽和脂肪酸の代謝は、エネルギーを作る、細胞の膜をつくる、体の調子を整える物質を作るなど、体のいろいろなはたらきに関わっています。 健康を保つためには、食事から適切な種類と量の不飽和脂肪酸をとることが大切です。
【科学的根拠】 ブリストル大学のRichardsonらの研究により、不飽和脂肪酸の代謝能力がrs149615216というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CT、TTの3つの遺伝子型があり、C型の変異を持つ人は、不飽和脂肪酸の代謝能力が高い傾向にあることが分かりました。
不飽和脂肪酸の代謝能力とは何か
不飽和脂肪酸の代謝能力とは、食事からとった不飽和脂肪酸を、体の中でエネルギー源・細胞の膜の材料・体の調子を整える物質に変えて使う力です。この代謝のしやすさは人によって遺伝子型が違うため個人差があり、心臓や血管の健康、炎症(体の中で起こる腫れや赤みなどの反応)の起こりやすさに関わります。
不飽和脂肪酸とは何か?
不飽和脂肪酸は、分子の中に1つ以上の二重結合を持つ脂肪酸です。植物油や魚の油に多く含まれ、常温(ふだんの温度)で液体のままです。体の健康を保つうえで、特に心臓や血管を守るために大切な役割を持っています。
不飽和脂肪酸の種類と特徴
不飽和脂肪酸は二重結合の数と位置によって分けられます。
- 一価不飽和脂肪酸:二重結合1つ。代表例はオレイン酸(オリーブオイルに豊富)です。
- 多価不飽和脂肪酸:二重結合2つ以上。体の中で作れない必須脂肪酸を含みます。
多価不飽和脂肪酸はさらにオメガ3系とオメガ6系に分かれます。
- オメガ3脂肪酸:α-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)
- オメガ6脂肪酸:リノール酸、アラキドン酸
一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の違い
| 比較項目 | 一価不飽和脂肪酸 | 多価不飽和脂肪酸 |
|---|---|---|
| 二重結合 | 1つ | 2つ以上 |
| 代表例 | オレイン酸(オリーブオイル) | DHA・EPA・リノール酸 |
| 体の中で作れるか | できる | できません(必須脂肪酸)。 |
| 主な食品源 | オリーブオイル・アボカド・ナッツ | 青魚・えごま油・大豆油 |
| 主な健康効果 | 悪玉コレステロールを下げます。 | 炎症をおさえる・血のかたまりを防ぐ・脳のはたらきを保ちます。 |
不飽和脂肪酸の代謝が重要な理由
不飽和脂肪酸の代謝は、体の中の次の3つのはたらきに関わる大切な機能です。
- エネルギーを作る:脂肪を分解して(β酸化)、細胞のエネルギー源として使います。
- 細胞の膜をつくる:リン脂質(細胞の膜の材料)として、細胞の膜のやわらかさとはたらきを保ちます。
- 体の調子を整える物質を作る:プロスタグランジンやロイコトリエンなど、炎症を調節する物質を作ります。
代謝能力が下がると、長く続く炎症・動脈硬化(血管が硬くなること)・物忘れなど脳のはたらきの低下が起こりやすくなります。
不飽和脂肪酸の代謝能力を高める食事法
代謝のしやすさを高めるためには、次のような食事の工夫が効果的です。
- 青魚(サバ・イワシ・サンマ)を週2回以上食べてDHA・EPAをとります。
- 料理に使う油をオリーブオイルに切り替えてオレイン酸をとります。
- くるみ・アーモンド・チアシードからα-リノレン酸をとります。
- オメガ6:オメガ3の摂取比率を4:1以下に保ちます(厚生労働省のすすめ)。
遺伝子と不飽和脂肪酸の代謝能力の関連
DNA領域rs149615216と代謝能力の関係
ブリストル大学のRichardsonらの研究(1)により、DNA領域rs149615216が不飽和脂肪酸の代謝能力と関係していることが分かりました。
- rs149615216にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型が存在します。
- C型変異を持つ遺伝子型の人は、不飽和脂肪酸の代謝能力が高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs149615216)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 99.9% | 98.5% |
| CT型 | 0.1%以下 | 1.4% |
| TT型 | 0.1%以下 | 0.1%以下 |
日本人は99.9%がCC型で、世界平均(98.5%)より高い割合です。CC型はC型変異を持つため、不飽和脂肪酸の代謝能力が高い遺伝子型です。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:不飽和脂肪酸の代謝能力
不飽和脂肪酸の代謝能力に最も強く影響するDNA領域は、rs149615216です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- CC
99.9 % - CT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
他に、不飽和脂肪酸の代謝能力に関わるDNA領域にはrs99780があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- CC
44.6 % - CT
44.3 % - TT
11.0 %
他に、不飽和脂肪酸の代謝能力に関わるDNA領域にはrs182549があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- CC
99.9 % - CT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
検査の根拠
ブリストル大学のRichardsonらの研究により、不飽和脂肪酸の代謝能力が遺伝子と関係していることが分かりました。rs149615216領域にはCとTの2種類の変異があり、C型変異を持つ人は不飽和脂肪酸の代謝能力が高い傾向にあります(1)。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LIPG |
|---|---|
| 関連遺伝子 | FADS2 |
| 関連遺伝子 | MCM6 |
よくある質問
Q1. 不飽和脂肪酸の代謝能力とは何ですか?
不飽和脂肪酸の代謝能力とは、食事からとったオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸・DHA・EPA)やオメガ6脂肪酸(リノール酸・アラキドン酸)を、体の中でエネルギー源や体の調子を整える物質に変えて使う力のことです。FADS2遺伝子やLIPG遺伝子が代謝のしやすさに関わっています(1)。
Q2. 不飽和脂肪酸の代謝能力に遺伝子は影響しますか?
ブリストル大学のRichardsonらの研究で、DNA領域rs149615216が不飽和脂肪酸の代謝能力と関係していることが分かりました。C型変異を持つ人は代謝能力が高い傾向にあります(1)。
Q3. 一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の違いは?
一価不飽和脂肪酸は二重結合が1つで、代表例はオレイン酸(オリーブオイル)です。多価不飽和脂肪酸は二重結合が2つ以上あり、オメガ3(DHA・EPA)とオメガ6(リノール酸)に分けられます。多価不飽和脂肪酸は体の中で作れない必須脂肪酸です。
Q4. 不飽和脂肪酸の代謝能力を高める食事法は?
青魚(サバ・イワシ・サンマ)からDHA・EPAをとり、オリーブオイルやアボカドでオレイン酸を補うことが効果的です。オメガ6とオメガ3の摂取比率を4:1以下に保つことが推奨されています。