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NIPT(新型出生前診断)の検査条件と年齢制限:医師が解説する必須要件

2026.09.30

NIPT(新型出生前診断)の検査条件と年齢制限:医師が解説する必須要件

概要

  • NIPTの年齢制限(35歳以上)は撤廃され、現在は年齢に関わらず希望する妊婦さんが受検可能です 。
  • 妊娠10週以降の単胎妊娠など、年齢以外の条件が設けられているのが一般的です 。
  • 認証施設においては、検査前後の遺伝カウンセリング受診が必須とされています 。
  • 検査の目的を明確にし、専門家のサポートを受けながらパートナーと慎重に検討することが大切です 。

1. NIPTに年齢制限はある?

NIPTの年齢条件が変わった経緯

出生前検査の中でも、NIPT(新型出生前診断)は採血だけで赤ちゃんの染色体異常を調べられる検査として広く知られるようになりました 。一方で「年齢制限があるのでは」「自分は対象になるのだろうか」と不安に思う妊婦さんも少なくありません 。

NIPTが日本に導入された当初は、35歳以上の妊婦さんを主な対象としていました 。これは、母体の年齢が上がるにつれて染色体異常の発生頻度が高まるという医学的根拠に基づくものです 。実際、ダウン症をともなう妊娠の割合は20代では0.1%未満である一方、35歳では0.2%以上と、年齢とともに割合が上昇することが報告されています(1) 。

この状況が変わる転機となったのが、2021年から2022年にかけての制度改訂です 。2021年、日本医学会のもとに「出生前検査認証制度等運営委員会(以下、運営委員会)」が新たに設置されました 。そして翌2022年、それまで日本産科婦人科学会が示してきた指針を引き継ぐ形で、運営委員会が「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設認証の指針」を新たに定めました(2) 。これにより、現在は年齢による一律の制限はなくなり、年齢にかかわらず希望する妊婦さんが検査を検討できるようになっています 。

2. NIPTを受ける際に知っておきたい条件

妊娠週数や妊娠形態などNIPTの受検条件

年齢以外にも、多くの施設ではNIPTを受けるための条件が設けられています 。代表的な条件として、以下のようなものが挙げられます 。

まず、妊娠週数の条件です 。NIPTは一般的に妊娠10週以降に検査が可能とされています 。それより早い時期では精度が安定しないため、予約や検査自体を受け付けていない施設がほとんどです 。妊娠週数は自己判断ではなく、必ずかかりつけの産婦人科で確認したうえで申し込む必要があります 。

次に、単胎妊娠か多胎妊娠かという点も、検査を申し込めるかどうかに関わってきます 。双胎妊娠については対応している施設が多い一方、三つ子以上の多胎妊娠は症例数が少なくデータが限られていることから、十分なエビデンスが確立されていないため、対象外とする施設や検査機関が一般的です(3) 。多胎妊娠の場合に検査を受けられるかどうかは施設や利用する検査機関によって異なるため、事前に確認することをおすすめします 。

また、認証施設(運営委員会の認証を受けた施設)においては検査前後に遺伝カウンセリングを受けることが必須とされていることも知っておきたいポイントです(2) 。遺伝カウンセリングでは、検査でわかること・わからないこと、結果が示す意味、検査後に想定される選択肢などについて、専門知識を持つ医師や認定遺伝カウンセラーから説明を受けられます 。パートナーの同伴を求める施設もあり、夫婦そろって検査の意義を理解したうえで臨むことが重視されています 。

3. 条件を満たせば受けるべき?NIPTを検討する際のポイント

NIPTの目的と結果への対応を話し合う視点

条件を満たしているからといって、必ずしもNIPTを受けるべきとは限りません 。大切なのは、何のために検査を受けるのかを自分自身の中で整理しておくことです 。たとえば「赤ちゃんの状態を知り、安心して妊娠期間を過ごしたい」「万が一の場合に備えて、出産までに必要な準備や選択肢について考えておきたい」など、目的は人それぞれです 。

また、年齢が上がるにつれて染色体異常のリスクが統計的に上昇することは事実ですが、これはあくまで集団としての傾向であり、個々の妊婦さんに当てはまるとは限りません 。実際、染色体異常をともなう妊娠は、必ずしも高齢の妊婦さんだけに起こるわけではありません 。年齢だけでなく、超音波所見や本人の希望、家族歴なども含めて総合的に判断することが望ましいといえます 。

検査を検討する際は、なぜ検査を受けたいのかという目的を明確にし、高リスクという結果が出た場合に自分たちがどう向き合うかをパートナーとあらかじめ話し合っておくことが重要です 。検査前後の遺伝カウンセリングを活用し、疑問や不安を一つひとつ解消したうえで意思決定することをおすすめします 。

4. 年齢にとらわれず、自分に合った検査選択を

年齢だけに左右されない出生前検査の選び方

NIPTはかつて35歳以上という年齢条件が設けられていました 。しかし、現在は指針改訂により、年齢にかかわらず、本人が希望すれば検査を受けられるようになっています 。一方で、妊娠週数や単胎・多胎の別、遺伝カウンセリングの受診など、年齢以外にも検査を受けるためにはさまざまな条件が存在します 。条件を満たしているかどうかだけでなく、検査の目的や検査後の選択肢についても十分に理解したうえで、納得できる形でNIPTを選択することが大切です 。

5. サマリー

NIPT(新型出生前診断)における「35歳以上」という年齢制限は制度改訂により撤廃され、全年齢の妊婦さんが希望すれば受検可能となりました 。しかし受検にあたっては、妊娠10週以降であることや、多胎妊娠の規定、認証施設での遺伝カウンセリングの受診といった年齢以外の条件を満たす必要があります 。NIPTを検討する際は条件の確認だけでなく、検査の目的や結果への向き合い方をパートナーとあらかじめ整理し、専門家のサポートのもと、ご自身に合った納得のいく選択をすることが何より重要です 。

FAQ

Q1. NIPT(新型出生前診断)には年齢制限がありますか? A. 現在、NIPTを受検するための年齢による一律の制限はありません。以前は35歳以上という基準が設けられていましたが、最新の指針改訂により、年齢にかかわらず希望する妊婦さんが検査を検討できるようになりました。ただし、妊娠週数などの医学的な条件を満たす必要があります(4)。

Q2. NIPTは妊娠何週目から受けることができますか? A. 一般的に、NIPTは妊娠10週0日以降から検査が可能です。これより早い時期では、母体血中に含まれる胎児のDNA量が不足し、正確な検査結果が得られない可能性があるためです。正確な妊娠週数は、自己判断ではなく必ずかかりつけの産婦人科でご確認ください。

Q3. 多胎妊娠(双子など)でもNIPTを受けることは可能ですか? A. 双胎(双子)妊娠の場合は、対応している施設が多く、NIPTの受検が可能です。しかし、三つ子以上の多胎妊娠については、症例数が少なくデータが限られており、十分なエビデンスが確立されていないため、対象外とするのが一般的です(5)。

Q4. 遺伝カウンセリングとは何ですか?なぜ受ける必要があるのですか? A. 遺伝カウンセリングとは、専門知識を持つ医師や認定遺伝カウンセラーから、検査でわかること・わからないこと、結果の持つ意味、検査後の選択肢について説明を受けるプロセスです。結果に対する不安を軽減し、ご夫婦で十分に納得した上で意思決定を行うために、受診が必須とされています(4)。

Q5. 検査結果が出るまでに、どのくらいの期間がかかりますか? A. 検査内容により異なりますが、一般的には採血から約1〜2週間程度で結果が報告されます。次世代シークエンサー(NGS)を用いた自社解析体制を整えている専門機関では、海外や外部の機関へ委託する場合と比較して、より迅速かつ安全に結果をお届けすることが可能です。

参考文献

(1) Journal of Medical Screening(SAGE Journals)、2002年

(2) NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設認証の指針(日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会)、2022年

(3) Prenatal Diagnosis(Wiley Online Library)、2024年

(4) NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設認証の指針(日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会)、2022年 2月

(5) Prenatal Diagnosis(Wiley Online Library)、2024年 1月

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著者

著者:医学博士・医師 広重 佑(ひろしげ たすく) 医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか 。2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ 。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる 。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得 。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している 。