【医師が解説】NIPT検査の3つのメリットとは?医学的根拠で徹底解説
目的/概要
- NIPT検査の主なメリットを医学的根拠とともに整理
- 精度・母体への負担・準備期間の3点を解説
- 他の出生前検査との違いとFAQも掲載
目次
- NIPT検査とは?
- メリット①:高い精度で染色体異常の可能性を調べられる
- メリット②:母体・胎児への身体的負担が少ない
- メリット③:出産や今後の準備を考える時間を確保できる
- NIPT検査を受ける際に理解しておきたい注意点
- サマリー
- よくある質問(FAQ)
NIPT検査の主なメリットは、①染色体異常の可能性を高い精度で調べられる、②母体・胎児への身体的負担が少ない、③今後を考える時間を確保できる、の3点です。
NIPT(新型出生前診断)という言葉を聞いたことがあっても、具体的なメリットが分からないという妊婦の方は少なくありません。出生前検査にはNIPTのほかに超音波検査、母体血清マーカー検査、羊水検査、絨毛検査などがあり、検査方法・調べられる項目・母体への負担・受けられる時期がそれぞれ異なります。本記事では、NIPT検査で得られる主なメリットを医学的根拠とともに解説します。
1.NIPT検査とは?

NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)は、母体血液中の胎児由来DNA断片(cfDNA)を解析し、染色体異常の可能性を調べるスクリーニング検査です。
NIPTは、母体の血液中に含まれる胎児由来のDNA断片(cfDNA)を解析し、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)などの可能性を判定します。妊娠10週以降に採血のみで実施でき、結果は陽性・陰性・判定保留で報告されます(1)。検査機関によって対象疾患は異なり、性染色体異常や微小欠失症候群を含める機関もあります(2)。
2.メリット①:高い精度で染色体異常の可能性を調べられる

NIPTは染色体異常の可能性を高い精度で判定でき、従来の母体血清マーカー検査より偽陽性率が低いことが報告されています。
NIPT最大のメリットの一つは、染色体異常の可能性を高い精度で調べられることです。2014年に発表された大規模臨床研究では、NIPTと従来の母体血清マーカー検査を比較した結果、NIPTは偽陽性率が低く、陽性的中率(PPV)が高いことが示されました。21トリソミーの陽性的中率は、NIPTが45.5%、従来法が4.2%でした(3)。
| 検査方法 | 21トリソミーの陽性的中率(PPV) |
|---|---|
| NIPT(cfDNA検査) | 45.5% |
| 従来の標準スクリーニング | 4.2% |
出典:Bianchi DW, et al. New England Journal of Medicine, 2014(3)
複数の研究を統合したメタ解析でも、単胎妊娠における検出率は21トリソミーで99%超、18トリソミーで98%、13トリソミーで99%、偽陽性率0.13%と報告されています(4)。
高い精度で判定できることは、確定診断のための侵襲的検査を不必要に受ける機会を減らすことにつながります(5)。判定結果が低リスクであれば、過度な不安を抱えずに妊娠期間を過ごせる点も重要なメリットです。
3.メリット②:母体・胎児への身体的負担が少ない

NIPTは採血のみで実施でき、羊水検査・絨毛検査のような流産リスクを伴いません。
NIPTは母体の血液を採取するだけで実施できる検査です。羊水検査や絨毛検査のように子宮内へ針を刺す侵襲的な手技を行わないため、母体・胎児への直接的な負担がありません。採血は数分で完了します。
羊水検査・絨毛検査は確定診断が可能で検査精度は100%に近いものの、低い割合で流産リスクを伴います(約0.1〜0.3%)(6)。NIPTは採血のみで実施できるため、こうした手技に伴うリスクを回避しながら、染色体異常の可能性に関する情報を得られます。妊娠10週以降という早い時期から受けられることも、負担の少なさにつながっています(1)。
| 検査 | 種類 | 母体への侵襲 | 流産リスク | 受検時期 |
|---|---|---|---|---|
| NIPT | 非確定的(スクリーニング) | なし(採血のみ) | なし | 妊娠10週以降 |
| 母体血清マーカー検査 | 非確定的 | なし(採血のみ) | なし | 妊娠15週以降 |
| 絨毛検査 | 確定的 | あり(穿刺) | 約0.1〜0.3% | 妊娠11〜14週 |
| 羊水検査 | 確定的 | あり(穿刺) | 約0.1〜0.3% | 妊娠15〜16週以降 |
出典:国立成育医療研究センター(1)、Salomon LJ, et al. 2019(6)
4.メリット③:出産や今後の準備を考える時間を確保できる

NIPTは妊娠10週以降に受けられ、結果も短期間で判明するため、家族で今後を検討する時間を確保しやすくなります。
NIPTは妊娠10週以降から受けられ、結果も短期間で判明します。医療機関・検査機関により異なりますが、採血から数日〜2週間程度で結果を確認できます(7)。そのため、結果を踏まえて出産や今後の生活を家族で検討する時間を確保しやすくなります。
検査結果が低リスクであれば、安心して妊娠期間を過ごす材料の一つとなります。高リスクと判定された場合は、確定診断のための羊水検査・絨毛検査を受けるかどうかを、専門医や遺伝カウンセラーに相談しながら検討できます。
早い時期に情報を得られることは、医療機関や専門家への相談、受け入れ体制が整った施設の選択、出産・育児に向けた準備など、家族にとって重要な意思決定の時間を確保する点で大きな意味を持ちます(5)。気持ちを整理する時間的な余裕が生まれることも、心理的な負担の軽減につながります。
5.NIPT検査を受ける際に理解しておきたい注意点
NIPTは非確定的なスクリーニング検査であり、陽性時には確定診断が必要です。検査前後の遺伝カウンセリングが推奨されます。
NIPTには複数のメリットがある一方、あくまで可能性を調べる非確定的検査である点も理解しておく必要があります。高リスクと判定された場合は、羊水検査や絨毛検査による確定診断が推奨されます(8)。検査前には、結果の意味やその後の選択肢について十分な遺伝カウンセリングを受けることが大切です(5)。
出生前検査を検討する際は、各検査のメリットと限界を正しく理解し、専門医や遺伝カウンセラーと相談しながら、自身や家族が納得できる選択をすることが重要です。
6.サマリー
- NIPTは母体血のcfDNAを解析する非侵襲的なスクリーニング検査で、妊娠10週以降に受けられる。
- メリット①:21・18・13トリソミーの可能性を高い精度で判定でき、従来法より偽陽性率が低い(21トリソミーのPPVは45.5%対4.2%、メタ解析で検出率99%超)。
- メリット②:採血のみで実施でき、羊水・絨毛検査の流産リスク(約0.1〜0.3%)を回避できる。
- メリット③:早期かつ短期間で結果が得られ、家族で今後を検討する時間を確保できる。
- 注意点:非確定的検査のため陽性時は確定診断が必要。検査前後の遺伝カウンセリングが推奨される。
7.よくある質問(FAQ)
Q1. NIPTはいつから受けられますか?
妊娠10週以降から受けられます。母体血中の胎児由来DNAの割合が10週以降に安定し、正確な解析が可能になるためです(7)。
Q2. NIPTの精度はどのくらいですか?
メタ解析では、単胎妊娠における検出率が21トリソミーで99%超、18トリソミーで98%、13トリソミーで99%、偽陽性率0.13%と報告されています(4)。ただし非確定的検査であり、陽性時は確定診断が必要です。
Q3. NIPTに流産のリスクはありますか?
NIPTは採血のみで行うため、流産リスクはありません。一方、確定検査である羊水検査・絨毛検査には約0.1〜0.3%の流産リスクが報告されています(6)。
Q4. NIPTで陽性が出たら診断確定ですか?
いいえ。NIPTは非確定的なスクリーニング検査です。陽性の場合は、羊水検査・絨毛検査などの確定的検査が必要です(8)。
Q5. NIPTの結果はいつわかりますか?
医療機関・検査機関により異なりますが、採血から数日〜2週間程度で判明します(7)。
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参考文献
(1) NIPT(国立成育医療研究センター, ncchd.go.jp)、2026年6月閲覧
(2) NIPT(新型出生前診断)とはどのような検査なの?(seeDNA遺伝医療研究所, seedna.co.jp)、2025年11月
(5) 一緒に考えよう、お腹の赤ちゃんの検査(出生前検査認証制度等運営委員会/日本医学会, jams-prenatal.jp)、2026年6月閲覧
(7) NIPT(新型出生前診断)はいつから受けられますか?(seeDNA遺伝医療研究所, seedna.co.jp)、2026年1月
(8) 母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針(日本産科婦人科学会, jsog.or.jp)、2026年6月閲覧
著者
医学博士・医師 広重 佑(ひろしげ たすく)
医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医ほか。2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。学会発表・論文作成・研究費取得など学術活動にも精力的に取り組み、培った医学知識と技術を活かして患者一人ひとりに寄り添った医療を提供している。