【医師が解説】NIPT(新型出生前検査)の結果はどう出る?高リスク・低リスク・判定保留の意味と対応
概要
- NIPTの「高リスク・低リスク・判定保留」の意味を医師が解説
- 高リスクでも確定診断ではなく、羊水検査などの確定検査が必要
- 陽性的中率(PPV)や検査後の具体的な流れをわかりやすく説明
1. NIPT(新型出生前検査)とは?
妊娠中に出生前検査を検討している方にとって、「検査を受けたらどんな結果が返ってくるのだろう」という疑問は自然なことです。近年急速に普及しているNIPT(新型出生前検査)は、採血だけで胎児の染色体異常リスクを調べられる検査として広く知られています。
NIPTは、妊婦さんの血液中に含まれる胎盤由来の胎児DNA断片(cell free fetal DNA: cffDNA)を解析することで、胎児の染色体異常を調べます。主に以下の染色体異常のリスク評価を目的としています。
- 21トリソミー(ダウン症候群)
- 18トリソミー(エドワーズ症候群)
- 13トリソミー(パトウ症候群)
※検査機関によっては性染色体異常や微小欠失症候群なども検査項目に含まれる場合があります。
2. 結果の3つの種類と意味(低リスク・高リスク・判定保留)

NIPTの結果は、大きく次の3種類に分類されます。それぞれの意味を正しく理解することが重要です。
| 結果の種類 | 意味と特徴 |
|---|---|
| ① 低リスク(陰性) | 胎児が対象の染色体異常を持つ可能性が低いことを示します。NIPTの感度は非常に高く、21トリソミーに対しては99%以上とされています(1)。ただし、スクリーニング検査であるため100%の除外を保証するものではありません。 |
| ② 高リスク(陽性) | 胎児が染色体異常を持つ可能性が高いことを示します。あくまでリスクの上昇を示すものであり、確定診断ではありません。 |
| ③ 判定保留 | 高リスク、低リスクの判定ができなかった状態です。 |
再検査となる主な要因
一般的に妊娠10週以降で4%以上のFFがあれば、精度の高い検査が可能とされています(3)。FFが低くなり判定保留となる要因には以下が挙げられます(3)。
- 妊婦さんのBMIが高い場合
- 採血時期が早すぎる場合(妊娠10週未満)
- 双胎妊娠(双子)などの影響
3. 高リスク結果における陽性的中率(PPV)について

高リスクという結果が出た場合に、まず理解していただきたいのは「高リスク=確定診断ではない」ということです。
NIPTの高リスク結果が実際の染色体異常と一致する割合を「陽性的中率(PPV:Positive Predictive Value)」と呼びます。PPVは検査項目や妊婦さんの年齢によって大きく異なり、以下のように報告されています(2)。
| 対象の染色体異常 | 陽性的中率(PPV)の目安 |
|---|---|
| 21トリソミー(ダウン症候群) | 約86% |
| 18トリソミー(エドワーズ症候群) | 約58% |
| 13トリソミー(パトウ症候群) | 約25% |
つまり、高リスクと判定されても、最終的に染色体異常が確認されないケースが一定割合存在するということです。
4. 結果が出た後の対応と次のステップ

- 低リスクだった場合
- 安心できる結果ですが、NIPTはあくまでスクリーニング検査です。引き続き定期的な妊婦健診や超音波検査を欠かさず受け、妊娠経過を注意深く管理することが大切です。
- 高リスクだった場合
- 結果を受け取ると不安を感じることは当然ですが、焦って自己判断せず、主治医や遺伝カウンセラーに相談することが最も重要なステップです。確定診断のためには、以下の侵襲的な検査(胎児の染色体を直接調べる検査)が推奨されます。
- 羊水検査(妊娠16週以降に実施可能):流産関連リスクは約0.1%(4)
- 絨毛検査(妊娠11〜13週に実施可能):流産関連リスクは約0.2%(4)
- これらのメリットとリスクを十分に理解したうえで、最善の選択を行うことが大切です。
- 判定保留だった場合
- 十分な量の胎児DNAを確認することはできたが、高リスク・低リスクとも判定できなかったことを示す結果です。主治医や遺伝カウンセラーに相談することが推奨されます。
5. サマリー
NIPTの結果は「低リスク」「高リスク」「判定保留」の3種類に分類されます。低リスクは染色体異常の可能性が低いことを示しますが、確定診断ではありません。高リスクは異常の可能性が高いことを示すものの、陽性的中率(PPV)の観点から実際には異常がないケースも存在するため、確定には羊水検査などが必要です。 NIPTはあくまで「スクリーニング検査」であることを念頭に置き、結果にかかわらず専門家と十分にコミュニケーションをとることが最善の選択につながります。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. NIPTで「高リスク」と判定されたら、必ずダウン症などの染色体異常があるということですか?
いいえ、必ずしもそうではありません。NIPTの高リスクは確定診断ではなく、陽性的中率(PPV)に基づき実際には異常がないケースも存在します。確定診断には羊水検査などの実施が必要です。
Q2. 「低リスク」という結果が出た場合、100%安心しても良いですか?
NIPTは感度が非常に高い(21トリソミーで99%以上)検査ですが、スクリーニング検査のため100%の除外はできません。引き続き妊婦健診をしっかり受けることが重要です。
Q3. 判定保留になるのはどのような理由からですか?
血液から検査に必要な量の胎児DNAを得ることができたが、高リスク/低リスクを判定できなかったことを示す結果となります。高リスクとの判定ではないが、やや高めの結果であるため、主治医や遺伝カウンセラーに相談することをお勧めしています。
Q4. 確定診断のための羊水検査や絨毛検査にはリスクはありますか?
はい、侵襲的な検査のためわずかな流産リスクが存在します。羊水検査での流産関連リスクは約0.1%、絨毛検査では約0.2%と報告されています。
Q5. NIPTの結果について不安がある場合、どこに相談すればよいですか?
まずは主治医や遺伝カウンセラーにご相談ください。また、seeDNAでは専門スタッフによる無料相談窓口を設けており、検査に関する疑問や不安をサポートしています。
seeDNA遺伝医療研究所の安心サポート
seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。お腹の赤ちゃん疾患リスクの不安や血縁関係、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、DNA鑑定の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。
【専門スタッフによる無料相談】

ご不明点などございましたら弊社フリーダイヤルへお気軽にご連絡ください。
0120-919-097
\土日も休まず営業中/営業時間:月~日 9:00-18:00(祝日を除く)
著者:医学博士・医師 広重 佑(ひろしげ たすく)
医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか。2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。
参考文献
- BMJ Open (BMJ Open), 2016 1月 https://doi.org/10.1136/bmjopen-2015-010002
- Molecular Cytogenetics (Molecular Cytogenetics), 2022 7月 https://doi.org/10.1186/s13039-022-00607-z
- Kosin Medical Journal (Kosin Medical Journal), 2025 6月 https://doi.org/10.7180/kmj.25.118
- Ultrasound in Obstetrics & Gynecology (Ultrasound in Obstetrics & Gynecology), 2015 1月 https://doi.org/10.1002/uog.14636