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バニシングツインが出生前DNA鑑定に与える影響について

2024.08.07

リライティング日:2025年06月25日

バニシングツインとは妊娠初期に多胎妊娠の一方が自然消失する現象で、出生前DNA鑑定(NIPPT)や新型出生前診断(NIPT)の結果に影響を及ぼす可能性があります。原因や検査への影響、妊娠継続時の注意点を詳しく解説します。

バニシングツインとは

バニシングツインとはバニシングツイン(Vanishing Twin)とは、妊娠初期に多胎妊娠であった胎児の一方が自然に消失する現象です。初回の超音波検査で双子(または三つ子以上の多胎)が確認されたにもかかわらず、その後の検査では胎児の一方が見られなくなることで発覚します。消失した胎児の組織は、母体に吸収されるか、残存胎児の胎盤組織に取り込まれるケースが大半です(1)。

バニシングツインは、一般的には妊娠初期の6週から8週の間に発生しやすく、残った胎児には通常大きな影響はありません。研究によると、自然妊娠における多胎妊娠の約21〜30%でバニシングツインが発生するとされており、体外受精(IVF)の普及により超音波検査の頻度が増えたことで、この現象がより頻繁に確認されるようになりました(2)。ただし、妊娠の進行と胎児の健康状態を正確に確認するために、バニシングツインが疑われる場合にはさらなる精密検査が推奨されることがあります。

バニシングツインが発生した場合、母体には軽度の出血や腹痛が見られることがありますが、これらの症状は自然に治まることがほとんどです。一方で、妊娠中期以降に胎児の一方が消失する場合は、残存胎児への影響が大きくなる可能性があるため、より慎重な経過観察が必要とされています(3)。

バニシングツインの発生原因

バニシングツインの発生原因バニシングツインの発生原因として、胎児の遺伝的異常や発育不全が主な要因と考えられています。具体的には、染色体の数的異常(トリソミーやモノソミーなど)が消失する胎児に認められるケースが多く、これにより正常な細胞分裂や器官形成が行えず、自然に消失してしまうことが報告されています(1)。

また、体外受精(IVF)の技術が進化するにつれて、多胎妊娠が増えており、それに伴ってバニシングツインの発生するケースも増加していると言われています。IVFでは受精卵を複数個移植することが行われてきた背景があり、多胎妊娠の割合が自然妊娠と比較して高くなります。近年では単一胚移植(SET)の推奨が進んでいますが、それでも分割による一卵性双胎のリスクは残っています(4)。

バニシングツインの主な発生要因をまとめると、以下のとおりです。

  • 消失する胎児側の染色体異常(トリソミー、モノソミー等)
  • 胚の着床位置の不良や胎盤形成の異常
  • 体外受精による多胎妊娠の増加
  • 母体側の子宮環境や免疫学的要因
  • 受精卵の分裂過程における発育不全

これらの要因は単独で作用する場合もあれば、複数の要因が複合的に関与する場合もあります。いずれにせよ、バニシングツインは母体の過失によるものではなく、自然な生殖過程の一部として起こる現象であることを理解しておくことが大切です。

出生前DNA鑑定と新型出生前診断

出生前DNA鑑定と新型出生前診断妊娠中のDNA検査は、目的によって大きく2つに分かれています。

一つ目は、母体血中に存在する胎児のDNA(セルフリー胎児DNA:cffDNA)を分析することで、胎児の父親を確認する「出生前DNA鑑定(NIPPT)」です。NIPPTは母体から採取した血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を次世代シーケンサー(NGS)で解析し、父親候補者のDNAと照合することで親子関係を特定します(5)。

二つ目は、ダウン症候群(トリソミー21)やエドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)などの染色体異常のリスクがわかる「新型出生前診断(NIPT)」です。NIPTは母体血中のセルフリーDNAの中から胎児由来の成分を解析し、特定の染色体が通常より多い(トリソミー)かどうかをスクリーニングする検査です(6)。

どちらの検査も、侵襲的な羊水検査や絨毛膜検査と違って、流産のリスクがないため、近年ではヨーロッパやアメリカを中心に実施件数が急増しているDNA検査です。特にNIPTは、感度(検出率)が99%以上とされるトリソミー21のスクリーニングにおいて高い精度を示しており、世界的に標準的なスクリーニング手法として位置づけられつつあります(6)。

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バニシングツインがDNA検査に与える影響

バニシングツインが発生した場合、NIPPTやNIPTの結果に影響を与える可能性があります。消失した胎児のDNAが母体の血液中に残存することがあるため、これにより検査結果に混乱が生じることがあるのです。消失した胎児のセルフリーDNAは、消失後も数週間にわたって母体血中に残り続ける可能性が指摘されています(3)。

例えば、親子関係の鑑定(NIPPT)を行う際に検出される胎児のDNAが消失した胎児のものであった場合、正しい親子関係を示すことが難しい場合があります。残存胎児と消失した胎児が異父双生児であるような特殊なケースでは、検出されるDNAプロファイルが複雑化し、判定に追加の検証が必要になることもあります。

また、新型出生前診断(NIPT)では、消失した胎児が染色体異常を持っていた場合、そのDNAが検出され、実際には健常な残存胎児に対して正しい遺伝性疾患のリスクを出せないといった可能性もあります。これは「偽陽性」の原因のひとつとして知られており、NIPT実施前のカウンセリングにおいてバニシングツインの有無を確認することが推奨されています(7)。

このような状況では、医師と相談することが重要です。場合によっては、追加の確定的な検査(例:羊水検査や絨毛検査)が必要になることもあります。

バニシングツインがDNA検査に与える主な影響を整理すると、以下のようになります。

検査種別影響の内容対応策
NIPPT(親子鑑定)消失した胎児のDNAが混在し、親子関係の判定が複雑化する事前にバニシングツインの情報を共有する
NIPT(出生前診断)消失胎児の染色体異常が偽陽性の原因となりうる確定検査(羊水検査等)で確認する

バニシングツイン後の妊娠の継続

バニシングツインが確認された場合は、医療的、心理的、生活習慣の観点で注意が必要です。妊娠初期に胎児の一方を失うことは、たとえ残った胎児が健康であっても、精神的に大きな負担となる場合があります。

バニシングツイン後の妊娠継続において推奨される対応を、段階的にご紹介します。

  1. 定期的な超音波検査の実施:残った胎児の成長と発育を継続的に監視し、異常の早期発見に努めます。
  2. 母体の健康状態の確認:必要な栄養素の摂取状況やホルモンバランスのチェックを行い、母体の体調管理を徹底します。
  3. 心理的サポートの確保:家族や友人と感情を共有し、必要に応じて専門のカウンセラーによるサポートを受けることで、ストレスの軽減を図ります。
  4. DNA検査の前に専門機関への相談:出生前DNA鑑定やNIPTを受ける場合は、事前にバニシングツインの状況を検査機関に伝えておくことで、正確な結果を得やすくなります。
  5. 主治医との密な連携:担当の産婦人科医と密に連携を取り、出血や腹痛などの異常な症状があった場合にはすぐに相談できる体制を整えます。

様々な手段で母体と残った胎児の健康を維持することで、安心して妊娠を継続することができます。

出生前の親子DNA鑑定は、胎児や母体に安全な方法で妊娠中に父親を特定する有用な手段ですが、バニシングツインなどの特殊な状況があることを知らずに検査を行うと検査が混乱し、正しい結果をお出しするのに時間がかかってしまうことがあります。鑑定を開始する前にご連絡をいただくことで、正しい結果を早く報告することができるためご協力をお願いいたします。

seeDNAでは2025年2月に、出生後の赤ちゃんを対象に、バニシングツインを検出できる特殊DNA鑑定を開始する予定です。この鑑定では、残存胎児の組織や血液から消失した胎児のDNA痕跡を検出する先進的な解析技術を用いており、バニシングツインの確認を出生後に行いたい方に向けた新しいサービスです。

よくあるご質問

Q1. バニシングツインはどのくらいの確率で起こりますか?

A. バニシングツインは多胎妊娠の約21〜30%で発生するとされています。超音波検査の技術向上や体外受精の普及により、近年では発見される頻度が増加しています [ref:2]。自然妊娠の場合でも起こりうる現象であり、母体の過失によるものではありません。

Q2. バニシングツインは残った胎児に影響がありますか?

A. 妊娠初期(6〜8週頃)にバニシングツインが発生した場合、残った胎児への影響は通常ほとんどありません。ただし、妊娠中期以降に発生した場合は残存胎児への影響がやや大きくなる可能性があるため、定期的な超音波検査で経過を観察することが重要です [ref:3]。

Q3. バニシングツインがあるとNIPT(新型出生前診断)は受けられませんか?

A. バニシングツインが確認されている場合でもNIPTの受検自体は可能ですが、消失した胎児のDNAが母体血中に残存し、偽陽性の原因となる可能性があります。そのため、検査前にバニシングツインの既往を担当医や検査機関に必ず伝え、結果の解釈について十分な説明を受けることが推奨されます [ref:7]。

Q4. バニシングツインの後、出生前DNA鑑定(NIPPT)を受ける際に注意することはありますか?

A. 出生前DNA鑑定(NIPPT)では、母体血中の胎児由来のDNAを解析しますが、消失した胎児のDNAが混在することで鑑定結果が複雑化するケースがあります。鑑定を開始する前にseeDNAへバニシングツインの状況をご共有いただくことで、適切な解析方法を選択し、正確な結果をより早くお届けすることが可能です。

Q5. バニシングツインが起きた場合、精神的なケアはどうすればよいですか?

A. バニシングツインは妊娠初期に起こることが多いため、母体への身体的影響は限定的ですが、精神的な負担を感じる方も少なくありません。家族や友人への相談に加え、必要に応じて産婦人科医やカウンセラーに心理的サポートを求めることが推奨されます。一人で抱え込まず、周囲のサポートを積極的に活用してください。

Q6. seeDNAではバニシングツインに関連する特殊な検査を行っていますか?

A. seeDNAでは2025年2月より、出生後の赤ちゃんを対象としたバニシングツイン検出のための特殊DNA鑑定を開始する予定です。これは消失した胎児のDNA痕跡を高精度な次世代シーケンサー(NGS)技術で検出する先進的な検査です。詳細はseeDNAまでお気軽にお問合せください。

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seeDNA検査部で出生前の胎児DNA鑑定(NGS)担当のMイメージ 著者

出生前の胎児DNA鑑定(NGS)担当M

所属:株式会社seeDNA 検査部

【参考文献】