アルブミン尿
- アルブミン尿は腎臓の糸球体(血液をこすフィルター)が傷つき、アルブミンが尿の中に漏れ出す状態で、糖尿病や高血圧による腎臓の病気を早く見つける目安となります。
- DNA領域rs3116613のGのタイプを持つ人はアルブミン尿になるリスクが高い傾向にあることがエクセター大学の研究で判明しています。
- 尿アルブミン・クレアチニン比の検査による早期発見と、血糖・血圧の管理により、腎臓の働きが落ちるのを防ぐことが可能です。
概要
【疾患の概要】 尿アルブミン・クレアチニン比(尿の中のアルブミンの量を、クレアチニンの量で割った値)は、腎臓の働きや傷み具合を調べるための大切な目安です。 アルブミンは血液の中にあるタンパク質で、ふだんは腎臓を通り抜けず、血液の中にとどまっています。
【症状と特徴】 しかし、腎臓が傷つくとアルブミンが尿の中に漏れ出し、アルブミン尿と呼ばれる状態になります。
【治療と注意点】 アルブミン尿は、量が少ない「微量アルブミン尿」と、量が多い「顕性アルブミン尿」に分けられ、腎臓の傷み具合を知る大切な目安になります。 特に糖尿病や高血圧のある人では、アルブミン尿が続くことが腎臓の病気の前ぶれになります。 この比率は、尿の中のアルブミンの量をクレアチニンの量で調整した値なので、尿の濃さが変わってもアルブミン尿をより正確に調べることができます。 この比率を使うと、腎臓の健康状態を早めに調べて、必要な治療を始めることができます。 この比率は、腎臓の病気が進むのを防ぐための大切な目安として使われています。
【遺伝的リスク】 エクセター大学のCasanovaらの研究により、アルブミン尿へのかかりやすさが、rs3116613というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、アルブミン尿のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
アルブミン尿とは何か
アルブミン尿とは、腎臓の糸球体(血液をこすフィルター)が傷つき、ふだんは血液の中にとどまっているアルブミン(タンパク質)が尿の中に漏れ出す状態です。糖尿病のある人の約20〜40%が微量アルブミン尿になり、腎臓の病気の最も早いサインの一つとされています。
アルブミン尿の原因とメカニズム
アルブミンは血液の中に多く含まれるタンパク質です。健康な腎臓では、糸球体(血液をこして尿をつくる小さなフィルター)が、アルブミンが尿に漏れ出ないようにしています。次のような原因で糸球体が傷つくと、アルブミンが尿の中に漏れ出します。
- 糖尿病性腎症(糖尿病による腎臓の病気):血糖値が高い状態が続いて糸球体の膜が傷み、血液をこす働きが落ちます。
- 高血圧性腎硬化症(高血圧による腎臓の病気):高い血圧が続いて、腎臓の細い血管が硬くなります。
- 糸球体腎炎(糸球体の炎症):免疫の異常による糸球体の炎症
- 遺伝子の影響:DNA領域rs3116613でGのタイプを持つ人はリスクが高いです。
アルブミン尿の分類と重症度
| 分類 | 比の値 | 意味 |
|---|---|---|
| 正常 | 30mg/g未満 | 腎臓の働きは正常 |
| 微量アルブミン尿 | 30〜300mg/g | 腎臓の傷みの早いサイン |
| 顕性アルブミン尿 | 300mg/g以上 | 腎臓の傷みが進んでいます。 |
尿アルブミン・クレアチニン比の検査とは
尿アルブミン・クレアチニン比は、尿の中のアルブミンの量をクレアチニン(筋肉から出る老廃物)の量で割った値です。この比率を使うと、尿の濃さが変わっても、アルブミン尿の程度を正確に調べることができます。
- 好きな時に採った尿で測れます(24時間尿をためておく必要がありません)。
- 朝起きてすぐの尿で測るのが最も正確です。
- 3〜6か月の間に2回以上陽性なら診断が確定します。
アルブミン尿の主な症状
初めのうちは自分で気づく症状がないことが特徴です。病気が進むと次のような症状が出てきます。
- 尿の泡立ち(尿の中のタンパク質が増える)
- むくみ:特に足首や顔
- だるさ・疲れやすさ
- 血圧が上がります。
アルブミン尿から起こりうる病気
アルブミン尿をそのままにしておくと、次のような重い病気につながる可能性があります。
- 末期腎不全(腎臓がほとんど働かない状態):透析や腎臓移植が必要になります。
- 心臓や血管の病気:心筋梗塞・脳卒中のリスクが2〜4倍に上がります。
- ネフローゼ症候群(尿にタンパク質が大量に出る病気):大量のタンパク尿による全身のむくみが起こります。
アルブミン尿の予防と管理
次のような生活習慣の見直しと適切な治療によって、腎臓の働きが落ちるのを防いだり、遅らせたりできます。
- 血糖の管理:血糖の平均を表す数値(グリコヘモグロビン)7.0%未満を目標
- 血圧の管理:130/80mmHg未満を保ちます。
- 食事:1日の食塩6g未満の減塩食
- 適度な運動:週150分以上の有酸素運動(ウォーキングなど)
- 禁煙:喫煙は腎臓の働きが落ちるのを早めます。
遺伝子とアルブミン尿の関連
DNA領域rs3116613と発症リスクの関係
エクセター大学のCasanovaらの研究(1)により、DNA領域rs3116613がアルブミン尿へのかかりやすさと関係していることが分かりました。
- rs3116613にはTT・TG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Gのタイプを持つ遺伝子型の人は、アルブミン尿のリスクが高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs3116613)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 94.3% | 69.1% |
| TG型 | 5.6% | 28.0% |
| GG型 | 0.1%以下 | 2.8% |
検査の根拠となる研究
代表的なDNA領域:アルブミン尿
アルブミン尿に最も強く影響するDNA領域は、rs3116613です。 日本人の各遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- TT
94.3 % - TG
5.6 % - GG
0.1%以下
検査の根拠
エクセター大学のCasanovaらの研究により、アルブミン尿へのかかりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAにはrs3116613という場所があり、そこにはTとGの2種類のタイプがあります。Gのタイプを持つ人は、アルブミン尿のリスクが高い傾向にあることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
関連遺伝子
| 関連遺伝子 | DLEU1 |
|---|
よくある質問
Q1. アルブミン尿とは何ですか?
アルブミン尿とは、腎臓の糸球体が傷つくことで、アルブミン(血液の中のタンパク質)が尿の中に漏れ出す状態です。尿アルブミン・クレアチニン比で調べ、30mg/g以上で微量アルブミン尿、300mg/g以上で顕性アルブミン尿と診断されます(1)。
Q2. アルブミン尿の原因は何ですか?
主な原因は糖尿病による腎臓の病気(糖尿病性腎症)と高血圧による腎臓の病気(高血圧性腎硬化症)です。糖尿病のある人の約20〜40%が微量アルブミン尿になります。遺伝子の影響としては、DNA領域rs3116613でGのタイプを持つ人はリスクが高い傾向にあります(1)。
Q3. アルブミン尿はどのように検査しますか?
尿アルブミン・クレアチニン比の検査で診断します。好きな時に採った尿(随時尿)で測ることができ、尿の中のアルブミンの量をクレアチニンの量で調整するので、尿の薄さや濃さに左右されず正確に調べられます。
Q4. 遺伝子検査でアルブミン尿のリスクは分かりますか?
DNA領域rs3116613の遺伝子型を調べることで、アルブミン尿になりやすいかどうかの傾向を知ることができます。Gのタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることが、エクセター大学の研究で分かっています(1)。
Q5. アルブミン尿を予防する方法はありますか?
血糖値と血圧の適切な管理が最も重要です。過去1〜2か月の血糖の平均を表す数値(グリコヘモグロビン)を7.0%未満、血圧を130/80mmHg未満にすることを目標にし、塩分を控えた食事・適度な運動・禁煙を続けることで、腎臓の働きが落ちるのを防ぐことができます。