seeDNAロゴアイコン アレルギー系の疾患

概要

1. 概要

免疫機能には、病原体と戦う能力が備わっていますが、アレルギー反応により、身体に害がないものに対しても反応してしまうことがあります。花粉症、気管支喘息、食物アレルギーなどがこれに含まれます。
これらの症状は、くしゃみ、目のかゆみ、皮膚のかゆみ、鼻水、発疹、息苦しさなどです。
最近の研究では、「KLF5」遺伝子が喘息や炎症(免疫反応)に関わっていることが分かっており(参考リンク1)、また、「KLF5」に関わる遺伝子のタイプが、喘息や花粉症などのアレルギー疾患のなりやすさと関連している可能性が示されています。

2. 理論的根拠

喘息や花粉症などのアレルギー疾患には、多様な遺伝子タイプが関係しており、その中にはDNA領域「rs9583092」も含まれます。
この領域は、「KLF5」遺伝子の近くに位置しており、主に「AA型」「AG型」「GG型」の3つのタイプがあります。このうち、「AA型」が変異して「AG型」「GG型」が生まれたと考えられています。
統計的な解析によると、Risk AlleleであるAを持つ「AA型」と「AG型」の人は、「GG型」の人よりもアレルギー疾患にかかりやすい傾向があります。(参考リンク2)
日本人の遺伝子タイプの分布は、「AA型」が約16.08%で最も少なく、「AG型」が約48.04%、「GG型」が約35.88%で最も多いです。
一方、世界的な遺伝子タイプの分布は、「AA型」が約46.24%で最も多く、「AG型」が約43.52%、「GG型」が約10.24%で最も少ないです。日本人の傾向とは大きく異なっています。(参考リンク3)

3. 作用機序

「KLF5」遺伝子はさまざまな遺伝子の発現に関与していることが分かっており、その1つにSlugがあります。Slugも転写因子の1つで、炎症(免疫)反応や喘息の悪化に関わる「CXCL12」というタンパク質の発現を促します。
ある実験では、ラットの気管に人工的に「OVA(卵白を構成するタンパク質)」を入れ、気管支喘息を引き起こしました。
その結果、「OVA」の影響により発現が増加した「Slug」が「CXCL12」を増やしたことで、気管の炎症が強まり、気管支喘息を引き起こしたと結論付けています。
DNA領域「rs9583092」がアレルギー疾患に関与する具体的なメカニズムははっきりしていませんが、この領域が「KLF5」の働きに影響を及ぼし、そのことがアレルギー疾患のなりやすさに関わっている可能性があります。
以上のことから遺伝子検査により自分自身の遺伝子タイプを調べることで、アレルギー疾患の遺伝的発症リスクを知ることができ、早期発見・治療に役立つことが期待されます。

遺伝子領域rs9573092において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

22.65% 49.88% 27.46%
  • AA22.65%
  • AG49.88%
  • GG27.46%

遺伝子領域rs9573092において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

45.40% 43.96% 10.64%
  • AA45.40%
  • AG43.96%
  • GG10.64%

遺伝子領域rs7240948において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

6.74% 38.44% 54.82%
  • CC6.74%
  • CT38.44%
  • TT54.82%

遺伝子領域rs7240948において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

45.57% 43.87% 10.56%
  • CC45.57%
  • CT43.87%
  • TT10.56%

遺伝子領域rs4076542において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

33.28% 48.82% 17.90%
  • GG33.28%
  • GA48.82%
  • AA17.90%

遺伝子領域rs4076542において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

63.18% 32.61% 4.21%
  • GG63.18%
  • GA32.61%
  • AA4.21%

seeDNAロゴアイコン検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:アレルギー系の疾患

体表的なDNA領域:アレルギー系の疾患

アレルギー系の疾患 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs9573092です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • AA

    22.7
    %
  • AG

    49.9
    %
  • GG

    27.5
    %

他に、アレルギー系の疾患に関わる遺伝子領域はrs7240948があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • CC

    6.7
    %
  • CT

    38.4
    %
  • TT

    54.8
    %

他に、アレルギー系の疾患に関わる遺伝子領域はrs4076542があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • GG

    33.3
    %
  • GA

    48.8
    %
  • AA

    17.9
    %

検査の根拠

seeDNAロゴアイコン今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

seeDNAロゴアイコン関連遺伝子

関連遺伝子 PSMD10P3
関連遺伝子 STARD6
関連遺伝子 MIR4686

seeDNAロゴアイコン参考文献

  • 関連遺伝子 PSMD10P3
  • 参考リンク : 2017 Dec、Manuel A Ferreiraと研究グループがNat Genet に発表したShared genetic origin of asthma, hay fever and eczema elucidates allergic disease biologyという研究によるとアレルギー系の疾患 に関連するrs9573092の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 STARD6
  • 参考リンク : 2019 Dec、Åsa Johanssonと研究グループがHum Mol Genet に発表したGenome-wide association analysis of 350 000 Caucasians from the UK Biobank identifies novel loci for asthma, hay fever and eczemaという研究によるとアレルギー系の疾患 に関連するrs7240948の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 MIR4686
  • 参考リンク : 2019 Dec、Åsa Johanssonと研究グループがHum Mol Genet に発表したGenome-wide association analysis of 350 000 Caucasians from the UK Biobank identifies novel loci for asthma, hay fever and eczemaという研究によるとアレルギー系の疾患 に関連するrs4076542の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 STARD6
  • 参考リンク : 2019 Dec、Åsa Johanssonと研究グループがHum Mol Genet に発表したGenome-wide association analysis of 350 000 Caucasians from the UK Biobank identifies novel loci for asthma, hay fever and eczemaという研究によるとアレルギー系の疾患 に関連するrs7240948の関連性が認められました。