アレルギーの重症化リスク
- アレルギーの重症化リスクには好塩基球・好酸球の数の変化とDNA領域rs34290285が関係し、Gタイプを持つ人はアレルギーになりやすい傾向があります。
- 好塩基球の増加はヒスタミンが出るのを後押しし、好中球に対する好酸球の比率が上がるとアレルギー反応が起こりやすくなる可能性があります。
- 適切な原因物質を避ける・体を慣らす治療・生活環境の管理によりアレルギーが重くなるのを防ぐことができます。
概要
【疾患の概要】 1. 好塩基球の数: 好塩基球は、アレルギー反応で大事な役割をもつ白血球の一種です。 アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)に触れると、好塩基球はヒスタミンなどの物質を出し、アレルギーの症状を引き起こします。
【症状と特徴】 好塩基球の数が増えているときは、アレルギー反応が起きている可能性があります。 2. 好酸球の数と好中球の数の比率: 好酸球も、アレルギー反応に関わる白血球です。 好酸球は寄生虫に感染したときやアレルギーのときに反応して、数が増えます。 好中球は細菌から体を守る働きをします。 好中球に対して好酸球の数が多いと、アレルギー反応が起こりやすい可能性があります。 3. 好酸球の数: 好酸球の数が増えると、アレルギー性のぜんそくや皮膚炎などの症状が出ることがあります。 好酸球はアレルギー反応のきっかけとなる物質を出します。 このように、好塩基球の数や、好中球に対する好酸球の比率が増えていると、アレルギー反応が起きている可能性があります。
【治療と注意点】 これらの数値はアレルギーの病気の診断や経過を見るのに役立ちますが、ほかの検査結果や医師の診察と合わせて、全体をみて判断する必要があります。
【遺伝的リスク】 ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、アレルギーになりやすさがrs34290285というDNA領域と関係していることが分かりました。 この領域にはGG,GA,AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、アレルギーになりやすい傾向があることが分かりました。
アレルギーの重症化リスクとは何か
アレルギーの重症化リスクとは、好塩基球や好酸球などの白血球の数の変化や遺伝子の影響によって、アレルギー反応が重くなる可能性を表す目安です。ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、DNA領域rs34290285がアレルギーのなりやすさと関係していることが分かりました(1)。
アレルギーの重症化に関わる3つの数値とは
アレルギーの重症化リスクは、次の3つの血液検査の数値で判断されます。
- 好塩基球の数:好塩基球は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)に触れるとヒスタミンなどの化学物質を出し、アレルギー症状を引き起こす白血球です。好塩基球の数が増えているときは、アレルギー反応が起きている可能性があります。
- 好中球に対する好酸球の比率:好酸球は寄生虫に感染したときやアレルギーのときに増える白血球です。好中球は細菌から体を守る働きをします。好中球に対して好酸球が多いほど、アレルギー反応が起こりやすい傾向があります。
- 好酸球の数:好酸球の数が増えることは、アレルギー性のぜんそくや皮膚炎などの症状と深く関係しています。好酸球はアレルギー反応のきっかけとなる物質を出します。
アレルギーが重くなる原因としくみ
アレルギーが重くなるしくみは、次のような流れで進みます。
- 準備段階(感作):はじめて原因物質に触れたときに、アレルギーに関わる抗体(免疫グロブリンE)が作られます。
- 反応が起こる段階:もう一度触れたときに、好塩基球や肥満細胞(アレルギー反応を起こす細胞)からヒスタミンが出されます。
- 長引く段階:好酸球が集まることで、体の一部で長く続く炎症が起こります。
アレルギー反応の重さの分類
| 重さ | 主な症状 | 関連指標 |
|---|---|---|
| 軽い | くしゃみ・鼻水・軽いじんましん | 好酸球の数がやや上昇 |
| 中くらい | ぜんそくの発作・広い範囲のじんましん | 好中球に対する好酸球の比率が上昇 |
| 重い | アナフィラキシー(全身の急で重いアレルギー反応)・呼吸が苦しくなります。 | 好塩基球・好酸球の数がどちらも大きく上昇 |
アレルギーが重くなるのを防ぐ方法
アレルギーが重くなるのを防ぐには、次の対策が役立ちます。
- 原因物質を調べて避ける:血液検査(アレルギーに関わる抗体を調べる検査)や、皮膚に少量をつけて反応を見るテスト(プリックテスト)で原因物質を調べます。
- 体を慣らす治療(減感作療法):原因物質をごく少量から少しずつ体に入れて、体を慣らしていきます。
- 薬を正しく使う:かゆみなどを抑える薬(抗ヒスタミン薬)・炎症を抑える薬(ステロイド薬)・重い発作のときに使う自己注射薬(エピネフリン)の用意
- 生活環境の管理:空気清浄機を使う、ダニ対策をする、花粉の季節は外出を控えます。
遺伝子とアレルギーの重症化リスクの関係
DNA領域rs34290285とアレルギーのなりやすさの関係
ケンブリッジ大学のAstleらの研究(1)により、DNA領域rs34290285がアレルギーのなりやすさと関係していることが分かりました。
- rs34290285にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があります。
- Gタイプを持つ遺伝子型の人は、アレルギーになりやすい傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs34290285)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 72.4% | 53.6% |
| GA型 | 25.3% | 39.2% |
| AA型 | 2.2% | 7.1% |
日本人ではGG型が72.4%と最も多く、世界平均(53.6%)より18.8ポイント高くなっています。このことから、日本人は遺伝子の影響でアレルギーが重くなりやすい可能性があります。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:アレルギーの重症化リスク
アレルギーの重症化リスクに最も強く影響するDNA領域は、rs34290285です。 日本におけるこの場所の遺伝子タイプの割合は下記のとおりです。
- GG
72.4 % - GA
25.3 % - AA
2.2 %
ほかに、アレルギーの重症化リスクに関わるDNA領域としてrs2476601があります。 日本におけるこの場所の遺伝子タイプの割合は下記のとおりです。
- AA
0.1%以下 - AG
0.1%以下 - GG
99.9 %
検査の根拠
ケンブリッジ大学のAstleらの研究により、アレルギーになりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs34290285という場所があり、そこにはGとAの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、アレルギーになりやすい傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | D2HGDH |
|---|---|
| 関連遺伝子 | PTPN22 |
よくある質問
Q1. アレルギーの重症化リスクとは何ですか?
アレルギーの重症化リスクとは、好塩基球や好酸球などの白血球の数の変化や遺伝子の影響によって、アレルギー反応が重くなる可能性を表す目安です。DNA領域rs34290285でGタイプを持つ人は、リスクが高い傾向があります(1)。
Q2. 好塩基球・好酸球とアレルギーの関係は?
好塩基球はアレルギーの原因物質に触れるとヒスタミンを出し、アレルギー症状を引き起こします。好酸球は寄生虫に感染したときやアレルギーのときに増えます。また、好中球に対して好酸球が多いと、アレルギー反応が起こりやすい可能性があります(1)。
Q3. 遺伝子検査でアレルギーの重症化リスクは分かりますか?
DNA領域rs34290285の遺伝子型を調べることで、アレルギーの重症化リスクの傾向を知ることができます。Gタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向があることが、ケンブリッジ大学の研究で分かっています(1)。
Q4. アレルギーが重くなるのを防ぐ方法は?
アレルギーの原因物質を調べて避けること、かゆみなどを抑える薬(抗ヒスタミン薬)を正しく使うこと、体を少しずつ慣らす治療(減感作療法)、生活環境の見直し(空気清浄、ダニ対策)が役立ちます。定期的に血液検査を受けて、好塩基球・好酸球の数を確認することも大切です。
参考文献
- 参考リンク1 : 2016 Nov., William J Astle, Cell