神経性食欲不振症
- 神経性食欲不振症(拒食症)とは、体重が増えることへの強い恐怖と、自分の体の見え方のゆがみを特徴とする摂食障害で、月経不順・骨粗鬆症・貧血・心臓のはたらきの低下など、深刻な健康問題を引き起こします。
- DNA領域rs56156506のTタイプを持つ人は神経性食欲不振症にかかるリスクが高い傾向があることが、フリンダース大学の研究でわかりました。
- 日本人でTタイプを持つ人(AT型+TT型)の割合は13.9%で、世界平均の20.3%より低い割合です。
概要
【疾患の概要】 神経性食欲不振症(拒食症)は、心と体の両方に関わる病気で、体重が増えることへの強い恐怖や、自分の体の見え方がゆがんでしまうこと(ボディイメージのゆがみ)が特徴です。 そのため、食べる量(カロリー)をきびしく減らし、体重を落とそうとする行動をとります。
【症状と特徴】 ときには、命に関わる飢えの状態になるまでやせ続けようとすることもあります。 拒食症の人は、体重が足りていないのに自分を太りすぎだと思い込むことがあり、何度も体重を量ったり、体重が減ることで満足感を得たりします。 体の面では、成長期で本来なら体重が増えるはずの時期に、体重が大きく減ることがあります。 その結果、月経不順、骨粗鬆症(骨がもろくなる病気)、髪や爪がもろくなる、産毛が増える、貧血、筋力の低下、便秘、低血圧、心臓の形やはたらきへのダメージなどの健康問題が起こる可能性があります。
【治療と注意点】 心の面では、体重が増えることへの強い恐怖や、体重をずっと減らし続けたいという強い気持ち、自分の状態の深刻さを認めない傾向が見られます。 食べ物や体型に関する不安や気分の落ち込み(うつ)、やめたくてもやめられない行動(強迫行動)もよく見られます。
【遺伝的リスク】 フリンダース大学のWadeらの研究で、神経性食欲不振症のかかりやすさがrs56156506というDNA領域と関係していることがわかりました。 この領域にはAA、AT、TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、神経性食欲不振症にかかるリスクが高い傾向があることがわかりました。
神経性食欲不振症(拒食症)とは何か
神経性食欲不振症(拒食症)とは、体重が増えることへの強い恐怖と、自分の体の見え方のゆがみを特徴とする、心と体の両方に関わる摂食障害(食事に関する病気)です。患者は食べる量(カロリー)を極端に減らし、やせているのに自分を太りすぎだと思い込む傾向があります。
神経性食欲不振症の主な症状とは
神経性食欲不振症の症状は、体の面と心の面の2つに大きく分けられます。具体的な症状を下にまとめます。
体の症状
- 体重減少:成長期に本来増えるはずの体重が増えず、体重が大きく減ります。
- 月経不順:女性では月経が止まったり、不規則になったりします。
- 骨粗鬆症:骨の密度が下がり、骨折しやすくなります。
- 貧血:栄養が足りず、赤血球(血液中の酸素を運ぶ細胞)が減ります。
- 心臓への影響:血圧が下がり、心臓の形やはたらきにダメージが出ます。
- その他:髪や爪がもろくなる・産毛が増える・筋力の低下・便秘があります。
心の症状
- 体重への恐怖:体重が増えることへの強い恐怖がずっと続きます。
- 体の見え方のゆがみ:やせているのに自分を太りすぎだと思い込みます。
- 認めない傾向:症状の深刻さを認めようとしません。
- 心の症状:食べ物や体型に関する不安・気分の落ち込み(うつ)・やめられない行動(強迫行動)が出てきます。
神経性食欲不振症の体への影響と心への影響の比較
| 比較項目 | 体への影響 | 心への影響 |
|---|---|---|
| 主な特徴 | 栄養不足による内臓へのダメージ | 体重や体型に強くこだわりすぎます。 |
| 具体的症状 | 体重減少・月経不順・骨粗鬆症・貧血 | 体重が増えることへの恐怖・体の見え方のゆがみ・気分の落ち込み |
| 深刻さ | 心臓のはたらきの低下・低血圧・筋力の低下 | やめられない行動・症状を認めない・強い不安 |
| 長期的リスク | 骨折・内臓が動かなくなる・命の危険 | 人との関わりが減り、心の病気が長く続きます。 |
遺伝子と神経性食欲不振症の関連
DNA領域rs56156506と神経性食欲不振症の関係
フリンダース大学のWadeらの研究(2013年、International Journal of Eating Disorders掲載)で、神経性食欲不振症のかかりやすさがDNA領域rs56156506と関係していることがわかりました。
- rs56156506にはAA・AT・TTの3つの遺伝子型があります。
- Tタイプを持つ遺伝子型(AT型・TT型)の人は神経性食欲不振症にかかるリスクが高い傾向があります。
- このDNA領域はSYTL5遺伝子と関係しています。
日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs56156506)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 86.0% | 79.6% |
| AT型 | 13.4% | 19.2% |
| TT型 | 0.5% | 1.1% |
日本人でTタイプを持つ人(AT型+TT型)の割合は13.9%で、世界平均の20.3%より低い割合です。日本人はAA型の割合が86.0%と世界平均の79.6%より高く、Tタイプを持たない人が多い傾向があります。
検査の根拠となる研究
代表的なDNA領域:神経性食欲不振症
神経性食欲不振症に最も強く影響するDNA領域は、rs56156506です。 日本での各遺伝子型の人の割合は下のとおりです。
- AA
86.0 % - AT
13.4 % - TT
0.5 %
検査の根拠
フリンダース大学のWadeらの研究で、神経性食欲不振症のかかりやすさが遺伝子と関係していることがわかりました。人間のDNAにはrs56156506という場所があり、そこにはAとTの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、神経性食欲不振症にかかるリスクが高い傾向があることがわかりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
関連遺伝子
| 関連遺伝子 | SYTL5 |
|---|
よくある質問
Q1. 神経性食欲不振症(拒食症)とは何ですか?
神経性食欲不振症(拒食症)とは、体重が増えることへの強い恐怖と、自分の体の見え方のゆがみを特徴とする摂食障害(食事に関する病気)です。患者は食べる量(カロリー)を極端に減らし、やせているのに自分を太りすぎだと思い込みます。体の面では月経不順・骨粗鬆症(骨がもろくなる病気)・貧血・低血圧・心臓のはたらきの低下などが起こり、心の面では何度も体重を量る・食べ物のことが頭から離れない・不安や気分の落ち込み(うつ)などが見られます。
Q2. 神経性食欲不振症は遺伝子と関係していますか?
はい。フリンダース大学のWadeらの研究(2013年、International Journal of Eating Disorders掲載)で、DNA領域rs56156506が神経性食欲不振症のかかりやすさと関係していることがわかっています。rs56156506にはAA・AT・TTの3つの遺伝子型があり、Tタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向があります。
Q3. 神経性食欲不振症に関係する遺伝子型(rs56156506)の日本人での割合は?
日本人でのrs56156506の遺伝子型の割合はAA型86.0%、AT型13.4%、TT型0.5%です。世界全体ではAA型79.6%、AT型19.2%、TT型1.1%で、日本人はTタイプを持つ人の割合が世界平均より低いという特徴があります。
Q4. 神経性食欲不振症の主な症状は何ですか?
神経性食欲不振症の主な症状は、体の面では大幅な体重減少・月経不順・骨粗鬆症・貧血・低血圧・心臓のはたらきの低下があります。心理面では体重が増えることへの強い恐怖・自分の体の見え方のゆがみ・食べ物のことが頭から離れない・不安や気分の落ち込みが見られます。髪や爪がもろくなる・産毛が増える・筋力の低下・便秘なども特徴的な症状です。