大動脈石灰化
- 大動脈弁石灰化とは、心臓の大動脈弁にカルシウムがたまって硬くなる病気で、進むと大動脈狭窄症を起こし、血液の流れが悪くなります。
- DNA領域rs10455872のGタイプを持つ人は大動脈石灰化になりやすいことがマギル大学の研究で分かりました。
- 日本人でGタイプを持つ人(AG+GG)の割合は0.1%未満で、世界平均の11.8%と比べてとても低い割合です。
概要
【病気の概要】 大動脈弁石灰化は、心臓の大動脈弁にカルシウムがたまって、弁が硬くなる状態のことです。
【症状と特徴】 大動脈弁は、血液が一方向にだけ流れるように調節し、心臓から全身に酸素を運ぶ大切な役割をしています。 時間がたつにつれて、カルシウムが弁の薄い膜(弁葉)にたまり、弁が硬くなったり厚くなったりすることがあります。 こうして石灰化が進むと、大動脈弁がしっかり開いたり閉じたりできなくなり、血液の流れが悪くなる可能性があります。 この状態は大動脈狭窄症と呼ばれます。
【治療と注意点】 大動脈弁石灰化や大動脈狭窄症では、胸の痛み、疲れやすさ、運動したときの息切れ、めまい、失神(気を失うこと)、心臓のリズムの乱れなどの症状が出ることがあります。 進み方は人によって違い、年齢や遺伝子の影響、高血圧、高コレステロール、糖尿病などの健康状態によって変わります。 石灰化の程度や心臓の働きへの影響を調べるために、心エコー検査(超音波で心臓を見る検査)などの画像検査がよく使われます。
【遺伝子との関係】 マギル大学のThanassoulisらの研究で、大動脈石灰化になりやすさがrs10455872というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、大動脈石灰化になりやすい傾向があることが分かりました。
大動脈石灰化とは何か
大動脈弁石灰化とは、心臓の大動脈弁にカルシウムがたまって、弁が硬くなる状態のことです。大動脈弁は、血液が一方向にだけ流れるように調節し、心臓から全身に酸素を運ぶ大切な役割をしています。
大動脈石灰化が起こる原因
年をとるにつれて、カルシウムが弁の薄い膜(弁葉)にたまり、弁が硬くなったり厚くなったりします。主な原因や、なりやすくなる要因は次のとおりです。
- 年齢:65歳以上の約25%に大動脈弁の石灰化が見られます。
- 高血圧:血管の壁にかかり続ける圧力が石灰化を進めます。
- 高コレステロール:血液中の脂質(あぶら)の異常で、弁に脂質がたまります。
- 糖尿病:血糖値の異常がカルシウムの使われ方に影響します。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs10455872のGタイプがなりやすさの上昇と関係しています。
大動脈石灰化の主な症状
石灰化で大動脈弁がうまく開いたり閉じたりできなくなると、次のような症状が出ます。
- 胸の痛み:心臓に流れる血液が足りないことによる、胸の痛みや締めつけ感です。
- 疲れやすさ:全身に流れる血液が減ることによる、続く疲れやだるさです。
- 息切れ:運動したときや階段を上り下りするときに息が苦しくなります。
- めまい・失神:脳に流れる血液が足りないことによる、一時的に気を失う状態です。
- 心拍の異常:不整脈や動悸(どきどきする感じ)などの心臓のリズムの乱れ
大動脈石灰化と大動脈狭窄症の違い
| 比較項目 | 大動脈石灰化 | 大動脈狭窄症 |
|---|---|---|
| 定義 | 大動脈弁にカルシウムがたまった状態 | 石灰化で弁のすき間が狭くなり、血液の流れが悪くなる状態 |
| 症状 | 初めのうちは症状がないことが多いです。 | 胸の痛み・息切れ・めまい・失神などの症状がはっきり出ます。 |
| 進行度 | 軽い~中くらいのカルシウムの沈着 | 石灰化がかなり進み、弁の働きが大きく低下 |
| 治療 | 様子を見る・生活習慣を見直す | 弁を人工の弁に取りかえる治療(カテーテルを使う方法や、胸を開く手術)が必要になる場合があります。 |
大動脈石灰化の診断方法
石灰化の程度や心臓の働きへの影響を調べるために、次の検査が使われます。
- 心エコー検査(超音波で心臓を見る検査):弁の動きや石灰化の程度をその場で見ることができます。
- エックス線で体の断面を撮影する検査:石灰化の量を数字で測ります。
- 心電図:心臓の電気の流れの異常を見つけます。
遺伝子と大動脈石灰化の関連
DNA領域rs10455872と大動脈石灰化の関係
マギル大学のThanassoulisらの研究で、大動脈石灰化になりやすさがDNA領域rs10455872と関係していることが分かりました。
- rs10455872にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Gタイプを持つ遺伝子型(AG型・GG型)の人は大動脈石灰化になりやすい傾向があります。
- 関係する遺伝子はLPA(リポプロテイン(a)という物質を作るための遺伝子)です。
日本人と世界の遺伝子型の分布の比較(rs10455872)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 99.9% | 88.0% |
| AG型 | 0.1%以下 | 11.5% |
| GG型 | 0.1%以下 | 0.3% |
日本人でGタイプを持つ人(AG+GG)の割合は0.1%未満で、世界平均の11.8%と比べてとても低い割合です。つまり、日本人では大動脈石灰化に関係するrs10455872のGタイプを持つ人がとても少ないということです。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:大動脈石灰化
大動脈石灰化に最も強く関係するDNA領域は、rs10455872です。 日本でのこの領域の遺伝子型の分布は、下のとおりです。
- AA
99.9 % - AG
0.1%以下 - GG
0.1%以下
検査の根拠
マギル大学のThanassoulisらの研究で、大動脈石灰化になりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs10455872という領域があり、この領域にはAとGの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、大動脈石灰化になりやすい傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップのイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LPA |
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よくある質問
Q1. 大動脈石灰化とは何ですか?
大動脈弁石灰化とは、心臓の大動脈弁にカルシウムがたまって、弁が硬くなる状態です。大動脈弁は、心臓から全身に血液を送るときに、血液が一方向にだけ流れるように調節する弁です。カルシウムがたまって弁がうまく開いたり閉じたりできなくなると、血液の流れが悪くなります。進むと大動脈狭窄症になり、胸の痛み・息切れ・めまいなどの症状が出ます。
Q2. 大動脈石灰化は遺伝子と関係していますか?
はい。マギル大学のThanassoulisらの研究で、DNA領域rs10455872が大動脈石灰化のなりやすさと関係していることが分かっています。rs10455872にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は大動脈石灰化になりやすい傾向があります。関係する遺伝子はLPA(リポプロテイン(a)という物質に関わる遺伝子)です。
Q3. 大動脈石灰化の主な症状は何ですか?
大動脈石灰化の主な症状は、胸の痛み、疲れやすさ、運動したときの息切れ、めまい、失神(気を失うこと)、心臓のリズムの乱れ(不整脈)です。初めのうちは症状がないことが多く、進むと大動脈狭窄症として症状がはっきり出てきます。心エコー検査(超音波で心臓を見る検査)や、エックス線で体の断面を撮影する検査で、石灰化の程度を調べます。
Q4. 大動脈石灰化の遺伝子型(rs10455872)の日本人における分布は?
日本人のrs10455872の遺伝子型の分布はAA型99.9%、AG型0.1%以下、GG型0.1%以下です。世界全体ではAA型88.0%、AG型11.5%、GG型0.3%で、日本人はGタイプを持つ人の割合が世界と比べてとても低いという特徴があります。