アテローム性動脈硬化症
概要
頸動脈内膜中膜複合体厚の最大値(cIMTmax)の増加や頸動脈プラークは、動脈硬化症の兆候となります。
cIMTmaxは、頸動脈の内膜と中膜の厚さを超音波で測定する指標で、動脈硬化症の早期変化を示します。動脈血管壁は内膜、中膜、外膜の三層から成り、通常は内膜と中膜が薄い状態です。
しかし、動脈硬化症が進行すると、脂質の沈着、炎症、平滑筋細胞の増殖により血管壁が厚くなり、cIMTmaxが増加します。
頸動脈プラークは、頸動脈に形成される動脈硬化性の病変です。プラークは、脂質コア、繊維製の被膜、炎症細胞浸潤、石灰化などを含みます。
これが血管を狭くし、血流を変化させることで、脳卒中などの合併症を引き起こすことがあります。
cIMTmaxの増加や頸動脈プラークの出現は、動脈硬化症の重要な兆候です。
超音波検査でcIMTmaxやプラークを調べることで、動脈硬化症の早期発見が可能になり、心血管系や脳血管系の疾患リスクを減らし、予防や治療の方針を立てることができます。
フローニンゲン大学のYeungらの研究により、アテローム性動脈硬化症の罹患リスクがrs17477177というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはTT、CT、CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、アテローム性動脈硬化症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs17477177において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT83.44%
- TC15.81%
- CC0.75%
遺伝子領域rs17477177において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT64.49%
- TC31.63%
- CC3.88%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:アテローム性動脈硬化症
体表的なDNA領域:アテローム性動脈硬化症
アテローム性動脈硬化症 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs17477177です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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TT
83.4% -
TC
15.8% -
CC
0.7%
検査の根拠
フローニンゲン大学のYeungらの研究により、アテローム性動脈硬化症の罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs17477177という領域が存在し、その領域の遺伝子にはTとCの2種類の変異があります。Tタイプの変異を持つ人は、アテローム性動脈硬化症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | CCDC71L |
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参考文献
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関連遺伝子 CCDC71L
- 参考リンク : 2022 Apr、Ming Wai Yeungと研究グループがArterioscler Thromb Vasc Biol に発表したTwenty-Five Novel Loci for Carotid Intima-Media Thickness: A Genome-Wide Association Study in >45 000 Individuals and Meta-Analysis of >100 000 Individualsという研究によるとアテローム性動脈硬化症 に関連するrs17477177の関連性が認められました。
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関連遺伝子 CCDC71L
- 参考リンク : 2018 Dec、Nora Franceschiniと研究グループがNat Commun に発表したGWAS and colocalization analyses implicate carotid intima-media thickness and carotid plaque loci in cardiovascular outcomesという研究によるとアテローム性動脈硬化症 に関連するrs17477177の関連性が認められました。