心房細動
概要
心房細動は、心臓の上部にある心房が異常に速く不規則に収縮する不整脈の一種であり、一過性(パラキシスティック)、持続性(パーシステント)、永久性(ロングスタンディング)など、持続期間に基づいて分類されます。
この病気は、心房が効率的に血液を心室に送り出せず、血液の流れが乱れます。主に、高血圧、冠動脈疾患、心臓弁膜症、甲状腺機能亢進症、肺疾患、過度のアルコール摂取などが原因として考えられます。
心房細動の症状としては、動悸、息切れ、胸の痛み、疲労感、めまいなどが挙げられます。心房細動は診断は主に心電図(ECG)を使い、心房の不規則な活動を確認します。
治療には、心拍数をコントロールする薬(ベータ遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジゴキシン)や、正常なリズムへの復帰を目指す抗不整脈薬や電気的除細動(カーディオバージョン)が用いられます。
また心房細動は血栓のリスクを高めるため、脳卒中を予防するために抗凝固薬(ワルファリン、DOACs)も使用されます。
理化学研究所 統合医科学センターのSiew-Kee Lowらの研究により、心房細動の罹患リスクがrs2540953というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはGG、GA、AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、心房細動のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs2540953において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG40.89%
- GA46.11%
- AA13.00%
遺伝子領域rs2540953において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG21.68%
- GA49.76%
- AA28.56%
遺伝子領域rs75190942において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC88.79%
- CA10.87%
- AA0.33%
遺伝子領域rs75190942において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC83.86%
- CA15.43%
- AA0.71%
遺伝子領域rs9953366において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT32.18%
- TC49.09%
- CC18.72%
遺伝子領域rs9953366において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT8.92%
- TC41.89%
- CC49.19%
遺伝子領域rs2200733において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC27.97%
- CT49.83%
- TT22.20%
遺伝子領域rs2200733において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC72.68%
- CT25.15%
- TT2.18%
遺伝子領域rs6882776において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG10.69%
- GA44.01%
- AA45.30%
遺伝子領域rs6882776において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG48.70%
- GA42.17%
- AA9.13%
遺伝子領域rs365990において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA76.56%
- AG21.88%
- GG1.56%
遺伝子領域rs365990において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA38.18%
- AG47.22%
- GG14.60%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:心房細動
体表的なDNA領域:心房細動
心房細動 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs2540953です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
-
GG
40.9% -
GA
46.1% -
AA
13.0%
他に、心房細動に関わる遺伝子領域はrs75190942があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
CC
88.8% -
CA
10.9% -
AA
0.3%
他に、心房細動に関わる遺伝子領域はrs9953366があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
TT
32.2% -
TC
49.1% -
CC
18.7%
他に、心房細動に関わる遺伝子領域はrs2200733があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
CC
28.0% -
CT
49.8% -
TT
22.2%
他に、心房細動に関わる遺伝子領域はrs6882776があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
GG
10.7% -
GA
44.0% -
AA
45.3%
他に、心房細動に関わる遺伝子領域はrs365990があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
AA
76.6% -
AG
21.9% -
GG
1.6%
検査の根拠
理化学研究所 統合医科学センターのSiew-Kee Lowらの研究により、心房細動の罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs2540953という領域が存在し、その領域の遺伝子にはGとAの2種類の変異があります。Gタイプの変異を持つ人は、心房細動のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LINC02576 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | KCNJ5 |
| 関連遺伝子 | SMAD7 |
| 関連遺伝子 | PITX2 |
| 関連遺伝子 | NKX2-5 |
| 関連遺伝子 | MYH6 |
参考文献
-
関連遺伝子 LINC02576
- 参考リンク : 2017 Jun、Siew-Kee Lowと研究グループがNat Genet に発表したIdentification of six new genetic loci associated with atrial fibrillation in the Japanese populationという研究によると心房細動 に関連するrs2540953の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 KCNJ5
- 参考リンク : 2017 Jun、Ingrid E Christophersenと研究グループがNat Genet に発表したLarge-scale analyses of common and rare variants identify 12 new loci associated with atrial fibrillationという研究によると心房細動 に関連するrs75190942の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 SMAD7
- 参考リンク : 2018 Jun、Carolina Roselliと研究グループがNat Genet に発表したMulti-ethnic genome-wide association study for atrial fibrillationという研究によると心房細動 に関連するrs9953366の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 PITX2
- 参考リンク : 2009 Aug、Daniel F Gudbjartssonと研究グループがNat Genet に発表したA sequence variant in ZFHX3 on 16q22 associates with atrial fibrillation and ischemic strokeという研究によると心房細動 に関連するrs2200733の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 NKX2-5
- 参考リンク : 2018 Jun、Carolina Roselliと研究グループがNat Genet に発表したMulti-ethnic genome-wide association study for atrial fibrillationという研究によると心房細動 に関連するrs6882776の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 SMAD7
- 参考リンク : 2018 Jun、Carolina Roselliと研究グループがNat Genet に発表したMulti-ethnic genome-wide association study for atrial fibrillationという研究によると心房細動 に関連するrs9953366の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 PITX2
- 参考リンク : 2007 Jul、Daniel F Gudbjartssonと研究グループがNature に発表したVariants conferring risk of atrial fibrillation on chromosome 4q25という研究によると心房細動 に関連するrs2200733の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 SMAD7
- 参考リンク : 2021 Oct、Saori Sakaueと研究グループがNat Genet に発表したA cross-population atlas of genetic associations for 220 human phenotypesという研究によると心房細動 に関連するrs9953366の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 MYH6
- 参考リンク : 2021 Oct、Saori Sakaueと研究グループがNat Genet に発表したA cross-population atlas of genetic associations for 220 human phenotypesという研究によると心房細動 に関連するrs365990の関連性が認められました。