注意欠如・多動症
- 注意欠如・多動症は不注意・多動性・衝動性を特徴とする発達障害で、子どものころに始まり大人になっても約60%で症状が続きます。
- DNA領域rs2823819のG型を持つ人はなりやすい傾向があることがマサチューセッツ総合病院の研究で分かりました。
- 治療は薬による治療(刺激薬)と薬を使わない治療(認知行動療法・心理療法)の組み合わせが効果的です。
概要
【疾患の概要】 注意欠如・多動症は、注意力が長く続かず、動きすぎたり、思いつきで行動したりすることが特徴の発達障害(脳の発達のしかたに関係する障害)です。 この障害は子どものころに現れることが多く、大人になってからも症状が続く場合があります。
【治療と注意点】 注意欠如・多動症の主な症状は、不注意、多動性、衝動性の3つです。 不注意は、集中力が続かない、細かい作業を最後まで終わらせられない、物事をよく忘れる、指示どおりに動くのが難しい、などの形で現れます。 多動性は、じっと座っていられない、落ち着きがない、動き回りすぎる、などの行動として現れます。 衝動性は、思いつきで行動してしまう、人の話をさえぎる、結果を考えずに行動する、などの形で見られます。 原因はまだ完全には分かっていませんが、遺伝子の影響が強く関係していると考えられています。 治療には、薬を使う方法と薬を使わない方法の両方があります。 薬としては、脳のはたらきを高める刺激薬(メチルフェニデートやアンフェタミン)がよく使われ、注意力がよくなることがあります。 薬を使わない方法には、考え方や行動のくせを見直す認知行動療法、カウンセリングなどの心理療法、学校での学習の支援などがあります。 これらは、行動を整えたり、人とうまく関わる力を伸ばしたり、ストレスをうまく扱ったりするのに役立ちます。
【遺伝的リスク】 マサチューセッツ総合病院のMickらの研究により、注意欠如・多動症になるリスクが、rs2823819というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA、AG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、注意欠如・多動症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
注意欠如・多動症とは何か
注意欠如・多動症は、注意力が続きにくい・動きすぎる・思いつきで行動する、という特徴をもつ発達障害です。子どものころに始まり、大人になっても約60%の人で症状が続きます。
注意欠如・多動症の原因としくみ
注意欠如・多動症の原因は完全には分かっていませんが、遺伝子の影響が約70〜80%を占めると考えられています。次のような要因が重なって関係します。
- 脳内の情報を伝える物質の乱れ:ドーパミンやノルアドレナリン(脳内で情報を伝える物質)のはたらきの乱れです。
- 遺伝子の影響:遺伝する割合は約70〜80%と高いです。
- 環境の影響:生まれる前のたばこの煙の影響・低い出生体重・早産
注意欠如・多動症の3つの主な症状
注意欠如・多動症の症状は3つの中心となる症状で構成されます。
- 不注意:集中力が続かない、細かい作業を最後まで終えにくい、よく物を忘れる、指示どおりに動きにくいです。
- 多動性:じっと座っていられない、落ち着きがない、体を動かしすぎます。
- 衝動性:思いつきで行動する、人の話をさえぎる、結果を考えずに行動します。
注意欠如・多動症の症状タイプの比較
| 比較項目 | 不注意が目立つタイプ | 多動性・衝動性が目立つタイプ | 混合型 |
|---|---|---|---|
| 主な特徴 | 集中できない・忘れ物が多いです。 | 落ち着きのなさ・思いつきの行動 | 両方の症状をあわせ持ちます。 |
| 気づかれやすさ | 見逃されやすいです。 | 気づかれやすいです。 | 気づかれやすいです。 |
| 性別傾向 | 女性に比較的多いです。 | 男性に比較的多いです。 | 男女とも同程度 |
| 日常生活への影響 | 勉強や仕事の効率が下がります。 | 人間関係の困りごと | 生活の幅広い場面での困りごと |
注意欠如・多動症の治療法
治療には薬による治療と薬を使わない治療の2つのアプローチがあります。
- 薬による治療:刺激薬(メチルフェニデート・アンフェタミン)が最初に選ばれる薬で、注意力の改善に役立ちます。
- 認知行動療法(考え方と行動のくせを見直す方法):自分の行動のくせに気づき、見直すことで症状とうまく付き合います。
- 心理療法(カウンセリングなど):ストレスへの対処・自分を理解する手助け
- 学習の支援:学校や職場での配慮・環境の調整です。
遺伝子と注意欠如・多動症の関係
DNA領域rs2823819と発症リスクの関係
マサチューセッツ総合病院のMickらの研究により、DNA領域rs2823819が注意欠如・多動症になるリスクと関係していることが分かりました。
- rs2823819にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- G型を持つ遺伝子型の人は、注意欠如・多動症のリスクが高い傾向があります。
日本人の遺伝子型の分布(rs2823819)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 89.7% | 66.7% |
| AG型 | 10.0% | 29.9% |
| GG型 | 0.2% | 3.3% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:注意欠如・多動症
注意欠如・多動症に最も強く影響するDNA領域は、rs2823819です。 日本でのこの領域の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- AA
89.7 % - AG
10.0 % - GG
0.2 %
検査の根拠
マサチューセッツ総合病院のMickらの研究により、注意欠如・多動症になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs2823819という領域があり、この領域にはAとGの2種類の型があります。G型を持つ人は、注意欠如・多動症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図(模式図)
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | MIR99AHG |
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よくある質問
Q1. 注意欠如・多動症とは何ですか?
注意欠如・多動症は、注意力が続きにくい・動きすぎる・思いつきで行動する、という特徴をもつ発達障害です。子どものころに始まり、大人になっても約60%の人で症状が続きます。
Q2. 注意欠如・多動症の原因は何ですか?
主な原因は遺伝子の影響(遺伝する割合は約70〜80%)と、脳内で情報を伝える物質のはたらきの乱れです。脳内の情報を伝える物質であるドーパミンやノルアドレナリンのはたらきの乱れが関係し、DNA領域rs2823819のG型を持つ人はリスクが高い傾向にあります。
Q3. 注意欠如・多動症の3つの主な症状の違いは?
不注意(集中力が続かない・物忘れ)、多動性(落ち着きがない・動きすぎる)、衝動性(思いつきで行動する・人の話をさえぎる)の3つです。症状の現れ方には個人差があります。
Q4. 遺伝子検査で注意欠如・多動症のリスクは分かりますか?
DNA領域rs2823819の遺伝子型を調べることで、注意欠如・多動症になりやすい傾向を知ることができます。G型を持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向にあることがMickらの研究で分かっています。