自律神経系機能の良さ
- 自律神経系は交感神経と副交感神経でできていて、心拍・血圧・消化などの体のはたらきを自動で調整するしくみです。
- DNA領域rs6123471のCのタイプを持つ人は、自律神経のはたらきに問題が起こりやすい傾向にあることが研究で判明しました。
- 心拍変動(心拍の間隔のゆらぎ)は自律神経のバランスを数字で表す目安で、体を傷つけずに測れます。心拍変動が大きいほど変化に対応する力が高いです。
概要
【疾患の概要】 自律神経系は、体の状態を一定に保ち、体のさまざまなはたらきを自動で調整する大切な役割を持っています。 自律神経系は、交感神経系と副交感神経系の2つに分かれています。
【治療と注意点】 交感神経系は、ストレスを感じたときや運動のときに心拍数・血圧・血糖値を上げ、「闘争・逃走反応」(戦うか逃げるかに備える状態)を引き起こします。 一方、副交感神経系は体をリラックスさせ、心拍数と血圧を下げて、消化と回復を助ける「休息・消化反応」を引き起こします。 心拍変動(心拍の間隔の細かなゆらぎ)は、交感神経と副交感神経のバランスを表す目安で、体を傷つけずに測ることができます。 心拍変動を調べると自律神経のはたらきを確かめることができ、心拍変動が大きいことは、自律神経のバランスが良く、変化に対応する力が高いことを表します。 反対に、心拍変動が小さくなることは、心臓や血管の病気、糖尿病、心の不調などと関係していて、自律神経のはたらきが弱っている可能性があります。 このように、心拍変動を測ることは、全身の健康と心の健やかさを保つために大切な、自律神経のはたらきを確かめる重要な目安です。 ただし、心拍変動の結果を読み取るときは、一人ひとりの事情を考える必要があります。
【遺伝的リスク】 フローニンゲン大学のNolteらの研究により、自律神経系機能がrs6123471というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT,TC,CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、自律神経系機能に問題が起こりやすい傾向にあることが分かりました。
自律神経系機能とは何か
自律神経系は、体の状態を一定に保ち、心拍数・血圧・消化・体温調整などの体のはたらきを自動で調整するしくみです。自律神経系は交感神経系と副交感神経系の2つに分けられます。
交感神経と副交感神経の違い
自律神経系は、反対のはたらきをする2つの神経系が協力して動いています。
| 比較項目 | 交感神経系 | 副交感神経系 |
|---|---|---|
| 役割 | 闘争・逃走反応 | 休息・消化反応 |
| 心拍数 | 上昇させる | 低下させる |
| 血圧 | 上昇させる | 低下させる |
| 血糖値 | 上昇させる | 影響なし |
| 消化機能 | おさえる | 高める |
| 活性化場面 | ストレス・運動時 | リラックス・睡眠時 |
心拍変動とは何か
心拍変動(心拍の間隔の細かなゆらぎ)は、交感神経と副交感神経のバランスを表す目安で、体を傷つけずに測れます。心拍変動を調べることは、自律神経のはたらきを数字で表す方法として、病院や研究の場で広く使われています。
- 心拍変動が大きい場合:自律神経のバランスが良く、変化に対応する力が高いことを表します。
- 心拍変動が小さい場合:心臓や血管の病気・糖尿病・うつ病などとの関係が報告されています。
心拍変動が小さくなる原因
心拍変動が小さくなるのは自律神経のはたらきが弱っている可能性があり、次のような原因が関わります。
- 慢性的なストレス
- 運動不足
- 睡眠の質が下がること
- 加齢
- 遺伝子の影響(DNA領域rs6123471など)
自律神経系機能の改善法
自律神経のはたらきを良くするには、次の方法が役立ちます。
- 定期的な有酸素運動(ウォーキングなど):心拍変動を大きくするのに役立ちます。
- 深呼吸・瞑想:副交感神経のはたらきを高めます。
- 十分な睡眠:自律神経の回復を助けます。
- ストレス管理:慢性ストレスの軽減
遺伝子と自律神経系機能の関連
DNA領域rs6123471と自律神経のはたらきの関係
フローニンゲン大学のNolteらの2017年の研究(1)により、DNA領域rs6123471が自律神経系機能と関係していることが分かりました。
- rs6123471にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Cのタイプを持つ遺伝子型の人は、自律神経のはたらきに問題が起こりやすい傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs6123471)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 25.4% | 29.8% |
| TC型 | 49.9% | 49.5% |
| CC型 | 24.5% | 20.5% |
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:自律神経系機能の良さ
自律神経系機能の良さ に最も強く影響するDNA領域は、rs6123471です。 日本における同じ遺伝子型の分布は下記のとおりです。
- TT
25.4 % - TC
49.9 % - CC
24.5 %
検査の根拠
フローニンゲン大学のNolteらの2017年の研究により、自律神経系機能が遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs6123471という場所があり、その場所にはTとCの2種類のタイプがあります。Cのタイプを持つ人は、自律神経系機能に問題が起こりやすい傾向にあることが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
関連遺伝子
| 関連遺伝子 | KIAA1755 |
|---|
よくある質問
Q1. 自律神経系機能とは何ですか?
自律神経系は、交感神経系と副交感神経系の2つでできていて、心拍数・血圧・消化などの体のはたらきを自動で調整するしくみです。心拍変動(心拍の間隔の細かなゆらぎ)を使うと、そのバランスを数字で表すことができます。
Q2. 心拍変動が小さいとどうなりますか?
心拍変動が小さくなることは自律神経系の機能低下の可能性があります。心臓や血管の病気・糖尿病・うつ病などの心の不調との関係が報告されています。心拍変動が大きいことは、自律神経のバランスが良く、変化に対応する力が高いことを表します。
Q3. 自律神経系機能に関わる遺伝子は何ですか?
フローニンゲン大学のNolteらの2017年の研究により、DNA領域rs6123471が自律神経系機能と関係していることが分かりました。Cのタイプを持つ遺伝子型の人は、自律神経のはたらきに問題が起こりやすい傾向にあります(1)。
Q4. 交感神経と副交感神経の違いは?
交感神経系はストレスを感じたときに心拍数・血圧・血糖値を上げる「闘争・逃走反応」を担います。副交感神経系はリラックスしているときに心拍数・血圧を下げ、消化を助ける「休息・消化反応」を担います。
参考文献
- 参考リンク1 : 2017 Jun., Ilja M Nolte, Nat Commun