好塩基球増加症
- 好塩基球増加症は血液中の好塩基球がふつうより多く増える状態で、慢性骨髄性白血病(血液のがんの一種)やアレルギーの病気がおもな原因です。
- DNA領域rs148665432のTの型を持つ人はなりやすい傾向があることが研究で分かりました。
- 治療にはチロシンキナーゼ阻害薬・抗ヒスタミン薬・ステロイドなど、原因に合わせた薬による治療が効果的です。
概要
【疾患の概要】 好塩基球増加症は、血液中の好塩基球がふつうより多く増える状態です。 好塩基球は白血球の一種で、アレルギーや炎症(体の一部が赤く腫れたり熱を持ったりする反応)に関わります。
【症状と特徴】 好塩基球はふだんは少ししかありませんが、体に異常があると数が増えます。 原因となる病気には、慢性骨髄性白血病(血液のがんの一種)や多血症(赤血球などが増えすぎる病気)などの血液の病気があります。 これらの病気では、骨髄(骨の中で血液をつくる場所)で白血球が多くつくられるため、好塩基球も増えます。 また、アレルギー反応、甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが足りなくなる病気)、感染症も原因になります。 症状は原因によって違います。 慢性骨髄性白血病では、疲れやすさ、発熱、体重が減る、脾臓(お腹の左上にある臓器)の腫れなどが見られます。 アレルギー反応が原因の場合は、かゆみ、発疹、息苦しさなどが出ます。
【治療と注意点】 診断は血液検査で行い、好塩基球の数を調べます。 必要に応じて、骨髄検査や遺伝子検査も行います。 治療には、チロシンキナーゼ阻害薬(白血病の細胞が増えるのをおさえる薬)、抗ヒスタミン薬(アレルギーをおさえる薬)、ステロイド、抗生物質、抗ウイルス薬などが使われます。
【遺伝的リスク】 ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、好塩基球増加症へのなりやすさがrs148665432というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CT、TTの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、好塩基球増加症になりやすい傾向があることが分かりました。
好塩基球増加症とは何か
好塩基球増加症とは、血液中の好塩基球(白血球の一種)がふつうより多く増える状態です。好塩基球はアレルギー反応や炎症に関わる免疫の細胞で、ふだんは白血球全体の1%未満ですが、病気によって数が増えます。
好塩基球増加症の原因とメカニズム
好塩基球が増える原因は次のとおりです。
- 血液の病気:慢性骨髄性白血病(血液のがんの一種)や多血症などで、骨髄で白血球が多くつくられすぎます。
- アレルギー反応:アレルギーの病気で好塩基球が活発になり、数が増えます。
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンが減ることで好塩基球が増えやすくなります。
- 感染症:ウイルスや細菌から体を守る反応として増えます。
好塩基球増加症の主な症状
症状は原因となる病気によって違います。
- 慢性骨髄性白血病が原因:疲れやすさ、発熱、体重が減る、脾臓の腫れです。
- アレルギーが原因:かゆみ、発疹、息苦しさです。
好塩基球増加症の原因別比較
| 比較項目 | 血液の病気が原因 | アレルギーが原因 |
|---|---|---|
| 原因 | 慢性骨髄性白血病・多血症など骨髄の異常 | アレルギー反応・甲状腺機能低下症 |
| 主な症状 | 疲れやすさ・発熱・体重が減る・脾臓の腫れ | かゆみ・発疹・息苦しさ |
| 治療法 | チロシンキナーゼ阻害薬(白血病の治療薬) | 抗ヒスタミン薬・ステロイド |
| 緊急度 | 高い | 中程度 |
診断方法
次の検査で診断します。
- 血液検査:好塩基球の数を調べます。
- 骨髄検査:骨髄で細胞が異常に増えていないかを調べます。
- 遺伝子検査:慢性骨髄性白血病に関わる遺伝子の異常(BCR-ABL融合遺伝子など)を調べます。
治療法
治療は原因となる病気に合わせて行います。
- チロシンキナーゼ阻害薬(白血病の細胞が増えるのをおさえる薬):慢性骨髄性白血病が原因のときに使います。
- 抗ヒスタミン薬:アレルギー反応をおさえます。
- ステロイド:炎症をしずめます。
- 抗生物質・抗ウイルス薬:感染症が原因のときに使います。
遺伝子と好塩基球増加症の関係
DNA領域rs148665432となりやすさの関係
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、DNA領域rs148665432が好塩基球増加症へのなりやすさと関係していることが分かりました。
- rs148665432にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型があります。
- Tの型を持つ遺伝子型の人は、好塩基球増加症になりやすい傾向があります。
日本人の遺伝子型の割合(rs148665432)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 99.9% | 95.3% |
| CT型 | 0.1%以下 | 4.5% |
| TT型 | 0.1%以下 | 0.1%以下 |
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:好塩基球増加症
好塩基球増加症に最も強く影響するDNA領域は、rs148665432です。 日本での各遺伝子型の人の割合は下記のとおりです。
- CC
99.9 % - CT
0.1%以下 - TT
0.1%以下
ほかに、好塩基球増加症に関わるDNA領域としてrs4475963があります。 日本での各遺伝子型の人の割合は下記のとおりです。
- TT
37.8 % - TG
47.3 % - GG
14.7 %
検査の根拠
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、好塩基球増加症へのなりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAには、rs148665432という領域があり、この領域にはCとTの2種類の型があります。Tの型を持つ人は、好塩基球増加症になりやすい傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | AFF2 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | SLC15A4 |
よくある質問
Q1. 好塩基球増加症とは何ですか?
好塩基球増加症とは、血液中の好塩基球(白血球の一種)がふつうより多く増える状態です。好塩基球はアレルギー反応や炎症に関わる免疫の細胞で、ふだんは白血球全体の1%未満です。慢性骨髄性白血病(血液のがんの一種)やアレルギーの病気によって数が増えます。
Q2. 好塩基球増加症の原因は何ですか?
おもな原因は慢性骨髄性白血病(血液のがんの一種)や多血症などの血液の病気です。アレルギー反応、甲状腺機能低下症、感染症も原因になります。骨髄で白血球が多くつくられすぎると、好塩基球も増えます。
Q3. 好塩基球増加症と遺伝子の関係は?
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究で、DNA領域rs148665432が好塩基球増加症へのなりやすさと関係していることが分かりました。Tの型を持つ遺伝子型の人はなりやすい傾向があります。
Q4. 好塩基球増加症の治療法は?
治療法は原因となる病気によって違います。慢性骨髄性白血病にはチロシンキナーゼ阻害薬(白血病の治療薬)、アレルギーには抗ヒスタミン薬、炎症にはステロイド、感染症には抗生物質や抗ウイルス薬が使われます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2020 Sep., Dragana Vuckovic, Cell