前立腺肥大症
- 前立腺肥大症は50歳以上の男性に多い、がんではない前立腺の腫れで、頻尿・夜間頻尿・おしっこが出にくいなどの排尿のトラブル(下部尿路症状)を起こします。
- DNA領域rs6561599のGの型を持つ人はなりやすい傾向にあることがGudmundssonらの研究で判明しました。
- 生活習慣の見直し・薬・手術の3段階で症状を管理・治療できます。
概要
【疾患の概要】 前立腺肥大症と、それに伴う排尿のトラブル(下部尿路症状)は、50歳以上の男性によく見られる状態です。 前立腺肥大症とは、膀胱の出口近くで尿道を取り囲んでいる前立腺が大きくなることを指します。
【症状と特徴】 大きくなった前立腺が尿道を押しつぶし、おしっこの出方に影響します。 主な症状は、トイレが近くなる(頻尿)、夜に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)、急に強い尿意がくる、尿の勢いが弱く途切れる、おしっこが出始めるまで時間がかかる、などです。
【治療と注意点】 また、尿意があっても尿が出なくなる「尿閉」が起こることもあり、その場合は治療が必要です。 症状の重さは人によって違い、まったく症状が出ない人もいます。 症状がある場合は少しずつ悪くなることが多く、生活の質が大きく下がり、毎日の生活や睡眠に悪い影響が出ます。 治療には、生活習慣の見直し、薬、手術などの方法があります。
【遺伝的リスク】 アムジェンのGudmundssonらの研究で、前立腺肥大症になるリスクがrs6561599というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはCC、CG、GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、前立腺肥大症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
前立腺肥大症とは
前立腺肥大症は、膀胱の出口近くで尿道を取り囲んでいる前立腺が大きくなる病気です。がんではない「良性」の病気です。大きくなった前立腺が尿道を押しつぶし、おしっこの出方に影響します。50歳以上の男性に多く、年齢が上がるほど患者さんの割合が増えます。
前立腺肥大症の原因となりやすくする要因
前立腺肥大症には、次のような要因が関係します。
- 年齢:50歳を過ぎると、年齢とともに前立腺の組織が増えます。
- ホルモン変化:男性ホルモン(テストステロン)と女性ホルモン(エストロゲン)のバランスが変わり、前立腺の細胞が増えやすくなります。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs6561599のGの型がなりやすさと関係しています。
- 家族歴:家族に前立腺肥大症の人がいる男性はなりやすくなります。
前立腺肥大症の主な症状(下部尿路症状)
前立腺肥大症に伴う下部尿路症状(排尿のトラブル)の主なものは次のとおりです。
- 頻尿:昼間にトイレへ行く回数が増えます。
- 夜間頻尿:夜に2回以上トイレに起きて睡眠が途切れます。
- 尿意切迫感:急に強い尿意がきます。
- 排尿困難:尿の勢いが弱く、途切れ途切れになります。
- 出始めが遅い:おしっこが出始めるまでに時間がかかります。
- 尿閉:尿が出なくなる状態です(すぐに治療が必要です)。
症状の重さには個人差があり、症状が出ない場合もあります。症状がある場合は少しずつ悪くなる傾向があり、生活の質が下がります。
前立腺肥大症と前立腺がんの違い
| 比較項目 | 前立腺肥大症 | 前立腺がん |
|---|---|---|
| 性質 | 良性の腫れ | 悪性腫瘍(がん) |
| 主な症状 | 排尿のトラブル(頻尿・夜間頻尿) | 初めは症状がなく、進むと排尿困難・血尿 |
| 転移リスク | なし | 骨やリンパ節に広がる(転移する)ことがあります。 |
| かかりやすい年齢 | 50歳以上 | 65歳以上 |
| 治療 | 薬・手術 | 手術・放射線治療・ホルモン療法 |
前立腺肥大症の治療法
治療は症状の重症度に応じて3段階で選ばれます。
- 生活習慣の見直し(軽い場合):カフェインやお酒を控える、寝る前に水分をとりすぎない、膀胱訓練(尿をがまんする時間を少しずつのばす練習)です。
- 薬の治療(中くらいの場合):α遮断薬(タムスロシンなど)、5α還元酵素阻害薬(フィナステリドなど)です。
- 手術(重い場合):尿道から内視鏡を入れて前立腺を削る手術(経尿道的前立腺切除術)、レーザー治療です。
遺伝子と前立腺肥大症の関係
DNA領域rs6561599と病気のなりやすさの関係
アムジェンのGudmundssonらの研究で、DNA領域rs6561599が前立腺肥大症になるリスクと関係していることが分かりました。
- rs6561599にはCC・CG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Gの型を持つ遺伝子型(CG型・GG型)の人は、前立腺肥大症のリスクが高い傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs6561599)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 27.4% | 14.7% |
| CG型 | 49.8% | 47.3% |
| GG型 | 22.6% | 37.9% |
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:前立腺肥大症
前立腺肥大症 に最も強く影響するDNA領域は、rs6561599です。 日本における各遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- CC
27.4 % - CG
49.8 % - GG
22.6 %
検査の根拠
アムジェンのGudmundssonらの研究で、前立腺肥大症になるリスクが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAにはrs6561599という場所があり、そこにはCとGの2種類の型があります。Gの型を持つ人は、前立腺肥大症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図(模式図)
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | RNASEH2B-AS1 |
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よくある質問
Q1. 前立腺肥大症とは何ですか?
前立腺肥大症は、膀胱の出口近くで尿道を取り囲んでいる前立腺が、がんではない形で大きくなる病気です。50歳以上の男性に多く、大きくなった前立腺が尿道を押しつぶすことで、頻尿・夜間頻尿・おしっこが出にくいといった排尿のトラブル(下部尿路症状)を起こします。
Q2. 前立腺肥大症の原因は何ですか?
主な原因は年齢とともに起こるホルモンバランスの変化です。男性ホルモン(テストステロン)と女性ホルモン(エストロゲン)のバランスが変わることで、前立腺の細胞が増えやすくなります。遺伝子の影響もあり、DNA領域rs6561599にGの型を持つ人はリスクが高い傾向にあります。
Q3. 前立腺肥大症と前立腺がんの違いは?
前立腺肥大症はがんではない前立腺の腫れであり、がんではありません。前立腺肥大症は尿道が押しつぶされることによる排尿のトラブルが主な症状で、前立腺がんは悪性腫瘍(がん)で、ほかの場所に広がる(転移する)おそれがあります。前立腺肥大症がそのままがんに変わることはありません。
Q4. 遺伝子検査で前立腺肥大症のなりやすさは分かりますか?
DNA領域rs6561599の遺伝子型を調べることで、前立腺肥大症のなりやすさの傾向を知ることができます。Gの型を持つ遺伝子型(CG型・GG型)の人はリスクが高い傾向にあることが、Gudmundssonらの研究で報告されています。
Q5. 前立腺肥大症にはどのような治療法がありますか?
治療法は症状の重症度に応じて3段階に分かれます。軽い場合は生活習慣の見直し、中くらいの場合はα遮断薬(尿道の筋肉をゆるめる薬)や5α還元酵素阻害薬(前立腺を小さくする薬)による薬の治療、重い場合は尿道から内視鏡を入れて前立腺を削る手術(経尿道的前立腺切除術)などの手術が選ばれます。