ブルーム症候群
- ブルーム症候群はBLM遺伝子の異常によるDNA修復障害が原因の常染色体劣性遺伝疾患で、低身長・日光過敏症・免疫不全・若年性がんを特徴とする
- DNA領域rs28384991のT型変異を持つ人はBLMタンパク質のアミノ酸が変化し、日本人の約19%がT型を含む遺伝子型を保有
- BLM遺伝子(15番染色体)が産生するヘリカーゼはDNA修復に不可欠であり、遺伝子検査による多型の把握ががんリスク評価に期待される
概要 私たちのDNAは、紫外線や活性酸素などの影響で日常的に損傷を受けています。この損傷は全身の細胞で酵素などの働きで絶えず修復されていますが、きちんと修復されない場合は突然変異や細胞死、さらにはがんの発症の原因となってしまいます。 DNAの修復には様々な酵素が関わっており、ヘリカーゼと呼ばれる酵素も重要なものの一つです。 例えばヘリカーゼの一つを産生するBLM遺伝子に異常があると、DNAの損傷がきちんと修復できずに徐々に蓄積し、日光過敏症や免疫不全、20歳までに約3割の方ががんを発症するなどの遺伝病であるブルーム症候群を発症することが知られています。(参考リンク1) このようにBLM遺伝子は私たちの細胞を守る極めて重要な役割を担っており、遺伝子検査によりBLM遺伝子の遺伝子タイプを調べることは、ブルーム症候群やがんなどの発症リスクを知ることにつながることが期待されます。 2. 理論的根拠 BLM遺伝子の中に含まれる「rs28384991」というDNA領域には、「CC」 、「TC」 、「TT」と3つの遺伝子型があります。 「TT」や「TC」などRisk AlleleであるTタイプの遺伝子型をもつ人は、BLMを構成する一部のアミノ酸がスレオニンからメチオニンに変わることが分かっています(参考リンク2)。 しかし、DNA領域「rs28384991」の遺伝子型の変化が必ずしもブルーム症候群となる訳ではないことも同時に分かっています(参考リンク3)。 ただ、世界的にはCCタイプが99%以上である一方、日本人の遺伝子タイプは、CCタイプ81.5%、TCタイプ17.5%、TTタイプ0.94%とTを含む遺伝子型のヒトがやや多く、日本人のおよそ5人に1人はBLM遺伝子で頻繁に現れる多型を持つことになります。 DNAの損傷と修復はからだ全体で日常的に起こっている現象であり、BLM遺伝子の働きは非常に重要であるため、もしかするとブルーム症候群に見られるような多彩な影響が今後わかってくるかもしれません。 3. 作用機序、メカニズム BLM遺伝子は、ヒトに共通する24の染色体のうち、15番染色体に位置します。 BLM遺伝子に大きな異常がおこりヘリカーゼの活性が低下すると、DNAの複製や修復が正常に行われなくなるブルーム症候群となる場合があります。 ブルーム症候群の方は、身体の発達・成熟がうまくいかない、紫外線によるDNA損傷に対応できずに日光過敏症になる、免疫機能が正常に働かない、がんを若くして発症するなど、体全体に様々な異常をきたします。 DNA領域「rs28384991」はヘリカーゼ活性に関わるBLM遺伝子の機能を大きく損なう可能性が低いとされていますが、BLM遺伝子内の一部のアミノ酸を変えてしまうことから、ブルーム症候群を含むガンの発症に関与する可能性があるとして、注目を浴びている一塩基多型の1つです。
ブルーム症候群とは何か
ブルーム症候群は、BLM遺伝子の異常によりヘリカーゼ活性が低下し、DNAの複製・修復が正常に行われなくなる常染色体劣性遺伝疾患です。20歳までに約30%の患者ががんを発症することが報告されています(参考リンク1)。
ブルーム症候群の原因とメカニズム
私たちのDNAは、紫外線や活性酸素などの影響で日常的に損傷を受けています。この損傷は酵素の働きで絶えず修復されますが、修復が不十分な場合は以下のリスクが生じます。
- 突然変異の蓄積:DNA配列の異常が修復されず遺伝情報が変化
- 細胞死:損傷が重度の場合、細胞が正常に機能しなくなる
- がんの発症:変異が蓄積し細胞増殖の制御が破綻
DNA修復にはヘリカーゼと呼ばれる酵素が重要な役割を果たしています。BLM遺伝子に異常があると、このヘリカーゼの活性が低下し、DNA損傷が適切に修復されず蓄積することでブルーム症候群を発症します。
ブルーム症候群の主な症状
ブルーム症候群では全身に多彩な症状が現れます。
- 成長障害:身体の発達・成熟がうまくいかず低身長となる
- 日光過敏症:紫外線によるDNA損傷に対応できず皮膚症状が出現
- 免疫不全:免疫機能が正常に働かず感染症にかかりやすい
- 若年性がん:20歳までに約30%の患者ががんを発症
BLM遺伝子の役割と作用機序
BLM遺伝子は15番染色体に位置し、ヘリカーゼを産生してDNAの複製・修復を担います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 遺伝子名 | BLM(Bloom syndrome RecQ-like helicase) |
| 染色体位置 | 15番染色体 |
| 産生タンパク質 | ヘリカーゼ(DNA修復酵素) |
| 主な機能 | DNA複製・修復の正常化 |
| 異常時の影響 | DNA損傷蓄積→ブルーム症候群発症 |
遺伝子とブルーム症候群の関連
DNA領域rs28384991と発症リスクの関係
BLM遺伝子内のDNA領域「rs28384991」には、「CC」「CT」「TT」の3つの遺伝子型が存在します。
- T型変異(TT・CT)を持つ人は、BLMタンパク質の一部アミノ酸がスレオニンからメチオニンに変化することが判明(参考リンク2)
- rs28384991の変異がブルーム症候群に直結するわけではない(参考リンク3)
- ヘリカーゼ活性を大きく損なう可能性は低いとされるが、がん発症への関与が注目されている
日本人と世界における遺伝子型分布(rs28384991)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| CC型 | 81.6% | 99.3% |
| CT型 | 17.3% | 0.6% |
| TT型 | 0.9% | 0.1%以下 |
世界的にはCC型が99%以上を占める一方、日本人の約5人に1人(約18.2%)がT型を含む遺伝子型(CT型またはTT型)を保有しています。この割合は世界平均と比較して顕著に高い特徴があります。
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:ブルーム症候群
ブルーム症候群 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs28384991です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
- CC
81.6 % - CT
17.3 % - TT
0.9 %
検査の根拠
BLM遺伝子内のDNA領域「rs28384991」の遺伝子型を調べることで、ヘリカーゼ活性に影響を与える可能性のある多型の保有状況を把握できます。T型変異を持つ遺伝子型の人はBLMタンパク質のアミノ酸配列が変化しており、ブルーム症候群やがんの発症に関与する可能性があるとして注目されています(参考リンク2)。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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よくある質問(FAQ)
Q1. ブルーム症候群とは何ですか?
ブルーム症候群は、BLM遺伝子の異常によりヘリカーゼ活性が低下し、DNAの複製・修復が正常に行われなくなる常染色体劣性遺伝疾患です。低身長、日光過敏症、免疫不全、20歳までに約30%ががんを発症するなどの特徴があります(参考リンク1)。
Q2. ブルーム症候群の原因遺伝子は何ですか?
15番染色体に位置するBLM遺伝子が原因遺伝子です。BLM遺伝子はヘリカーゼと呼ばれるDNA修復酵素を産生しており、この遺伝子に大きな異常が起こるとDNA損傷の修復機能が低下します。
Q3. DNA領域rs28384991とブルーム症候群の関係は?
rs28384991にはCC・CT・TTの3つの遺伝子型があり、T型変異を持つ人はBLMタンパク質のアミノ酸がスレオニンからメチオニンに変化します。ただし、rs28384991の変化がブルーム症候群に直結するわけではありません(参考リンク3)。
Q4. 遺伝子検査でブルーム症候群のリスクは分かりますか?
DNA領域rs28384991の遺伝子型を調べることで、BLM遺伝子の多型保有状況を把握できます。T型を含む遺伝子型は日本人の約18.2%に見られ、ブルーム症候群やがん発症への関与の可能性が注目されています(参考リンク2)。
参考文献
- 参考リンク1 : 「ブルーム症候群」の情報 難病情報センター
- 参考リンク2 : DNA 領域「rs28384991」の情報 NIH
- 参考リンク3 : 遺伝子「BLM」の情報 NIH