ブルーム症候群
概要
1. 概要
私たちのDNAは、紫外線や活性酸素などの影響で日常的に損傷を受けています。この損傷は全身の細胞で酵素などの働きで絶えず修復されていますが、きちんと修復されない場合は突然変異や細胞死、さらにはがんの発症の原因となってしまいます。
DNAの修復には様々な酵素が関わっており、ヘリカーゼと呼ばれる酵素も重要なものの一つです。
例えばヘリカーゼの一つを産生するBLM遺伝子に異常があると、DNAの損傷がきちんと修復できずに徐々に蓄積し、日光過敏症や免疫不全、20歳までに約3割の方ががんを発症するなどの遺伝病であるブルーム症候群を発症することが知られています。(参考リンク1)
このようにBLM遺伝子は私たちの細胞を守る極めて重要な役割を担っており、遺伝子検査によりBLM遺伝子の遺伝子タイプを調べることは、ブルーム症候群やがんなどの発症リスクを知ることにつながることが期待されます。
2. 理論的根拠
BLM遺伝子の中に含まれる「rs28384991」というDNA領域には、「CC」 、「TC」 、「TT」と3つの遺伝子型があります。
「TT」や「TC」などRisk AlleleであるTタイプの遺伝子型をもつ人は、BLMを構成する一部のアミノ酸がスレオニンからメチオニンに変わることが分かっています(参考リンク2)。
しかし、DNA領域「rs28384991」の遺伝子型の変化が必ずしもブルーム症候群となる訳ではないことも同時に分かっています(参考リンク3)。
ただ、世界的にはCCタイプが99%以上である一方、日本人の遺伝子タイプは、CCタイプ81.5%、TCタイプ17.5%、TTタイプ0.94%とTを含む遺伝子型のヒトがやや多く、日本人のおよそ5人に1人はBLM遺伝子で頻繁に現れる多型を持つことになります。
DNAの損傷と修復はからだ全体で日常的に起こっている現象であり、BLM遺伝子の働きは非常に重要であるため、もしかするとブルーム症候群に見られるような多彩な影響が今後わかってくるかもしれません。
3. 作用機序、メカニズム
BLM遺伝子は、ヒトに共通する24の染色体のうち、15番染色体に位置します。
BLM遺伝子に大きな異常がおこりヘリカーゼの活性が低下すると、DNAの複製や修復が正常に行われなくなるブルーム症候群となる場合があります。
ブルーム症候群の方は、身体の発達・成熟がうまくいかない、紫外線によるDNA損傷に対応できずに日光過敏症になる、免疫機能が正常に働かない、がんを若くして発症するなど、体全体に様々な異常をきたします。
DNA領域「rs28384991」はヘリカーゼ活性に関わるBLM遺伝子の機能を大きく損なう可能性が低いとされていますが、BLM遺伝子内の一部のアミノ酸を変えてしまうことから、ブルーム症候群を含むガンの発症に関与する可能性があるとして、注目を浴びている一塩基多型の1つです。
遺伝子領域rs28384991において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC81.6%
- CT17.3%
- TT0.9%
遺伝子領域rs28384991において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC99.3%
- CT0.6%
- TT0.0%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:ブルーム症候群
体表的なDNA領域:ブルーム症候群
ブルーム症候群 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs28384991です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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CC
81.6% -
CT
17.3% -
TT
0.9%
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
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