体脂肪率
概要
1. 概要
「自分はたくさん食べていないのに、すぐに太ってしまうのは体質のせいだろうか」と悲しんだことはありませんか。
逆に、「自分の家系は肥満体型が多いから、自分も歳を重ねるうちに太ってしまうのでは…。」と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。もしかしたら、太りやすい体質は、遺伝子の影響を強く受けている可能性があるかもしれません。
シンシナティ小児病院医療センターの研究によると、肥満度指数(BMI)には遺伝子「FTO」が関わっていることがわかりました(参考リンク1)。
BMIは、肥満度を表す数値で、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算されます(参考リンク2)。
成人の場合、BMIが25.0以上で太りすぎ、30.0以上で肥満となります。
BMIが高いと、脂質異常症や高血圧、2型糖尿病などの生活習慣病をはじめ、多くの疾患のリスクが上がることが明らかになっています(参考リンク3)。
重大な疾患が見つかる前に、遺伝子検査で自分の体質を調べてみませんか?
2. 理論的根拠
「BMIとFTO遺伝子の関係」という研究がシンシナティ小児病院医療センターで行われ、その結果、BMIは遺伝子「FTO」の影響を受けることが分かりました。
この遺伝子は「rs8050136」という領域に影響を与えます。DNA領域「rs8050136」は「CC型」、「CA型」、「AA型」という3種類の遺伝子型分けることができます。
日本人では、「CC型」が多く64.7%を占め、「CA型」が31.5%、「AA型」はわずか3.8%となっています(参考リンク4)。
研究によると、「A」を持っている人は、BMIが高い傾向があります。また、「AA型」の人は食欲旺盛で、太りやすい体質とされます。そのため3つのタイプの中で肥満のリスクが最も高くなる可能性があります。
一方、「CC型」の人はBMIが低く太りにくい体質とされます。
さらに、年齢が上がるほど、遺伝子「FTO」の影響がBMIを大きく左右することが示されています。したがって、「AA型」の人は幼児期に痩せていても、思春期になって太る可能性があるため、注意が必要です(参考リンク5)。
自分の遺伝子タイプを遺伝子検査を通して知ることで、今後の生活に新しい選択肢が見つかるかもしれません。
3. 作用機序
「FTO」という遺伝子は、ヒトに共通する24の染色体のうち16番染色体に位置し、RNAの酸化的脱メチル化を行うタンパク質をコードする遺伝子です。
これまでの研究により、「FTO」と「BMI」の関連性が認められており、この遺伝子は最も肥満に影響を与える遺伝子であることが報告されています。
視床下部で活発に働く「FTO」は、食欲調節領域に作用することでBMIに影響を与えていると推測されています。また、この遺伝子はBMIだけでなく、体脂肪率やウエストの大きさにも影響し、2型糖尿病をはじめとする複数の疾患リスクとも関係しています。
さらに、「FTO」は脂肪細胞の分化にも関与しており、脂肪を蓄える白色脂肪細胞になるか、脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞になるかを制御しています。
このように、遺伝子「FTO」の特定DNA領域である「rs8050136」はBMIと関係し、注目されているSNPの一つです(参考リンク6,7,8)。
遺伝子領域rs8050136において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC68.38%
- CA28.62%
- AA3.00%
遺伝子領域rs8050136において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC36.41%
- CA47.86%
- AA15.73%
遺伝子領域rs1805081において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT54.82%
- TC38.44%
- CC6.74%
遺伝子領域rs1805081において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT39.40%
- TC46.74%
- CC13.86%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:体脂肪率
体表的なDNA領域:体脂肪率
体脂肪率 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs8050136です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
-
CC
68.4% -
CA
28.6% -
AA
3.0%
他に、体脂肪率に関わる遺伝子領域はrs1805081があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
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TT
54.8% -
TC
38.4% -
CC
6.7%
検査の根拠
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | FTO |
|---|---|
| 関連遺伝子 | NPC1 |
参考文献
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関連遺伝子 FTO
- 参考リンク : 2011 Jun、Tuomas O Kilpeläinenと研究グループがNat Genet に発表したGenetic variation near IRS1 associates with reduced adiposity and an impaired metabolic profileという研究によると体脂肪率 に関連するrs8050136の関連性が認められました。
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関連遺伝子 NPC1
- 参考リンク : 2013 Feb、M den Hoedと研究グループがInt J Obes (Lond) に発表したEvaluation of common genetic variants identified by GWAS for early onset and morbid obesity in population-based samplesという研究によると体脂肪率 に関連するrs1805081の関連性が認められました。