身長
- 身長の遺伝率は約80%で、DNA領域rs1010415でAタイプを持つ人は身長が高くなる傾向があることが、クイーンズランド大学の研究で分かりました。
- 身長に関係する9つのDNA領域(rs1010415、rs10890404、rs11062389など)と9つの関係する遺伝子(RNA5SP86、KNCN、IGF2BP3など)が見つかっています。
- 遺伝子の影響に加えて、栄養バランスのよい食事・十分な睡眠・適度な運動が、健康的な成長を支える大切な環境の要因です。
概要
【概要】 身長は、体の縦の長さのことです。主に骨の長さで決まり、体の成長や発達の様子を知るための大切な目安です。 身長には遺伝が大きく関わっています。
【特徴】 両親の身長は子どもの身長に影響することが多いですが、環境や生活習慣も大切です。 栄養バランスのよい食事や十分な睡眠は、健康的な成長を助けます。 反対に、栄養が足りなかったり、病気などの健康の問題があったりすると、成長に悪い影響が出ます。 身長の伸び方は、ふつう「成長曲線」で確認します。 これは、同じ年齢の子どもの標準的な身長の範囲とくらべて、成長の様子を確かめる方法です。 標準よりも極端に高い、または低い場合は、成長の病気やホルモンの問題が考えられるため、医師にみてもらう必要があります。 身長は、遺伝と環境の両方の影響を受けながら伸びていきます。 健康的な生活習慣と適切な医療のサポートが、健康的な成長を支えるために大切です。
【科学的根拠】 クイーンズランド大学のYengoらの研究により、身長に関わる遺伝子の影響として、rs1010415というDNA領域が関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、GA、AAの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、身長が高くなる傾向があることが分かりました。
身長とは何か
身長は、体の縦の長さを表す数値です。主に骨の長さで決まり、成長や発達の様子を知るための大切な体の測定値です。身長の遺伝率(身長の個人差のうち、遺伝子の影響で説明できる割合)は約80%とされ、残りの約20%は環境の影響(栄養・睡眠・運動)を受けます。
身長が決まる要因とは
身長は、次のような要因が組み合わさって決まります。
- 遺伝子の影響(約80%):両親の身長が子どもの身長に影響し、rs1010415など複数のDNA領域が関わります。
- 栄養:タンパク質・カルシウム・ビタミンDをふくむバランスのよい食事が成長を助けます。
- 睡眠:成長ホルモンは寝ている間(特に深く眠っているとき)に多く出るため、1日8〜10時間の睡眠がすすめられます。
- 運動:適度な運動は骨の成長を助け、成長ホルモンが出やすくなります。
身長への遺伝と環境の影響のくらべ
| 要因 | 影響度 | 具体例 |
|---|---|---|
| 遺伝子の影響 | 約80% | rs1010415、rs10890404など9つのDNA領域 |
| 栄養 | 約10% | タンパク質・カルシウム・ビタミンD |
| 睡眠・運動 | 約10% | 成長ホルモンが出る・骨の伸びる部分(骨端線)への刺激 |
成長曲線で身長を評価する方法
身長の伸び方は成長曲線で確認します。同じ年齢の標準的な身長の範囲とくらべ、標準偏差(平均からのばらつきの目安)を基準に判断します。
- 平均より2標準偏差以上低い:低身長の可能性があり、成長ホルモンが十分に出ていない状態(成長ホルモン分泌不全)や、甲状腺の働きが弱い状態(甲状腺機能低下症)の検査がすすめられます。
- 平均より2標準偏差以上高い:高身長の可能性があり、成長ホルモンが出すぎていないかの検査がすすめられます。
- 平均から2標準偏差以内:標準的な成長範囲
健康的な身長の成長を支える生活習慣
身長がしっかり伸びるようにするには、次の生活習慣が役立ちます。
- バランスのよい食事:1日あたりカルシウム700〜1,000mg・タンパク質50〜65gをとります。
- 十分な睡眠:成長期は1日8〜10時間の質のよい睡眠をとります。
- 適度な運動:ジャンプやストレッチなど、骨に縦方向の力がかかる運動です。
- 定期的な成長の確認:年1〜2回身長を測り、成長曲線で確認します。
遺伝子と身長の関係
DNA領域rs1010415と身長の関係
クイーンズランド大学のYengoらの研究(1)により、DNA領域rs1010415が身長に関わる遺伝子の影響と関係していることが分かりました。
- rs1010415にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があります。
- Aタイプを持つ遺伝子型の人は、身長が高くなる傾向があります。
日本人における遺伝子型の割合(主なDNA領域)
| DNA領域 | 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|---|
| rs1010415 | GG型 | 33.2% | 46.4% |
| GA型 | 48.8% | 43.3% | |
| AA型 | 17.8% | 10.1% | |
| rs10890404 | AA型 | 39.6% | 7.3% |
| AG型 | 46.6% | 39.5% | |
| GG型 | 13.7% | 53.0% | |
| rs11062389 | TT型 | 23.1% | 42.8% |
| TC型 | 49.9% | 45.2% | |
| CC型 | 26.9% | 11.9% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:身長
身長に最も強く影響するDNA領域は、rs1010415です。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の割合は、下記のとおりです。
- GG
33.2 % - GA
48.8 % - AA
17.8 %
ほかに、身長に関わるDNA領域としてrs10890404があります。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の割合は、下記のとおりです。
- AA
39.6 % - AG
46.6 % - GG
13.7 %
ほかに、身長に関わるDNA領域としてrs11062389があります。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の割合は、下記のとおりです。
- TT
23.1 % - TC
49.9 % - CC
26.9 %
ほかに、身長に関わるDNA領域としてrs11144688があります。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の割合は、下記のとおりです。
- GG
87.8 % - GA
11.7 % - AA
0.3 %
ほかに、身長に関わるDNA領域としてrs11684404があります。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の割合は、下記のとおりです。
- TT
31.6 % - TC
49.2 % - CC
19.1 %
ほかに、身長に関わるDNA領域としてrs1197062があります。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の割合は、下記のとおりです。
- TT
91.5 % - TG
8.2 % - GG
0.1 %
ほかに、身長に関わるDNA領域としてrs12479172があります。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の割合は、下記のとおりです。
- CC
40.2 % - CT
46.3 % - TT
13.3 %
ほかに、身長に関わるDNA領域としてrs12526579があります。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の割合は、下記のとおりです。
- GG
46.6 % - GA
43.3 % - AA
10.0 %
ほかに、身長に関わるDNA領域としてrs12534093があります。 日本におけるこのDNA領域の遺伝子型の割合は、下記のとおりです。
- TT
99.9 % - TA
0.1%以下 - AA
0.1%以下
検査の根拠
クイーンズランド大学のYengoらの研究により、身長に関わる遺伝子の影響が明らかになりました。人間のDNAには、rs1010415という場所があり、そこにはGとAの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、身長が高くなる傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関係する遺伝子
| 関係する遺伝子 | RNA5SP86 |
|---|---|
| 関係する遺伝子 | KNCN |
| 関係する遺伝子 | FOXM1 |
| 関係する遺伝子 | PCSK5 |
| 関係する遺伝子 | EIF2AK3 |
| 関係する遺伝子 | APPBP2-DT |
| 関係する遺伝子 | LINC01102 |
| 関係する遺伝子 | AFG1L |
| 関係する遺伝子 | IGF2BP3 |
よくある質問
Q1. 身長はどのくらい遺伝で決まりますか?
身長の遺伝率は約80%です。クイーンズランド大学のYengoらの研究により、DNA領域rs1010415でAタイプを持つ人は、身長が高くなる傾向があることが分かりました。残りの約20%は、栄養・睡眠・運動などの環境の影響を受けます(1)。
Q2. 身長に関係するDNA領域はどこですか?
身長に関係する主なDNA領域として、rs1010415、rs10890404、rs11062389、rs11144688、rs11684404、rs1197062、rs12479172、rs12526579、rs12534093の9つが見つかっています。関係する遺伝子には、RNA5SP86、KNCN、FOXM1、PCSK5、EIF2AK3、APPBP2-DT、LINC01102、AFG1L、IGF2BP3があります(1)(2)。
Q3. 身長の成長に必要な生活習慣は?
健康的な身長の成長には、タンパク質・カルシウム・ビタミンDをふくむバランスのよい食事、1日8〜10時間の十分な睡眠、適度な運動が大切です。成長ホルモンは寝ている間に出るため、ぐっすり眠れる質のよい睡眠が欠かせません。
Q4. 成長曲線とは何ですか?
成長曲線は、同じ年齢の標準的な身長の範囲とくらべて、成長の様子を確かめる方法です。標準偏差(平均からのばらつきの目安)を基準に判断します。平均より2標準偏差以上低い、または2標準偏差以上高い場合は、成長の病気やホルモンの異常が疑われるため、医師にみてもらうことがすすめられます。
Q5. 日本人と世界の人で、遺伝子型の割合に違いはありますか?
はい、遺伝子型の割合は民族によって違いがあります。例えばrs1010415では、日本人のGG型は33.2%ですが世界平均では46.4%、AA型は日本人17.8%に対し世界平均10.1%です。このような割合の違いが、国や地域ごとの平均身長の差の理由の一つになっています(1)(3)。
参考文献
- 参考リンク1 : 2022 Oct., Loïc Yengo, Nature
- 参考リンク2 : 2014 Nov., Andrew R Wood, Nat Genet
- 参考リンク3 : 2023 Jul., Tabea Schoeler, Nat Hum Behav
- 参考リンク4 : 2019 Jun., Genevieve L Wojcik, Nature