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骨折のしやすさ

骨折のしやすさのイメージ画像
  • 骨折のしやすさはDNA領域rs9980072(TERT遺伝子の近く)と関係し、骨折しやすさに関係する型「G」を持つ人は骨折しやすさがやや高いです。
  • 日本人の約50%がGA型で、GG型26.6%と合わせると約76.6%が骨折しやすさに関係する型を持ちます。
  • 遺伝子検査による早めに骨折しやすさを知ることで、骨密度の管理や転倒予防など、自分に合った対策ができます。

概要

【概要・特徴】 「骨折」とは、骨がこわれることです。ポキッと折れることだけでなく、ヒビが入ることや、骨の一部が欠けることも含まれます。「骨折」は骨に強い力がかかることで起こり、ふつうはかなり大きな力がかからないと骨折しません。 しかし、骨そのものが弱っている場合は、弱い力でも骨折することがあり、これを「病的骨折」と呼びます。(参考リンク 1) 骨が弱くなる原因として多いのは骨粗しょう症(骨がもろくなる病気)ですが、がんなどの腫瘍によって骨の一部が溶けることもあり、遺伝子の影響があるという報告もあります。(参考リンク 1、2) また、骨折の起こりやすさには、ふだんの生活習慣や激しい運動など、さまざまなことが影響します。最近の研究では、遺伝子「TERT(EST2)」の近くにある特定の遺伝子の型を持つ人で、骨折が多いことが報告されています。(参考リンク 2) そのため、遺伝子検査で「骨折のしやすさ」を確認しておくと、骨折の予防や早めの対策に役立つことが期待されます。

【2. 理論的根拠】 オランダ、アメリカ、カナダ、イギリス、中国、オーストラリアなどを中心とした研究チームが、ヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリア、東アジアをルーツとする人々の骨折患者20,439人と健康な人78,843人、イギリスの骨折患者14,492人と健康な人130,563人、アメリカの骨折患者2,926人と健康な人17,710人の遺伝子データを使って、DNA全体をくまなく調べる研究を行いました。 その結果、15か所の遺伝子の個人差(遺伝子多型)が、骨折と強く関係していることが分かりました。そのうちの一つが、「TERT(EST2)」遺伝子の近くにあるDNA領域「rs9980072」です。(参考リンク 2) DNA領域「rs9980072」には、「GG型」「GA型」「AA型」の3つの遺伝子型があります。日本人では「GA型」が50.0%で最も多く、「GG型」が26.6%、「AA型」が23.4%となっています。(参考リンク 3) 骨折しやすさに関係する型(リスクアレル)は「G」だと報告されています。そのため、日本人に多い「GA型」や「GG型」の人は、骨折しやすさが比較的高いといえます。

【3. メカニズム】 「rs9980072」というDNA領域は21番染色体にあり、「TERT(EST2)」遺伝子の近くにあるため、この遺伝子と関係があると考えられています。 「TERT(EST2)」遺伝子は「テロメラーゼ」という酵素を作り、染色体の端にある「テロメア」という構造を作り出します。テロメアは染色体の末端を守る部分で、細胞の老化に関わっていると考えられています。(参考リンク 4) テロメラーゼのはたらき方は、多くの悪性腫瘍(がん)の悪性度に関わっていると報告されています。また、テロメラーゼはがんが増えることに関わるだけでなく、ふつうの細胞を保つためにも欠かせない役割を持っていると考えられています。 この役割には、細胞が増えることや細胞を守ること、リボ核酸(遺伝情報を伝える物質)の調節などが含まれます。 さらに、テロメラーゼは骨を保つことや骨の強さにも関わっている可能性があるため、DNA領域「rs9980072」は、骨折のしやすさに関係する遺伝子の個人差(一塩基多型)の1つとして注目されています。

骨折のしやすさとは何か

骨折とは、骨がこわれることです。折れることだけでなく、ヒビや骨の一部が欠けることも含まれます。ふつう、骨折には大きな力が必要ですが、骨そのものが弱っている場合は小さな力でも起こります(参考リンク1)。

骨折の原因と起こりやすくなる要因

骨折が起こるかどうかには、骨にかかる力の大きさと骨の強さの2つが関わります。

  • 外傷性骨折:転倒や交通事故など、大きな力が骨にかかることで起こります。
  • 病的骨折:骨粗しょう症や腫瘍などで骨が弱くなり、小さな力で起こります。
  • 疲労骨折:くり返しの小さな負担が積み重なって起こります。

骨が弱くなる主な原因は以下のとおりです。

  • 骨粗しょう症(骨密度が下がる主な原因)
  • がんなどの腫瘍によって骨が溶けます。
  • 遺伝子の影響(TERT遺伝子の近くの個人差など)
  • 年齢を重ねること・カルシウム不足・ビタミンD不足

骨折の種類と特徴の比較

比較項目 外傷性骨折 病的骨折
原因 大きな力(転倒・衝撃) 骨が弱くなります(骨粗しょう症・腫瘍)。
発生条件 強い衝撃が必要 小さな力でも起こります。
好発年齢 全年齢(スポーツ・事故) 中高年(特に閉経後の女性)
予防 安全対策・防具 骨密度の管理・遺伝子検査
遺伝子の関わり 低い 高い(rs9980072など)

遺伝子TERT(EST2)と骨折の関係

DNA領域rs9980072は21番染色体にあり、TERT(EST2)遺伝子の近くにあります。TERT遺伝子はテロメラーゼという酵素を作り、テロメアの構造を作り出します(参考リンク4)。

  • テロメア:染色体の端にある構造で、細胞の老化に関わります。
  • テロメラーゼ:細胞が増えること・細胞を守ること・リボ核酸(遺伝情報を伝える物質)の調節に欠かせません。
  • 骨との関係:テロメラーゼは骨を保つことや骨の強さにも関わる可能性があります。

テロメラーゼのはたらき方はがんの悪性度に関わるだけでなく、ふつうの細胞を保つためにも欠かせません。骨の強さを保つことにも影響する可能性があると研究で報告されています。

骨折を予防するための対策

次のような対策で、骨折を起こりにくくできます。

  • 栄養管理:カルシウムを1日700〜800mgとり、ビタミンDもとります。
  • 運動:骨に体重をかける運動(ウォーキング・筋トレ)で骨密度を保ちます。
  • 転倒予防:住まいを整える・バランス訓練
  • 定期検査:骨密度検査の定期的な受診
  • 遺伝子検査:骨折しやすさを早めに知って対策を立てます。

遺伝子と骨折のしやすさの関係

大規模な研究による遺伝子の調査結果

オランダ・アメリカ・カナダ・イギリス・中国・オーストラリアの国際研究チームが、骨折患者20,439人と健康な人78,843人を含む大規模な研究を行いました(参考リンク2)。

  • ヨーロッパ・北アメリカ・オーストラリア・東アジアをルーツとする人々が対象です。
  • 追加の確認:イギリスの骨折患者14,492人+健康な人130,563人、アメリカの骨折患者2,926人+健康な人17,710人です。
  • 計15か所の遺伝子の個人差が骨折と強く関係していました。
  • その1つがTERT(EST2)遺伝子の近くにあるrs9980072です。

日本人における遺伝子型の分布(rs9980072)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合 骨折しやすさ
GG型 26.6%(27.9%) 50.4% やや高い
GA型 50.0%(49.8%) 41.1% やや高い
AA型 23.4%(22.1%) 8.4% 標準

骨折しやすさに関係する型(リスクアレル)は「G」で、日本人の約76.6%が「G」を持つGA型またはGG型にあてはまります(参考リンク3)。

DNA領域rs9980072において日本で各遺伝子タイプを持つ人の割合

  • AA
    22.1%
  • AG
    49.8%
  • GG
    27.9%

DNA領域rs9980072において世界で各遺伝子タイプを持つ人の割合

  • AA
    8.4%
  • AG
    41.1%
  • GG
    50.4%

DNA領域rs4869742において日本で各遺伝子タイプを持つ人の割合

  • CC
    3.5%
  • CT
    30.4%
  • TT
    66.0%

DNA領域rs4869742において世界で各遺伝子タイプを持つ人の割合

  • CC
    48.4%
  • CT
    42.3%
  • TT
    9.2%

DNA領域rs3736228において日本で各遺伝子タイプを持つ人の割合

  • CC
    54.8%
  • CT
    38.4%
  • TT
    6.7%

DNA領域rs3736228において世界で各遺伝子タイプを持つ人の割合

  • CC
    74.0%
  • CT
    24.0%
  • TT
    1.9%

検査の理論的根拠

代表的なDNA領域:骨折のしやすさ

骨折のしやすさに最も強く影響するDNA領域は、rs9980072です。 日本における遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • AA
    22.1 %
  • AG
    49.8 %
  • GG
    27.9 %

ほかに、骨折のしやすさに関わるDNA領域としてrs4869742があります。 日本における遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • CC
    3.5 %
  • CT
    30.4 %
  • TT
    66.0 %

ほかに、骨折のしやすさに関わるDNA領域としてrs3736228があります。 日本における遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • CC
    54.8 %
  • CT
    38.4 %
  • TT
    6.7 %

検査の根拠

オランダ・アメリカ・カナダ・イギリス・中国・オーストラリアの国際研究チームが、骨折患者20,439人と健康な人78,843人の遺伝子データを使ってDNA全体をくまなく調べた結果、15か所の遺伝子の個人差が骨折と強く関係していました。rs9980072はTERT(EST2)遺伝子の近くにあり、骨折しやすさに関係する型「G」を持つ人は、骨折しやすさがやや高い傾向があります(参考リンク2)。

今回調査したDNA領域

細胞の中にあるDNAマップの模式図

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関連遺伝子

関連遺伝子 ETS2
関連遺伝子 CCDC170
関連遺伝子 LRP5

よくある質問

Q1. 骨折のしやすさとは何ですか?

骨折のしやすさとは、遺伝子の影響や骨密度(骨の詰まり具合)の低下によって、骨がこわれやすい体質のことです。骨折にはヒビや骨の一部が欠けることも含まれます。骨粗しょう症や、TERT遺伝子の近くにあるDNA領域rs9980072の個人差が、骨折のしやすさに関わっています(参考リンク1、2)。

Q2. 骨折のしやすさに関わる遺伝子は何ですか?

骨折のしやすさに最も強く関わるDNA領域はrs9980072で、TERT(EST2)遺伝子の近くにあります。骨折しやすさに関係する型「G」を持つGG型・GA型の人は、骨折しやすさがやや高い傾向があります。日本人ではGA型が50.0%と最も多く、GG型26.6%と合わせて約76.6%があてはまります(参考リンク2、3)。

Q3. 骨折と骨粗しょう症の関係は?

骨粗しょう症は、骨密度が下がって骨がもろくなる病気で、病的骨折の主な原因です。骨粗しょう症の人は、小さな力でも骨折することがあります。遺伝子の影響と生活習慣の両方が関わっています(参考リンク1)。

Q4. 遺伝子検査で骨折のしやすさは分かりますか?

DNA領域rs9980072の遺伝子型を調べることで骨折しやすさの傾向を知ることができます。20,439人の骨折患者と78,843人の健康な人を調べた大規模な研究で、15か所の遺伝子の個人差が骨折と強く関係していることが分かりました(参考リンク2)。

Q5. 骨折を予防する方法は?

骨折予防にはカルシウム・ビタミンDを十分にとること、骨に体重をかける適度な運動、転倒を防ぐ工夫が効果的です。遺伝子検査で自分の骨折しやすさを知り、早めに骨密度検査(骨の強さを調べる検査)を受けることで、予防の効果が高まります。

参考文献