骨密度
概要
1. 概要
<>周りに、骨折などの怪我をしやすい人がいませんか?身体が丈夫で一度も骨折したことがない人もいますが、その理由は何でしょうか。怪我しやすさには、事故や怪我が起こりやすい環境や生活習慣などが影響しますが、実は遺伝子も骨の強度(骨密度)に関与していることが分かっています。
骨密度が低下すると、骨折のリスクが高くなります。骨密度が低下する状態は骨粗鬆症と呼ばれ、加齢によって骨密度が低下するため、高齢者の骨折は寝たきりの主な原因となっています。
驚くことに、骨の丈夫さ(骨密度の高さ)には、遺伝的要因(体質)が関与しているとされています(参考リンク1)。なので、自分自身の骨が丈夫な体質なのかどうか遺伝子検査を利用して調べてみませんか?
2. 理論的根拠
骨の質と量を維持するためには、「破骨(古くなった骨を壊す)」と「造骨(新しい骨を造る)」というプロセスが重要です。このバランスが崩れ、「破骨」が「造骨」を上回ると、骨密度が低下します。
この原因の一つとして、13番染色体に存在する遺伝子「RANKL (receptor activator of nuclear factorkappa B (RANK) ligand)」が見つかりました。
この遺伝子に属するDNA領域の一つが「rs1021188」です。このDNA領域は、約6,000人のスウェーデン人を対象に行われた遺伝的多型の解析で、骨密度の低さに関連して多型のあるDNA領域として発見されました。
「rs1021188」には、「CC型」、「CT型」、「TT型」の3つの遺伝子型があります。日本人の遺伝子型タイプは、「CC型」9.7%、「CT型」42.9%、「TT型」47.4%です(参考リンク4)。
そのうち「CT型」や「TT型」のようなTを含む遺伝型では、遺伝子「RANKL」の量が増え、骨吸収が促進されるため、骨密度の低下が起こりやすくなります。
特に「TT型」の場合は、遺伝子「RANKL」の量がより多くなり、将来的に「骨粗鬆症」になるリスクが高くなる傾向があります。
3. 作用機序
骨の質と量を維持するためには、「破骨」と「造骨」のサイクルを繰り返すことが重要です。
破骨細胞は、コラーゲンを分解する酵素であるコラゲナーゼや細胞の分化や増殖に作用するタンパク質のサイトカインなどを放出し、破損あるいは老朽化した骨組織を吸収、除去します。その後、骨芽細胞が新生骨を形成することで骨の質と量を維持します。
このサイクルが何らかの要因で障害され、破骨が造骨を上回った状態になると骨密度が低下します。(参考リンク2)
遺伝子「RANKL」は破骨細胞分化因子とも呼ばれる遺伝子で、破骨細胞の成熟を刺激して骨吸収を促進する働きを持ちます。
DNA領域「rs1021188」が「CT型」や「TT型」だと、遺伝子「RANKL」の量が増えることで破骨細胞が活性化します。これにより、骨吸収が促進されるので骨密度が低下しやすくなる傾向にあります(参考リスク3, 5)。
骨密度が低いと骨粗鬆症になりやすく、この状態での骨折は寝たきりの原因にもなります。
そのため、日頃からカルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に役立つ栄養素を積極的に摂取し、定期的に散歩などの軽い運動を継続することが重要です。
遺伝子領域rs1021188において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC9.1%
- CT42.2%
- TT48.5%
遺伝子領域rs1021188において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC3.3%
- CT29.9%
- TT66.6%
遺伝子領域rs10048146において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA49.9%
- AG41.4%
- GG8.6%
遺伝子領域rs10048146において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA67.2%
- AG29.5%
- GG3.2%
遺伝子領域rs10045962において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC39.0%
- CT46.8%
- TT14.0%
遺伝子領域rs10045962において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC42.6%
- CT45.3%
- TT12.0%
遺伝子領域rs12482821において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT99.9%
- TG0.0%
- GG0.0%
遺伝子領域rs12482821において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT96.5%
- TG3.3%
- GG0.0%
遺伝子領域rs12967019において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT39.0%
- TC46.8%
- CC14.0%
遺伝子領域rs12967019において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT27.2%
- TC49.9%
- CC22.8%
遺伝子領域rs2153672において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC79.1%
- CT19.6%
- TT1.2%
遺伝子領域rs2153672において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC78.0%
- CT20.5%
- TT1.3%
遺伝子領域rs2234693において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT33.2%
- TC48.8%
- CC17.8%
遺伝子領域rs2234693において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT30.3%
- TC49.4%
- CC20.1%
遺伝子領域rs2710057において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG1.4%
- GT20.8%
- TT77.7%
遺伝子領域rs2710057において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG8.5%
- GT41.3%
- TT50.1%
遺伝子領域rs2836613において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG5.7%
- GA36.5%
- AA57.7%
遺伝子領域rs2836613において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG5.8%
- GA36.7%
- AA57.4%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:骨密度
体表的なDNA領域:骨密度
骨密度 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs1021188です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
-
CC
9.1% -
CT
42.2% -
TT
48.5%
他に、骨密度に関わる遺伝子領域はrs10048146があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
AA
49.9% -
AG
41.4% -
GG
8.6%
他に、骨密度に関わる遺伝子領域はrs10045962があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
CC
39.0% -
CT
46.8% -
TT
14.0%
他に、骨密度に関わる遺伝子領域はrs12482821があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
TT
99.9% -
TG
0.0% -
GG
0.0%
他に、骨密度に関わる遺伝子領域はrs12967019があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
TT
39.0% -
TC
46.8% -
CC
14.0%
他に、骨密度に関わる遺伝子領域はrs2153672があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
CC
79.1% -
CT
19.6% -
TT
1.2%
他に、骨密度に関わる遺伝子領域はrs2234693があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
TT
33.2% -
TC
48.8% -
CC
17.8%
他に、骨密度に関わる遺伝子領域はrs2710057があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
GG
1.4% -
GT
20.8% -
TT
77.7%
他に、骨密度に関わる遺伝子領域はrs2836613があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
GG
5.7% -
GA
36.5% -
AA
57.7%
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LINC02341 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | FOXL1 |
| 関連遺伝子 | ARSB |
| 関連遺伝子 | LINC00310 |
| 関連遺伝子 | SMAD7 |
| 関連遺伝子 | CLYBL |
| 関連遺伝子 | ESR1 |
| 関連遺伝子 | DACH2 |
| 関連遺伝子 | ERG |
参考文献
- 参考リンク2 : 2007 Jul., Mone Zaidi, Nat Med.
- 参考リンク4 : DNA 領域「rs1021188」の情報 NIH
- 参考リンク8 : 2019 Feb., John A Morris, Nat Genet
- 参考リンク9 : 2018 Jul., Stuart K Kim, PLoS One