seeDNAロゴアイコン 心肺フィットネス

概要

概要

心肺機能とは、心臓と肺の機能を指します。肺は酸素を取り入れ、心臓は酸素を含んだ血液を全身に送り出すことで、体内に取り込んだ酸素を効率よく活用してエネルギーを生み出すことができます。
このような心肺機能が優れていると、長時間の運動にも耐えることができ、スタミナがあると言われています。
心肺機能を高めるためには、トレーニングが注目されていますが、実は遺伝子によっても影響を受けることが明らかになっています。
ドイツのミュンヘン工科大学を中心に行われた調査では、ADRB2という遺伝子の特定タイプが人の心肺機能に大きな影響を与えていることが報告されています。
自分自身の遺伝子タイプを調べることで、遺伝的な心肺機能の傾向を知ることができます。ぜひ、遺伝子検査で自分自身の遺伝子タイプを確認し、心肺機能を高めるためのトレーニング方法を見つけてみてはいかがでしょうか。

理論的根拠

ドイツのミュンヘン工科大学を中心に行われた共同研究により、ADRB2遺伝子の特定タイプによって、心肺機能に差があることが分かりました。(参考リンク1)
この遺伝子の特定領域には、「rs1042713」という名前があります。この遺伝子型には、AA、GA、GGの3つがあり、AAタイプの人は心肺機能が高く、GGタイプの人は一般的な心肺機能を示す傾向があります。
日本人の遺伝子タイプでは、GAタイプが最も多く、次いでGGタイプ、最も少ないのがAAタイプです。(参考リンク2)
心肺機能が高い傾向にあるAAタイプの人は、持久力が高く疲れにくいという特徴があります。心肺機能が高いと、体内に取り込んだ酸素を使って、糖質や脂質といったエネルギー源を効率よく燃焼させることができます。
そのため、長距離マラソンや水泳、登山などのスポーツに向いているとされます。
このように、心肺機能に関する遺伝的な傾向を科学的に確認することで、自分に合ったスポーツや趣味を選ぶことができるかもしれません。

作用機序

ヒトの心肺機能に関連するADRB2遺伝子(β2アドレナリン受容体遺伝子)は、24個ある染色体のうちの5番染色体に位置しています。この遺伝子は、主に心臓、血管、気管支、脂肪などに存在しており、血管や気管支を拡張する機能に関与しています。
実際に、アメリカのアリゾナ大学薬学科で実施された研究では、ADRB2遺伝子の特定のタイプが、運動負荷に対して心拍出量、血管拡張、気管支拡張を促進することが明らかになりました。(参考リンク3)
また、ADRB2遺伝子は脂肪にも存在することから、生活習慣病である肥満との関連が示唆されています。
肥満関連遺伝子多型と環境要因チームの今任拓也らの報告によると、ADRB2遺伝子に変異を持つ人では、安静時基礎代謝量が100kcal増えることが認められており、基礎代謝量が多く太りにくい体質とされています。(参考リンク4)
以上のように、「rs1042713」は心肺機能といった身体能力、肥満という体質にも関係し、注目を浴びているSNPの一つです。

遺伝子領域rs1042713において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

31.10% 49.33% 19.56%
  • GG31.10%
  • GA49.33%
  • AA19.56%

遺伝子領域rs1042713において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

37.45% 47.49% 15.05%
  • GG37.45%
  • GA47.49%
  • AA15.05%

遺伝子領域rs365990において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

76.56% 21.88% 1.56%
  • AA76.56%
  • AG21.88%
  • GG1.56%

遺伝子領域rs365990において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

38.18% 47.22% 14.60%
  • AA38.18%
  • AG47.22%
  • GG14.60%

遺伝子領域rs56233017において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

100.00% 0.00% 0.00%
  • GG100.00%
  • GA0.00%
  • AA0.00%

遺伝子領域rs56233017において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

93.11% 6.77% 0.12%
  • GG93.11%
  • GA6.77%
  • AA0.12%

遺伝子領域rs6123471において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

25.48% 50.00% 24.52%
  • TT25.48%
  • TC50.00%
  • CC24.52%

遺伝子領域rs6123471において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

29.85% 49.57% 20.58%
  • TT29.85%
  • TC49.57%
  • CC20.58%

遺伝子領域rs6882776において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

10.69% 44.01% 45.30%
  • GG10.69%
  • GA44.01%
  • AA45.30%

遺伝子領域rs6882776において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

48.70% 42.17% 9.13%
  • GG48.70%
  • GA42.17%
  • AA9.13%

遺伝子領域rs75190942において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

88.79% 10.87% 0.33%
  • CC88.79%
  • CA10.87%
  • AA0.33%

遺伝子領域rs75190942において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

83.86% 15.43% 0.71%
  • CC83.86%
  • CA15.43%
  • AA0.71%

seeDNAロゴアイコン検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:心肺フィットネス

体表的なDNA領域:心肺フィットネス

心肺フィットネス に最も強く影響する遺伝子領域は、rs1042713です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • GG

    31.1
    %
  • GA

    49.3
    %
  • AA

    19.6
    %

他に、心肺フィットネスに関わる遺伝子領域はrs365990があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • AA

    76.6
    %
  • AG

    21.9
    %
  • GG

    1.6
    %

他に、心肺フィットネスに関わる遺伝子領域はrs56233017があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • GG

    100.0
    %
  • GA

    0.0
    %
  • AA

    0.0
    %

他に、心肺フィットネスに関わる遺伝子領域はrs6123471があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • TT

    25.5
    %
  • TC

    50.0
    %
  • CC

    24.5
    %

他に、心肺フィットネスに関わる遺伝子領域はrs6882776があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • GG

    10.7
    %
  • GA

    44.0
    %
  • AA

    45.3
    %

他に、心肺フィットネスに関わる遺伝子領域はrs75190942があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • CC

    88.8
    %
  • CA

    10.9
    %
  • AA

    0.3
    %

検査の根拠

seeDNAロゴアイコン今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

seeDNAロゴアイコン関連遺伝子

関連遺伝子 ADRB2
関連遺伝子 MYH6
関連遺伝子 EPPK1
関連遺伝子 KIAA1755
関連遺伝子 NKX2-5
関連遺伝子 KCNJ5

seeDNAロゴアイコン参考文献

  • 関連遺伝子 ADRB2
  • 参考リンク : 2007 Dec、Wolfarthと研究グループがMetab. Clin. Exp. に発表したAssociation between a β2-adrenergic receptor polymorphism and elite endurance performanceという研究によると心肺フィットネス に関連するrs1042713の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 MYH6
  • 参考リンク : 2017 Mar、Reka Nagyと研究グループがGenome Med に発表したExploration of haplotype research consortium imputation for genome-wide association studies in 20,032 Generation Scotland participantsという研究によると心肺フィットネス に関連するrs365990の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 EPPK1
  • 参考リンク : 2016 Dec、Ruben N Eppingaと研究グループがNat Genet に発表したIdentification of genomic loci associated with resting heart rate and shared genetic predictors with all-cause mortalityという研究によると心肺フィットネス に関連するrs56233017の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 KIAA1755
  • 参考リンク : 2016 Dec、Ruben N Eppingaと研究グループがNat Genet に発表したIdentification of genomic loci associated with resting heart rate and shared genetic predictors with all-cause mortalityという研究によると心肺フィットネス に関連するrs6123471の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 NKX2-5
  • 参考リンク : 2013 Jun、Marcel den Hoedと研究グループがNat Genet に発表したIdentification of heart rate-associated loci and their effects on cardiac conduction and rhythm disordersという研究によると心肺フィットネス に関連するrs6882776の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 MYH6
  • 参考リンク : 2010 Feb、Hilma Holmと研究グループがNat Genet に発表したSeveral common variants modulate heart rate, PR interval and QRS durationという研究によると心肺フィットネス に関連するrs365990の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 KCNJ5
  • 参考リンク : 2016 Dec、Ruben N Eppingaと研究グループがNat Genet に発表したIdentification of genomic loci associated with resting heart rate and shared genetic predictors with all-cause mortalityという研究によると心肺フィットネス に関連するrs75190942の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 MYH6
  • 参考リンク : 2013 Jun、Marcel den Hoedと研究グループがNat Genet に発表したIdentification of heart rate-associated loci and their effects on cardiac conduction and rhythm disordersという研究によると心肺フィットネス に関連するrs365990の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 KIAA1755
  • 参考リンク : 2018 May、Julia Ramírezと研究グループがNat Commun に発表したThirty loci identified for heart rate response to exercise and recovery implicate autonomic nervous systemという研究によると心肺フィットネス に関連するrs6123471の関連性が認められました。