慢性低悪性度炎症
概要
C反応蛋白(CRP)は、肝臓が体内の炎症に反応して生産する物質です。血液中のCRPレベルの測定は、急性または慢性の炎症の進行を評価するために使用されます。
CRPの測定値が上昇すると、体が免疫反応を起こしていることを示します。慢性の低度炎症では、急性炎症で見られるような大幅な増加は見られませんが、CRPレベルが通常の範囲をわずかに上回ります。
慢性の低度炎症は、腫れや痛みのような明らかな炎症の症状を示しませんが、継続的な軽い炎症を指します。
この状態は、時間とともに健康に害を及ぼす可能性があり、心血管疾患や糖尿病、特定のがんなどの病気の原因となることがあります。
そのため、CRPレベルの検査をすることで、症状がない場合でも慢性炎症を早期発見し、早期治療に繋げることが重要です。
エラスムス大学のLigthartらの研究により、慢性低悪性度炎症の罹患リスクがrs4774590というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはGG、AG、AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、慢性低悪性度炎症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs4774590において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG28.48%
- GA49.77%
- AA21.75%
遺伝子領域rs4774590において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG35.68%
- GA48.10%
- AA16.21%
遺伝子領域rs7280982において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG27.46%
- GA49.88%
- AA22.65%
遺伝子領域rs7280982において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG58.68%
- GA35.85%
- AA5.47%
遺伝子領域rs9987289において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA0.01%
- AG1.90%
- GG98.09%
遺伝子領域rs9987289において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA0.84%
- AG16.68%
- GG82.48%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:慢性低悪性度炎症
体表的なDNA領域:慢性低悪性度炎症
慢性低悪性度炎症 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs4774590です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
-
GG
28.5% -
GA
49.8% -
AA
21.7%
他に、慢性低悪性度炎症に関わる遺伝子領域はrs7280982があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
GG
27.5% -
GA
49.9% -
AA
22.7%
他に、慢性低悪性度炎症に関わる遺伝子領域はrs9987289があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
AA
0.0% -
AG
1.9% -
GG
98.1%
検査の根拠
エラスムス大学のLigthartらの研究により、慢性低悪性度炎症の罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs4774590という領域が存在し、その領域の遺伝子にはGとAの2種類の変異があります。Gタイプの変異を持つ人は、慢性低悪性度炎症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | DMXL2 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | CBR1-AS1 |
| 関連遺伝子 | PPP1R3B-DT |
参考文献
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関連遺伝子 DMXL2
- 参考リンク : 2018 Nov、Symen Ligthartと研究グループがAm J Hum Genet に発表したGenome Analyses of >200,000 Individuals Identify 58 Loci for Chronic Inflammation and Highlight Pathways that Link Inflammation and Complex Disordersという研究によると慢性低悪性度炎症 に関連するrs4774590の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 CBR1-AS1
- 参考リンク : 2020 Feb、Xikun Hanと研究グループがEur J Epidemiol に発表したUsing Mendelian randomization to evaluate the causal relationship between serum C-reactive protein levels and age-related macular degenerationという研究によると慢性低悪性度炎症 に関連するrs7280982の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 PPP1R3B-DT
- 参考リンク : 2016 Jun、Symen Ligthartと研究グループがBMC Genomics に発表したBivariate genome-wide association study identifies novel pleiotropic loci for lipids and inflammationという研究によると慢性低悪性度炎症 に関連するrs9987289の関連性が認められました。