慢性低悪性度炎症
- 慢性低悪性度炎症とは、自覚症状がないまま体の中で続く軽い炎症の状態で、C反応性たんぱくの値が少し上がることで見つかります。
- DNA領域rs4774590のGタイプを持つ人は慢性低悪性度炎症になりやすい傾向があることが、エラスムス大学の研究で分かりました。
- 心臓や血管の病気・2型糖尿病・一部のがんにかかりやすくなる原因の一つで、定期的なC反応性たんぱくの検査で早く見つけることが予防のポイントになります。
概要
【疾患の概要】 C反応性たんぱくは、体の中で炎症が起きたときに肝臓が作る物質です。 血液中のC反応性たんぱくの量を測ると、急な炎症や長く続く炎症がどのくらい進んでいるかが分かります。
【症状と特徴】 C反応性たんぱくの値が上がると、体が免疫の反応(体を守るしくみ)を起こしているしるしです。 慢性の低度炎症では、急な炎症のように値が大きく上がることはありませんが、ふつうの範囲を少しだけ上回ります。 慢性の低度炎症とは、腫れや痛みのようなはっきりした症状はないものの、軽い炎症がずっと続いている状態のことです。 この状態が長く続くと健康に悪い影響が出ることがあり、心臓や血管の病気、糖尿病、一部のがんなどの原因になることがあります。
【治療と注意点】 そのため、C反応性たんぱくの検査を受けて、症状がないうちから長く続く炎症を早く見つけ、早めの治療につなげることが大切です。
【遺伝的リスク】 エラスムス大学のLigthartらの研究で、慢性低悪性度炎症のなりやすさがrs4774590というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、AG、AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、慢性低悪性度炎症になりやすい傾向があることが分かりました。
慢性低悪性度炎症とは何か
慢性低悪性度炎症とは、腫れや痛みなどのはっきりした症状がないまま、体の中で軽い炎症がずっと続いている状態です。急な炎症とちがって自覚症状がないため、気づきにくいのが特徴です。
C反応性たんぱくとは?炎症の目印としての役割
C反応性たんぱくは、体の中で炎症が起きたときに肝臓が作るたんぱく質です。血液中のC反応性たんぱくの量を測ると、炎症があるかどうかと、その強さを数字で確かめられます。
- 急な炎症:C反応性たんぱくの値が大きく上がります(10mg/L以上)。
- 慢性低悪性度炎症:C反応性たんぱくの値がふつうの範囲を少し上回ります(1〜3mg/L程度)。
- ふつうの範囲:C反応性たんぱくの値が1mg/L未満です。
慢性低悪性度炎症でかかりやすくなる病気
慢性低悪性度炎症は、自分では気づかないまま進み、次のような病気にかかりやすくなります。
| 病気の分類 | 具体的な病気 | メカニズム |
|---|---|---|
| 心臓・血管 | 動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中 | 血管の壁で炎症が続き、血管の中にこぶ(プラーク)ができます。 |
| 代謝(体のエネルギー処理) | 2型糖尿病・メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満) | インスリン(血糖を下げるホルモン)が効きにくくなり、血糖値が上がりやすくなります。 |
| がん | 大腸がん・肺がんなど | 炎症が続くことで、細胞のDNAが傷つきやすくなります。 |
| 脳・神経 | アルツハイマー病 | 脳の中で炎症が続き、神経がこわれていくのが早まります。 |
急な炎症と慢性低悪性度炎症のちがい
| 比較項目 | 急な炎症 | 慢性低悪性度炎症 |
|---|---|---|
| 症状 | 腫れ・赤み・痛み・発熱 | 自覚症状なし |
| C反応性たんぱくの値 | 10mg/L以上に大きく上がります。 | 1〜3mg/L程度の少しの上昇 |
| 持続期間 | 数日〜数週間でおさまります。 | 数か月〜数年にわたって続きます。 |
| 原因 | 感染症・けが・手術 | 肥満・喫煙・ストレス・年をとること・遺伝子の影響 |
| 健康への影響 | 治る力(体を守る免疫のふつうの働き) | 心臓や血管の病気・糖尿病・がんにかかりやすくなります。 |
遺伝子と慢性低悪性度炎症の関係
DNA領域rs4774590と慢性低悪性度炎症の関係
エラスムス大学のLigthartらの研究で、慢性低悪性度炎症のなりやすさがDNA領域rs4774590と関係していることが分かりました。
- rs4774590にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型が存在します。
- Gを持つ遺伝子型(GG型・GA型)の人は慢性低悪性度炎症になりやすい傾向があります。
日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs4774590)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 28.4% | 35.6% |
| GA型 | 49.7% | 48.1% |
| AA型 | 21.7% | 16.2% |
日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs7280982)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 27.4% | 58.6% |
| GA型 | 49.8% | 35.8% |
| AA型 | 22.6% | 5.4% |
日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs9987289)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 0.1%以下 | 0.8% |
| AG型 | 1.9% | 16.6% |
| GG型 | 98.0% | 82.4% |
日本人のrs4774590でGを持つ人(GG+GA)の割合は78.1%で、世界平均の83.7%と比べるとやや低い割合です。一方、rs7280982ではAA型の人の割合が日本人では22.6%、世界平均では5.4%と大きな差があり、地域によって遺伝子のタイプの分かれ方がちがうことが分かります。
検査の理論的根拠
代表的なDNA領域:慢性低悪性度炎症
慢性低悪性度炎症に最も強く影響するDNA領域は、rs4774590です。 日本でそれぞれの遺伝子タイプを持つ人の割合は下のとおりです。
- GG
28.4 % - GA
49.7 % - AA
21.7 %
ほかに、慢性低悪性度炎症に関わるDNA領域としてrs7280982があります。 日本でそれぞれの遺伝子タイプを持つ人の割合は下のとおりです。
- GG
27.4 % - GA
49.8 % - AA
22.6 %
ほかに、慢性低悪性度炎症に関わるDNA領域としてrs9987289があります。 日本でそれぞれの遺伝子タイプを持つ人の割合は下のとおりです。
- AA
0.1%以下 - AG
1.9 % - GG
98.0 %
検査の根拠
エラスムス大学のLigthartらの研究で、慢性低悪性度炎症のなりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAにはrs4774590という場所があり、そこにはGとAの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、慢性低悪性度炎症になりやすい傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップのイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | DMXL2 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | CBR1-AS1 |
| 関連遺伝子 | PPP1R3B-DT |
よくある質問
Q1. 慢性低悪性度炎症とは何ですか?
慢性低悪性度炎症とは、腫れや痛みなどのはっきりした症状がないまま、体の中で軽い炎症が長く続いている状態です。C反応性たんぱく(炎症のときに増える血液中の物質)の値が、ふつうの範囲を少しだけ上回ることで見つかります。心臓や血管の病気・2型糖尿病・一部のがんなどにかかりやすくなる原因の一つとして注目されています。
Q2. 慢性低悪性度炎症は遺伝子と関係していますか?
はい。エラスムス大学のLigthartらの研究で、DNA領域rs4774590が慢性低悪性度炎症のなりやすさと関係していることが分かっています。rs4774590にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は慢性低悪性度炎症になりやすい傾向があります。
Q3. C反応性たんぱくの検査で慢性低悪性度炎症を早く見つけられますか?
C反応性たんぱくは、肝臓が炎症に反応して作るたんぱく質です。血液検査でC反応性たんぱくの量を測ると、自分では気づかない段階でも、長く続く炎症を早く見つけられます。特に、わずかな炎症まで測れる「高感度C反応性たんぱく検査」が役に立ちます。
Q4. 慢性低悪性度炎症に関係するDNA領域はどこですか?
慢性低悪性度炎症に関係する主なDNA領域は3つあります。最も強く影響するrs4774590(関連遺伝子:DMXL2)、rs7280982(関連遺伝子:CBR1-AS1)、rs9987289(関連遺伝子:PPP1R3B-DT)です。
Q5. 慢性低悪性度炎症でかかりやすくなる病気は?
慢性低悪性度炎症は、心臓や血管の病気(動脈硬化・心筋梗塞)、2型糖尿病、一部のがん(大腸がん・肺がんなど)、アルツハイマー病などにかかりやすくなります。自分では気づきにくいため、定期的にC反応性たんぱくの検査を受けて早く見つけることが大切です。