肝硬変
- 肝硬変は肝臓の組織が傷あとのように硬くなり(線維化)、肝臓の働きが落ちる長く続く病気で、主にC型肝炎・アルコール・脂肪肝が原因です。
- DNA領域rs751402のGタイプを持つ人はなりやすい傾向があることが研究で分かっています。
- 早く見つけることと原因を取り除くことと生活習慣の改善により進行を抑え、肝臓の働きを回復させることができます。
概要
【病気の概要】 肝硬変は、健康な肝臓の組織が硬い瘢痕(はんこん)組織(傷あとのような組織)に置き換わり、肝臓の働きが少しずつ失われていく、長く続く肝臓の病気です。 この傷あとは、長い間肝臓が傷つけられ続けた結果できるもので、主な原因はお酒の飲みすぎ、B型・C型肝炎、お酒が原因ではない脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患)です。
【症状と特徴】 傷あとの組織が増えると、肝臓を通る血液の流れが悪くなり、栄養・ホルモン・薬・毒素を処理する力が落ちます。 また、肝臓が作るタンパク質などの物質も減ります。 肝硬変の人は、肝臓の働きが落ちるにつれてさまざまな症状が出ます。 初めのころは症状がないか、疲れやすさ、体のだるさ、食欲がないといった症状が出ることがあります。 進むと、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、かゆみ、脚のむくみ(浮腫)、おなかに水がたまる(腹水)などの目立つ症状が出ます。 ほかにも、あざができやすい、胃や腸からの出血、頭が混乱する、肝性脳症(肝臓が取り除けない毒素がたまって起こる脳の障害)などの合併症があります。
【治療と注意点】 肝硬変の今後の見通しは、原因と、見つかったときの進み具合によって変わります。 早く見つかり原因が治療されれば、肝臓には自分で回復する力があります。 しかし、進んだ肝硬変は肝不全(肝臓がほとんど働かなくなる状態)や肝臓がんにつながることがあり、肝移植が必要になることもあります。 生活習慣の見直し、薬の種類や飲む回数の調整、定期的な検査は、肝硬変のケアと生活の質を高めるために大切です。
【遺伝子の影響】 甘粛省立病院のYangらの研究で、肝硬変になりやすさがrs751402というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはAA,AG,GGの3つの遺伝子型があり、Gを持つ遺伝子型の人は、肝硬変になりやすい傾向があることが分かりました。
肝硬変とは何か
肝硬変とは、健康な肝臓の組織が傷あとのような組織(線維化)に置き換わり、肝臓の働きが少しずつ失われていく、長く続く肝臓の病気です。傷あと(瘢痕)は、長い間肝臓が傷つけられ続けた結果としてできます。
肝硬変の原因としくみ
肝硬変は、次のような原因で肝臓が長い間傷つけられ、治ろうとする過程で線維(傷あとのような組織)がたまることで起こります。
- C型肝炎ウイルス:日本の肝硬変の原因の約50%をしめます。
- お酒による肝臓の障害:長い間のお酒の飲みすぎが原因です(約20%)。
- B型肝炎ウイルス:ウイルスが長く体に残り、肝炎が進みます(約15%)。
- お酒が原因ではない脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患・脂肪肝炎):肥満・糖尿病と関係し、最近増えています。
傷あとの組織(瘢痕組織)が増えると肝臓を通る血液の流れが悪くなり、栄養・ホルモン・薬・毒素を処理する力が落ちます。肝臓が作るタンパク質などの物質の量も減ります。
肝硬変の主な症状
症状は病気の進み方によって変わります。
| 段階 | 症状 |
|---|---|
| 代償期(初めの段階) | 症状がない、または疲れやすさ・だるさ・食欲がない状態です。 |
| 非代償期(進んだ段階) | 黄疸・腹水・むくみ・胃や腸からの出血・肝性脳症 |
肝硬変と他の肝疾患の違い
| 比較項目 | 肝硬変 | 脂肪肝 | 肝炎 |
|---|---|---|---|
| 肝組織の状態 | 傷あとのような組織(線維化)が広い範囲にあります。 | 脂肪がたまります。 | 炎症(はれ)が中心 |
| 元に戻せるか | 進むと元に戻りません。 | 早い段階なら元に戻せます。 | 治療でよくなります。 |
| 肝臓がんになりやすさ | 高い | 低い〜中くらい | 長引くと高くなります。 |
| 主な治療 | 原因を取り除く・肝移植 | 生活習慣改善 | ウイルスを抑える薬など |
肝硬変で起こりうる合併症
きちんと治療しないと、次のような合併症を起こすことがあります。
- 門脈圧亢進症(門脈の圧力が高くなる状態):肝臓に入る血液の流れが悪くなり、肝臓へ血液を運ぶ太い血管(門脈)の圧力が上がります。
- 腹水:おなかの中に水がたまります(患者の約60%に起こります)。
- 食道静脈瘤(食道の血管のこぶ)の破裂:門脈の圧力が上がることによる胃や腸からの出血です。
- 肝性脳症:肝臓で取り除けない毒素がたまって起こる意識の障害です。
- 肝細胞がん(肝臓がん):肝硬変の人が1年間に肝臓がんになる割合は約3〜5%です。
肝硬変の予防法
次のような生活習慣の改善が、肝硬変の予防に役立ちます。
- お酒の量を控えます(男性1日20g以下、女性1日10g以下)。
- B型肝炎ワクチンを受けます。
- 体重をきちんと管理し、運動する習慣をつけます。
- 肝臓の働きを調べる検査を定期的に受けます。
遺伝子と肝硬変の関係
DNA領域rs751402となりやすさの関係
甘粛省立病院のYangらの研究で、DNA領域rs751402が肝硬変のなりやすさと関係していることが分かりました。
- rs751402にはAA・AG・GGの3つの遺伝子型があります。
- Gタイプを持つ遺伝子型の人は、肝硬変になりやすい傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs751402)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| AA型 | 14.0% | 4.0% |
| AG型 | 46.8% | 32.0% |
| GG型 | 39.0% | 63.9% |
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:肝硬変
肝硬変に最も強く影響するDNA領域は、rs751402です。 日本での遺伝子型ごとの人の割合は下記のとおりです。
- AA
14.0 % - AG
46.8 % - GG
39.0 %
検査の根拠
甘粛省立病院のYangらの研究で、肝硬変になりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人の全遺伝情報(ゲノム)には、rs751402という場所があり、その場所にはAとGの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、肝硬変になりやすい傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ERCC5 |
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よくある質問
Q1. 肝硬変とは何ですか?
肝硬変とは、健康な肝臓の組織が傷あとのような組織(線維化)に置き換わり、肝臓の働きが少しずつ失われていく、長く続く肝臓の病気です。主な原因はC型肝炎ウイルス(約50%)、お酒による肝臓の障害(約20%)、B型肝炎ウイルス(約15%)です。
Q2. 肝硬変の原因は何ですか?
主な原因はウイルス性肝炎(B型・C型)と長い間のお酒の飲みすぎです。最近は、お酒が原因ではない脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患・脂肪肝炎)も増えています。DNA領域rs751402のGタイプを持つ人はなりやすい傾向があります。
Q3. 肝硬変の症状にはどのようなものがありますか?
初めのころは症状がないか、疲れやすさ・食欲がない程度です。進むと黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、腹水(おなかに水がたまる)、浮腫(脚のむくみ)、胃や腸からの出血、肝性脳症(意識がぼんやりする)が起こります。
Q4. 遺伝子検査で肝硬変へのなりやすさは分かりますか?
DNA領域rs751402の遺伝子型を調べることで、肝硬変へのなりやすさの傾向を知ることができます。Gタイプを持つ遺伝子型の人はなりやすい傾向があることが、甘粛省立病院の研究で分かっています。
Q5. 肝硬変は治りますか?予防法はありますか?
早く見つけて原因を取り除けば、肝臓には自分で回復する力があります。しかし進んだ肝硬変は元に戻すことができず、肝移植が必要になることもあります。予防には、お酒を控える・肝炎ワクチンを受ける・体重を管理する・定期的に検査を受けることが役立ちます。