口唇裂
- 口唇裂は、生まれつき上唇が分かれている状態で、約700人に1人の割合で起こります。
- DNA領域rs730570のAのタイプを持つ人は口唇裂になりやすい傾向があることが研究で分かりました。
- 手術で割れ目を治し、顔の見た目とはたらきをよくできます。
概要
【疾患の概要】 口唇裂(こうしんれつ)は、生まれつき上唇が分かれていたり、割れていたりする状態です。 割れ方の大きさは人によってさまざまで、唇に小さな切れ目があるだけの場合から、鼻まで大きなすき間が広がる場合まであります。
【症状と特徴】 口唇裂は唇の片側だけ、または両側に起こり、上あごの骨や歯ぐきにも影響することがあります。 口唇裂は、妊娠の初めごろに、唇や口のまわりの組織がうまくくっつかないことで起こります。 原因は、遺伝子の影響と、特定の薬、栄養不足、妊娠中の有害な物質との接触などの環境の影響が組み合わさったものです。 見た目では、上唇にはっきりしたすき間があり、鼻の形にも影響することがあります。
【治療と注意点】 口唇裂があると、食事や話すこと、耳の感染症などの問題が起こる可能性があります。 口唇裂だけが起こる場合もありますし、口の中の天井部分が割れる口蓋裂(こうがいれつ)と一緒に起こることもあります。 口唇裂の治療の中心は手術です。 手術で割れ目を治し、顔の見た目やはたらきをよくします。 手術はふつう生後1年以内に行われ、その後も追加の治療やサポートが必要になることがあります。
【遺伝的リスク】 中国電子科技大学のHuangらの研究で、口唇裂へのなりやすさがrs730570というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはGG、GA、AAの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、口唇裂になりやすい傾向があることが分かりました。
口唇裂とは何か
口唇裂は、生まれつき上唇が分かれていたり、割れていたりする状態です。約700人に1人の割合で起こり、アジアの人々では約500人に1人と、やや多い傾向があります。
口唇裂の原因としくみ
口唇裂は、妊娠の初めごろ(4〜7週)に、唇や口のまわりの組織がうまくくっつかないことで起こります。次のような原因がいくつか重なって関係します。
- 遺伝子の影響:家族に口唇裂の人がいると、起こりやすくなります。
- 環境の影響:特定の薬の服用や、妊娠中の喫煙・飲酒が関係します。
- 栄養不足:葉酸が足りないと、口唇裂が起こりやすくなると報告されています。
- 有害な物質との接触:妊娠中に化学物質にふれることが原因の一つになります。
口唇裂の分類
口唇裂は、割れ方の大きさと起こる場所によって、次のように分けられます。
| 分類 | 特徴 | 起こる割合 |
|---|---|---|
| 片側の口唇裂 | 唇の片側に裂け目ができます。 | 全体の約75% |
| 両側の口唇裂 | 唇の両側に裂け目ができます。 | 全体の約25% |
| 口唇口蓋裂(口唇裂と口蓋裂が一緒に起こるもの) | 口唇裂と口蓋裂が一緒に起こります。 | 口唇裂の約50% |
口唇裂と口蓋裂の違い
口唇裂は上唇にできる裂け目で、口蓋裂は口の中の天井部分(口蓋)にできる裂け目です。
- 口唇裂:上唇から鼻にかけて裂け目ができます。
- 口蓋裂:口の中の天井部分(硬口蓋・軟口蓋)に裂け目ができます。
- 口唇裂だけが起こる場合と、口蓋裂と一緒に起こる場合があります。
口唇裂の主な症状と影響
口唇裂は見た目の特徴だけでなく、次のようなはたらきの問題が起こる可能性があります。
- ミルクを飲みにくい:生まれたばかりのころ、うまくおっぱいやミルクを吸えません。
- 話しにくさ:正しい発音を身につけるのが難しくなります。
- 中耳炎をくり返す:耳と鼻の奥をつなぐ管(耳管)のはたらきが弱く、耳の感染症にかかりやすくなります。
- 歯並びの乱れ:上あごの骨や歯ぐきに影響し、歯並びに問題が出ます。
口唇裂の治療法
治療の中心は手術で、次のような順番で行われます。
- 唇の手術(口唇形成術):生後3〜6か月に行い、唇の裂け目を治します。
- 口の天井の手術(口蓋形成術):(口蓋裂もある場合)生後9〜18か月に口の天井部分を治す
- 追加手術:成長に合わせて、必要なら直すための手術を行います。
- その他のサポート:歯並びの治療、話し方の練習、聞こえの検査などを一緒に行います。
遺伝子と口唇裂の関係
DNA領域rs730570と口唇裂へのなりやすさの関係
中国電子科技大学のHuangらの研究で、DNA領域rs730570が口唇裂へのなりやすさと関係していることが分かりました。
- rs730570にはGG・GA・AAの3つの遺伝子型があります。
- Aのタイプを持つ遺伝子型の人は、口唇裂になりやすい傾向があります。
日本人における遺伝子型分布(rs730570)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| GG型 | 80.8% | 3.1% |
| GA型 | 18.1% | 29.0% |
| AA型 | 1.0% | 67.8% |
検査の根拠となる考え方
代表的なDNA領域:口唇裂
口唇裂に最も強く影響するDNA領域は、rs730570です。 日本での遺伝子型の分布は下のとおりです。
- GG
80.8 % - GA
18.1 % - AA
1.0 %
検査の根拠
中国電子科技大学のHuangらの研究で、口唇裂へのなりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人のDNAには、rs730570という場所があり、そこにはGとAの2種類のタイプがあります。Aのタイプを持つ人は、口唇裂になりやすい傾向があることが分かりました。
今回調べたDNA領域
細胞の中にあるDNAの地図のイメージ図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LINC00523 |
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よくある質問
Q1. 口唇裂とは何ですか?
口唇裂は、生まれつき上唇が分かれていたり、割れていたりする状態です。約700人に1人の割合で起こり、唇の片側に起こるものと両側に起こるものがあり、口蓋裂を一緒に持つ場合もあります。遺伝子の影響と環境の影響が組み合わさって、妊娠の初めごろに起こります。
Q2. 口唇裂の原因は何ですか?
口唇裂は、妊娠の初めごろ(4〜7週)に、唇や口のまわりの組織がうまくくっつかないことで起こります。原因は遺伝子の影響、特定の薬の服用、栄養不足(葉酸の不足)、妊娠中の有害な物質との接触など、いくつかの原因が重なって関係します。
Q3. 口唇裂と口蓋裂の違いは?
口唇裂は上唇にできる裂け目で、口蓋裂は口の中の天井部分(口蓋)にできる裂け目です。口唇裂だけが起こる場合もありますが、口蓋裂と一緒に起こる場合もあります。
Q4. 遺伝子検査で口唇裂へのなりやすさは分かりますか?
DNA領域rs730570の遺伝子型を調べることで、口唇裂へのなりやすさの傾向を知ることができます。Aのタイプを持つ遺伝子型の人は、口唇裂になりやすい傾向があることが研究で分かっています。
Q5. 口唇裂の治療法は?
治療の中心は手術です。ふつうは生後3〜6か月ごろに唇の手術(口唇形成術)を行い、割れ目を治します。成長に合わせて、追加の手術や歯並びの治療、話し方の練習などのサポートが必要になることがあります。
参考文献
- 参考リンク1 : 2019 Oct., Lulin Huang, PLoS Genet